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セアンたちを探せ


 カイトたちの足止めをするために場に残っていたヌケーマとネクラレンの船員を倒し、動きを封じたカイトは急いで遺跡へ向かった。先にネクラレンの船員たちが遺跡へ向かっており、その状況でセアンたちが遺跡へ向かったからだ。早く合流して、セアンたちと一緒にネクラレンを倒し、メダルを手に入れようとカイトは思い、走る足を速めて遺跡へ向かった。




 走り始めて数分後、カイトの目に遺跡のような建物が見えた。


「あれだな」


 カイトは小さく呟き、走る足を遅くした。見た目はソンウクが守っていた遺跡と同じ形であり、周囲には無数の足跡があった。この足跡を見たカイトは、すでにネクラレンの船員が多数この遺跡に入ったのだろうと考えた。


「早くしないと!」


 カイトはセアンたちが先に入ったネクラレンと戦っているかもしれないと思い、急いで遺跡の中へ入った。


 遺跡の中へ入ったカイトだったが、違和感を覚えていた。ソンウクが守っていた遺跡は罠が多数配置されており、その罠にかかった敵の海賊が命を落とした。その結果、敵の海賊と戦うことはなかったが。


 おかしい。メダルを守るにしても罠がないのはおかしすぎる。


 カイトは心の中でこう思った。だが、もう一つの答えをカイトは見つけた。ここのメダルの守り手はソンウクより強い。強いからこそ、罠なんて必要ないのだと。この答えを見つけたカイトは、どれだけ強い守り手と戦うのかと思い、緊張した。そんな中、奥から声が聞こえた。声を聞いたカイトはすぐに刀を手にした。聞こえた声は男の声、セアンたちの声ではなかったからだ。


「敵か」


 カイトはネクラレンの船員の接近を待ち、刀を持って構えていた。しばらくして、泣き叫ぶネクラレンの船員が姿を現した。


「止まれ。止まらないと斬る」


 カイトはそう言いながら、泣き叫ぶネクラレンの前に立った。カイトの姿を見た船員は悲鳴を上げながらブレーキをかけるようにして足を止めた。


「す……すみません! 俺は逃げます! もう戦いません!」


「は……はぁ?」


 泣き叫ぶ船員の声を聞いたカイトは、敵に戦意と殺意がないことを察し、刀を鞘に納めた。


「おい、とりあえず中で何があったか教えてくれ」


「あ……あんたは誰だ? 見たこともない顔だが……」


「俺は……誰だっていいだろうが」


 本当はピラータ海賊団の一員と答えようとしたカイトだったが、ここでピラータ海賊団だと言うと、敵は警戒して何かをするだろうと思い、言葉を伏せた。ネクラレンの船員は精神的に不安定なためか、何も気にせずカイトに話を始めた。


「この遺跡は恐ろしい! 訳が分からなくなる!」


「訳が分からなくなる? どんな意味でだ?」


「どうやって伝えるのか分からねーよ! 俺だって混乱してるんだ! 変な所に罠が出てくる! 服もいつの間にか変えられる! そのせいで油断した仲間は命を落とす! もう最悪だよ!」


 訳が分からない話を聞いたカイトは、この船員の精神が崩壊仕掛けていることを察し、何も聞き出すことはできないと判断した。


「分かった分かった。とりあえずお前はここで待ってろ。絶対に動くなよ」


 カイトはそう言うと、水の魔力を使って船員の体の自由を奪った。いきなり体が縛られたため、船員は動揺しながら声を出した。


「お……おい! 何だよこれ? これじゃあ動けねーじゃねーか! 俺は早く外に出たいのに!」


「俺はピラータ海賊団のカイトだ」


 カイトの言葉を聞いた船員は、少しの間を開けた後で情けない声を上げた。


「嘘だァァァァァァァァァァ! 何でここにピラータ姉妹の彼氏がいるんだァァァァァァァァァァ! ヌケーマの奴が殺したんじゃないのかよ!」


「あいつは俺が倒した。今は道の上で倒れているぜ」


「そんな……」


 カイトの話を聞いた船員は、絶望して泣き始めた。カイトはうるさいと思いつつ、耳を塞いで遺跡の奥へ向かった。




 ネクラレンの船員の話を聞いたカイトは常に右手に刀を持ち、周囲を警戒しながら歩いていた。船員の話で、変な所に罠が出てくると言葉を聞き、いつ、どこで罠に襲われるか警戒していたのだ。何かあったら斬る。そう思いながら、カイトは警戒して歩いていた。


 しばらく歩くと、カイトは広い部屋に出た。何もない部屋だったが、そういう部屋にこそ何かあるとカイトは思い、ゆっくりと歩きだした。すると、ファンファーレのような音が部屋中に響き渡った。


「な……何だ!」


 音を聞いたカイトは思わず声を出した。すると、天井からスピーカーが現れた。


「ようこそ! シチボの遺跡へ! 君はえーっと……ちょっと待ってね。君はこれで十一万四千五百十四人のお客さんだよ!」


 と、男の明るい声が響いた。その声を聞いたカイトは、動揺した。


「え……えと……何ですかあんた? いきなり現れて……」


「おっと、メンゴメンゴー。紹介が遅れちゃったね。俺はこの遺跡を守るシチボってんだ。よろぴくー」


 声の主、シチボの言葉を聞いたカイトははっとした表情になり、シチボにこう聞いた。


「おい! 俺より先に五人の女性がこの遺跡に入ったはずだ! どこにいるか教えてくれ!」


「あのカワイ子ちゃんの連れ? それとも誰かの彼氏?」


「一応五人の彼氏ってことになっている! 無事かどうか知りたいんだ!」


「あの五人の彼氏ね。ヒューヒュー! 五人のレディーを愛するなんてすごいねー。子供のような顔をしてやることは大人だねー」


「俺はそこまでやってない! それより早く無事かどうか教えろ!」


 徐々に苛立ってきたカイトは、少し怒りながらこう言った。カイトの様子が見えるのか、シチボはあらあらと言っていた。


「いやーん。こわーい! 怒っちゃやーよ。あの子たちは無事だから安心してちょんまげ」


「そんな言葉聞いて安心できるか! お前、ふざけてるだろ?」


「ふざけてる? これがふざけてるように見えるか?」


 シチボがこう言うと、壁の一部が回った。そこには絵が描かれていたが、その絵はハンケツで自転車にはねられているイケメンと、それを見ているゴリラの絵だった。


「これ、俺が描いたんだぜ」


「ふざけてるだろお前! 完全にふざけてるだろ! 今、こんなバカバカしい絵を俺に見せる展開じゃねーよな?」


「俺は真面目だ。何故なら、この絵は今はやりのAIで描いたからだ!」


「ハイテクの無駄使い! 腹が立ってきた! いい加減姿を現せ!」


 完全に怒ったカイトを見て、シチボは弱弱しい声を出した。


「あら、完全に怒っちゃった。どうしよう。どうしよう。そうだ、粗品を送ったら喜ぶかな? うん。送ろう、そうしよう」


 そう言うと、また壁が回った。そこには、四分の三以上の食べかけのどら焼きがあった。


「それで許してください」


「許すかボケェェェェェ! 食いかけのどら焼きを渡されても誰も喜ばねーよ! ドラ〇もんだってブチ切れるわァァァァァァァァァァ!」


「え? ドラ〇もんって何? 近所に住むどら猫のこと?」


 この言葉を聞き、カイトははっとした表情になった。異世界にいる人が、ドラ〇もんのことを知るわけがないのだ。


「そうか……ついうっかり」


「ツッコミとしてはテンションも言葉もいいが、ちょっと他の人には伝わらない言葉を使ったな。うーん……君は七十七点だ」


 シチボがこう言うと、上からクズ玉が現れ、すぐに割れて中から一応合格と書かれた紙が現れた。


「何だこれ?」


「おめでとうございます! 君は今開催中の第二十一回、チキチキメダル争奪戦に参加できます!」


「な……何だそりゃ?」


 シチボの言葉を聞き、カイトは冷や汗を流しながらこう言った。そして、心の中でこう思った。変な奴が遺跡のメダルを守っているのかと。


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