創造の力を探しに
セラーノ自然公園は海に近い公園で、子供たちが遊べるために遊具が数台設置されていた。遊具の内容は滑り台やブランコ、ジャングルジムなど日本でもあったなじみのある遊具だった。だが、ここに来たのは遊びに来たのではなく、セラーノ自然公園の崖の下にある謎の洞窟の探検である。公園の管理者に事情を説明し、カイトたちは公園事務所に存在する関係者用の扉から崖の下へ向かった。
「波が結構来ますので、濡れないようにと足元が滑りますので、注意して下さ……アアアアアアア!」
前を歩く関係者が注意を促している途中で波を浴び、その上足元を滑らせてしまった。その様子を見ていたカイトとセアンは驚いて声を上げた。
「うわっ! 大丈夫ですか!」
「私の腕に掴まってください! 滑るので、落ち着いて立ち上がってください!」
関係者の転倒に反応したカイトとセアンが慌てて関係者を助けた。カイトは関係者の腕を掴んだつもりだったのだが、何故か髪の毛を掴んでいるような感じがした。
「ん? 腕を掴んだつもりだけど……なーんかもさっとしてるなー」
カイトの近くにいるコスタが、顔を青ざめながらカイトが手にしている物の説明をした。
「か……か……髪の毛……髪の毛が……あわわわわ」
「髪の毛? どういうこっちゃ?」
カイトは手元を見て、自分が今謎の髪の毛を手にしていることを察し、悲鳴を上げながら近くの壁に向かって投げた。
「ああああああ! 私の大切なカツラが! 高かったんだから!」
セアンに助けられた関係者は、壁にへばりついたカツラを見て、悲鳴を上げた。カイトは何度も頭を下げて謝っていた。
その後、カツラを取り戻した関係者と共に再び歩きだしたカイトたちは、数分かけて洞窟の入口に到着した。
「案内はここまでです。洞窟内部までは入ったことがないので、中がどうなっているのか分からないのです。命を落とす可能性があるため、許可を得ても奥へ行くのは禁止とされているので」
「そうですか……うわー、真っ暗。明かりがないと分からないや」
セアンは懐中電灯の明かりを使って洞窟の入口を照らしながら答えた。関係者はセアンたちを見て、おどおどしながらこう言った。
「私はこれで戻ります。帰りの方は分からないので、迎えに来られませんが……」
「案内してくれただけでうれしいよ。さっとやって戻って来るから。服とカツラを乾かしながら待っていてね」
入口の調査を終えたセアンがこう言った。それに続き、ライアが関係者の肩を叩いて口を開いた。
「私たちのことは大丈夫ですので。ま、これまで何度も誰も調べてない洞窟を調べてきたので。場数はそれなりに踏んでいます」
「そうですか。それでは……あなた方の帰りを待っています。無事に帰ってきてください」
安心した表情で、関係者は戻って行った。関係者が去った後、ケアノスは軽く背伸びをしてカイトにこう言った。
「さ、行きましょう。ササッと行って創造の力を手にして戻ろう」
「そうだな。セアンの言う通りだ。早く戻って役場の皆を安心させようぜ」
「それじゃあレッツゴー! 皆、私について来て!」
「あ! 待ってよセアーン!」
準備が終わったと確信したセアンが先頭に立ち、猛ダッシュで洞窟の中へ入って行った。それに続き、ライアも走ってセアンの後を追って行った。
「走ると転ぶわよ! 役所の人が転んで悲惨な目に合ったでしょうが! ああもう、人の話を聞いてない!」
ケアノスは突っ走る二人を見て叫んだ。そんな様子を見ながら、ラージュはケアノスに向かってこう言った。
「ああなったらセアンとライアは止まらないわ。私とコスタとカイトで後ろを見るわ。あなたは突っ走った二人をお願い」
「分かったわ。ああ! ちょっとー! あまり先に行かないでー! はぐれたら大変じゃないのー! コラー! 待ちなさーい!」
ケアノスはそう言いながら二人の後を追いかけた。コスタは少し呆れながらも、カイトとラージュの方を向いた。
「じゃ、私たちも行こう」
「ああ。そうだな。早く行かないと本当にはぐれそうだ」
「ここではぐれたら大変ね」
カイトは奥から聞こえるセアンたちの声を聞きながら答え、ラージュは笑いながら答えた。コスタは二人の返事を聞いた後、歩き始めた。
カイトは二回目の洞窟探検だが、この洞窟はかなり冷えていて、それなりに厚い服を着ていても寒さを感じていた。
「結構冷えるな、ここ」
「海が近いせいかも。ふぅ、こんなに寒いとは思わなかった」
「先走った二人が後でばてなければいいけど」
ラージュが手を合わせながらこう言った。カイトはラージュの手元が冷えているのかと思い、近付いた。
「手が冷たいのか? 俺にできることはあるか?」
「それじゃあ」
と言って、ラージュはカイトの服の中に両手を突っ込んだ。あまりの冷たさにカイトは悲鳴を上げたが、ラージュは安堵した表情をしていた。
「あったかーい。カイトの体って暖かいのねー」
「それ以外で手を温める方法はないのか?」
「やっぱり人肌に触れて温まるのが一番ねー」
ラージュはそう言っている中、コスタもカイトの背中に手を突っ込んだ。
「オッヒャァッ! コスタまで!」
「私だって……」
ラージュとコスタの手が体中をまさぐる中、カイトは震えながらこう言った。
「は……早く先に行かないと……」
急かすようにこう言ったが、二人はその言葉を聞き流していた。
セアンとライアは障害物競走をするかのように洞窟内を走っていた。道中先を走るセアンが何かを踏み、その場に止まった。
「何だ? 何か踏んだぞ」
「どしたの?」
「ごめん。変なボタン押したかも。変なことが起きたらゴメン」
セアンがライアにこう話すと、目の前から無数の棘が付いた丸太が二人に向かって飛んで来た。が、セアンは丸太が接近してくる音を聞き、瞬時に左手に銃を構えて丸太を撃ち抜いた。
「棘付き丸太か。古典的な罠だね」
「昔からあったみたいだね。聞いてよ、このからくりが動くような音」
ライアはセアンに耳をすますように言った。セアンが耳をすますと、カタカタと天井の方で何かが動く音が聞こえていた。
「罠が作動しても、上のからくりで元に戻るって話だよ。これで罠の再起動ができるってことだね。昔の人は考えるなー」
「でももう私が壊しちゃったし、どうしようもないね。またボタンを押しても、飛んでくるのは壊れた丸太」
「うん。まぁ、怪我がなくてよかったし、今後この洞窟に入った人がいても、ああなる人がいないからよかった」
ライアはそう言いながら、近くの壁にある白骨化した死体を指さした。古い時代の死者なのか、骨は乾燥して手にしただけで塵となっていた。だが、触る前はそれなりにちゃんとした骨の形を保っていた。
「うわー、頭蓋骨が粉々。そんでもって穴まみれ」
「あの罠で棘が頭蓋骨を貫通、丸太が飛んで来た衝撃でここまでぶっ飛んだね。あの丸太、結構威力があるんだ」
そう話をしていると、後のカイトたちがセアンとライアに追いついた。
「やーっと追いついた……ふぅ」
「セアン、ライア、先走るのは止めてよね。追いかけるこっちの身にもなってよ」
ケアノスは呼吸を整えながら二人に文句を言った。二人はそれなりに反省した態度でケアノスに返事をし、壁の白骨化した死体をカイトたちに見せた。
「うわっ、骨だ。俺たちより先にここに来た人がいたのか」
「そうだね。あまり下手に動かない方がいいかも。罠にかかってああなるかも」
「分かったわ。でも、あなたたちがそれを言う? 下手に動きまくった人が言わないでよね」
ケアノスは先走ったセアンを見てこう言った。ケアノスの何とも言えない視線を感じ、セアンは何も言葉を返せなかった。
それから合流したカイトたちは、まとまって動くように、そして先走らないように行動を開始した。変な罠がこれ以降ないといいけど。と、前の方を歩くカイトは心の中でそう思っていた。
このあとがきを追加したのは2023年、10月7日のことです。過去の話は修正をしていますが、一番きついのは追加の文章を書くこと。前は一話2000字で書いていたので、3000字に統一するため結構追加の文章を書いています。重要な所だなーって思ったところはもちろん、追加のギャグやシーンも書いています。考えるだけで結構時間がかかる。
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