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クセダセウの罠


 クセダセウは海に落ちるアオダイショウを見て、ため息を吐いていた。


「何やられてるんだか……」


 そう呟いた直後、セアンの飛び蹴りがクセダセウを襲った。飛び蹴りを受けたクセダセウは空中で一回転し、転倒しないように着地した。


「チッ、根暗なくせに運動神経だけはいいわね」


「そーでもないと海賊なんてやってられないからね」


 セアンに言葉を返した後、クセダセウは口の中の血を吐き出し、セアンを睨んだ。その直後、背後から殺気を感じたクセダセウは後ろを振り返った。


「でりゃァァァァァ!」


 レイピアを構えたケアノスが、クセダセウに向かって走っていた。クセダセウは魔力を解放して両の手に発し、球体を作った。


「盾でも作るつもり?」


「そのつもり」


 ケアノスの言葉に対し、クセダセウはこう答えた。しばらくし、ケアノスが持つレイピアの先端は魔力の球体に命中し、破裂した。ケアノスは目を守るように腕を動かしていたが、煙のようなものがケアノスを襲った。


「ゲホッ、ゴホッ!」


 何かの技を受けたかもしれない。そう思ったケアノスは煙を振り払い、セアンにこう言った。


「あいつが何か仕掛けたかもしれない。しばらくの間、私に近付かないで!」


「う……うん」


 慌てる様子のケアノスを見たセアンは、これから危険なことが起こるかもしれないと危機感を持った。


 この様子を見ていたクセダセウは心の中でこう思っていた。


 かすかながら、僕の技の危険度が高いことを察知している。やはり、ガーティブさんから聞いていた話は本当のようだ。ピラータ海賊団。こいつらは、僕たちの脅威となる存在だ。


 こう思った直後、クセダセウは遠くから響く銃声を聞き、顔を動かした。その直後、遠くから放たれた弾丸がクセダセウの頬をかすった。


「スナイパーもいるんだっけね。いい腕だ。そして……かなり厄介だ」


 クセダセウは再び魔力の球体を作り、周囲を見回した。すると、スナイパーライフルを構えているコスタの姿を見つけた。


「君がやったんだね」


 と言って、クセダセウは作り出した球体をコスタに向かって放とうとした。だが、カトラスを構えたセアンが現れ、カトラスを振り下ろしてクセダセウの攻撃の邪魔をした。


「隙あり。ちゃーんと周りを見て戦わないとダメだよー」


 セアンのカトラスはクセダセウの体を一閃していた。攻撃を受けたクセダセウはバランスを崩して転倒し、その場に倒れた。


「グッ……」


「今がチャーンス! 覚悟しろ!」


 倒れたクセダセウに向かって、セアンはカトラスを振り下ろそうとした。その様子を見ていたケアノスはこれで戦いは終わったと思った。だが、突如ケアノスの体が勝手に動いた。


「え? 何? ちょっ……」


「へ?」


 ケアノスの様子がおかしいと察したセアンは、攻撃の手を止めてケアノスの方を見た。セアンが目にした光景は、ケアノスがレイピアを構えて自分に突っ込んでくる光景だった。


「へ? えええええ!」


 反射的にセアンはカトラスを動かし、ケアノスの攻撃を防御した。


「ちょっ……どうして? 体が勝手に!」


 混乱しながらも、ケアノスは勝手に動く体を制御しようとしていた。だが、ケアノスの意に反して体は勝手に動いてしまう。セアンはケアノスの攻撃を防御しながら、にやりと笑うクセダセウを見た。


「あの野郎、ケアノスに何かしたんだ!」


 その言葉を聞いたクセダセウは、セアンに向かってこう言った。


「さーて、ピラータ姉妹のセアンさん。大事な妹に傷を付けることができるかな?」




 戦いを終えたカイトとライアは、セアンたちが危険な状況に陥っていることを察し、援護に向かっていた。


「向こうの様子がおかしいよ!」


「ケアノスが何かされたみたいだな。俺たちでどうにかできればいいんだけど」


「どうにかできればいいじゃないの。しないといけないの!」


「そうだな。だけどその前に、あいつらをどうにかしないと」


 カイトはその場に止まり、刃の風を周囲にはなった。しばらくして、カイトの攻撃を受けたネクラレンの船員たちが悲鳴を上げながら倒れた。


「この野郎共、隙を見て俺たちに攻撃を仕掛けるつもりだったんだ」


「隠れていたのね。卑怯な奴らね、本当に」


「ああ」


 カイトとライアは周囲を見て、武器を持つネクラレンの船員がまだいることを察し、武器を持った。


「こいつらを倒して援護に向かおう。ライア、もうひと踏ん張りだ!」


「オッケー!」


 その後、カイトとライアはネクラレンの船員に向かって走り出した。




 セアンはケアノスを見ながら、どうやってこの状況を止めるか考えた。ケアノスを傷付けるわけにはいかない。この状況を打破するには、ケアノスに何かしらの技をかけたクセダセウを倒すしかない。そう思ったセアンは、魔力を解放してクセダセウの元へ向かった。


「この野郎! ケアノスを元に戻せェェェェェ!」


「やなこった」


 クセダセウはそう言いながら、再び魔力で球体を作り、セアンに向かって放った。危険だと思ったセアンはその場に止まったが、球体は破裂して粉状になり、セアンの鼻や口から体内に侵入した。


「ざーんねん。これで君は妹と殺しあう運命になった」


「し……しまった……」


 セアンは悔しそうに呟いた。その直後、体が勝手にケアノスの方を向き、勝手にカトラスを構えて走り出してしまった。


「うわァァァァァ!」


「セアン、何とかしてェェェェェ!」


 悲鳴を上げながら武器を振り回すセアンとケアノスを見て、クセダセウは笑い始めた。


「君たちは強い。これまで強い海賊団を倒した実力を持つ。僕たちネクラレンには君たちを倒す力はないさ。だけど、その力を利用することはできるんだよ!」


 と、声高々に笑いながらクセダセウは勝ち誇ったかのようにこう言った。相手を操り、仲間と同士討ちさせる。状況がかみ合えば、自分の力を使わずに相手を倒すことができる。クセダセウはこんな卑劣なやり方で戦っているのだ。


「君たちがどうあがいても、僕の技からは逃れることはできない。僕を倒す? それは無理だよ。オモチャが人間を殺せるかい? オモチャはオモチャらしく、人に遊ばれてぶっ壊れろよ!」


 セアンとケアノスの戦いを操りながら、クセダセウは大きな声で笑っていた。彼は後ろを見て、コスタの攻撃がないことを察し、更に笑いだした。


「あーらら、狙撃手もこの状況をどうにかできないようだ。残念だったね。でも大丈夫、どっちかが死んだら、残った方を僕が始末するから」


 クセダセウの言葉を聞き、セアンとケアノスはクセダセウを睨んだ。


「その目、ムカつくな」


 と言って、クセダセウは魔力を使ってセアンとケアノスの服をビリビリに斬り裂いた。


「傷まみれになっちまいなよ。半裸なら、死ぬ確率が上がるだろう?」


「この変態野郎!」


 ケアノスは大声でこう怒鳴ったが、クセダセウはその言葉を聞き流し、ケアノスを操った。


 これで僕の勝利は確定だ。


 そう思ったクセダセウは、その場で横になってセアンとケアノスの戦いを見ていた。


「さて……この戦いはいつになったら終わるんだろうね」


 そう呟いた直後、クセダセウは腹に違和感を覚えた。攻撃を受けたと同時に、セアンとケアノスを操っていたクセダセウの魔力は消滅した。


「体が自由に……」


「コスタだ。コスタがやってくれたんだ」


 セアンとケアノスは周囲を見回し、クセダセウの死角になる場所にいるコスタを見つけた。コスタはセアンとケアノスの視線に気付き、親指を立てた。


 弾丸を受けたクセダセウは、腹を抑えながら逃げていた。


「そんな……気付かないうちに移動して……狙撃するなんて……卑怯だ……こんなの、卑怯だ……」


「卑怯なのはあんたも同じでしょうが」


「一度、地獄を味わいなさい」


 逃げるクセダセウを阻むように、セアンとケアノスが立っていた。クセダセウは悲鳴を上げて逃げようとしたが、コスタが放った弾丸がクセダセウの右足を貫いた。


「ガアッ!」


 右足を撃ち抜かれ、足を動かすことができなくなったクセダセウは、セアンとケアノスから逃げることができなかった。その後、クセダセウは怒れるセアンとケアノスの猛攻を受け、悲鳴を上げながら海に向かって吹き飛んだ。


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