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現れるのはガーティブの部下


 ウイークの故郷から船出したカイトたちは、ドンパチ島へ向かっていた。ライアは本を読みながら、船の操作をしているケアノスにこう聞いた。


「ねぇ、いつドンパチ島に到着するの?」


「最短距離でも二日はかかるわ。何もなければの話だけど」


 ケアノスはライアにこう答え、モニターを見た。ケアノスはこう考えている。ブラッディークローも全知の剣の封印を解くために動いている。きっと、ドンパチ島にメダルがあることを察して動いている。戦いになる可能性が高いと。


「油断しないでライア。あいつらも動いているから、大きな戦いになる可能性があるわ」


「そうだね。ま、そうなったら全力で暴れるよ」


 ライアは笑いながらこう答えた。その笑みを見て、ケアノスは少し不安になった。不安な気持ちがケアノスの表情に出たのか、ライアはケアノスの顔を見て口を開いた。


「何だか不安そうだね。何が不安なの?」


「幹部クラスか、幹部の部下が動くかもしれないって思っているのよ」


「うーん……幹部の部下か……結構強そうだね。でも、私たちも修行したから強いと思うけど」


「修行したからって油断はしないで。あいつらがどんな手を使うか分からないんだから」


 ケアノスはライアに念を押すようにこう言った。その時、釣りをしていたカイトとセアンが部屋に入ってきた。


「ケアノス、モニターの確認できる?」


「モニターの確認? 今してるけど」


「変な船が近付いてくるんだよ」


 カイトの言葉を聞き、ケアノスは急いでモニターを操作した。すると、監視カメラの死角になる位置から謎の船が見えた。


「あれが変な船ね。監視カメラの死角を突いて動いてくるということは……皆、構えて!」


 ケアノスがこう言った直後、突如ヴィーナスハンドが大きく揺れた。


「おわァァァァァ!」


「キャアッ!」


「どうやらあいつらは敵のようだね!」


 セアンは外に飛び出し、カイトはケアノスとライアに近付いた。


「大丈夫か?」


「ええ、何とか」


「あいつらひどいねー。いきなり攻撃仕掛けてくるなんて!」


「敵意むき出しのようだな。俺、あいつらをぶっ飛ばしに行ってくるよ」


「私も行く!」


 カイトは刀を持ち、ライアはナイフを持って外に飛び出した。ケアノスはため息を吐きつつ、見張り台にいるコスタと、保健室にいるラージュに敵の接近を知らせた。




 セアンはハンドガンを構え、敵の船から飛来する大砲の弾を撃ち落としていた。


「もう、数が多すぎるよ!」


 セアンは文句を言いながらハンドガンのリロードを素早く行い、飛んでくる大砲の弾に向かって弾丸を飛ばしていた。そんな中、刀を持ったカイトが近付き、魔力を解放して風を放った。この風で、大砲の弾のほとんどが途中で勢いを落とし、海へ落ちて行った。


「ありがとうカイト! 助かったよ!」


「無事でよかったよ。それより、あれが敵か」


 カイトは前を見て、敵の船の確認をした。帆には何も描かれていなく、派手な装飾もない地味な船だった。


「地味そうな船だな。大したことなさそうに見えるけど……」


「偏見で見てたらダメだよ。あの船、結構な数の大砲があるよ」


「ああ。まだ撃ってくるみたいだしな!」


 カイトは大砲の音を聞き、再び刀を振るって風を出し、飛来する大砲の弾を落とした。


 カイトがセアンと合流し、二人で大砲の弾を対処していたが、敵の攻撃は勢いを落とさなかった。長時間敵は遠距離から攻撃を続けており、ヴィーナスハンドに接近しようとはしなかったのだ。


「陰気な戦い方をするわね。ずーっと遠くから大砲を飛ばしてくるだけなんて」


「ああ。地味に嫌な戦い方だな。あの船の船長、人としてかなりひねくれてそうだな」


 カイトとセアンが話をしていると、敵の船の攻撃が収まった。カイトとセアンは魔力を抑え、様子を見ることにした。


「攻撃が終わったわね」


「弾がなくなったのか?」


 そう話をしていると、敵の船は猛スピードでヴィーナスハンドに近付いて行った。接近を察したセアンは急いで口を開いた。


「皆! 敵が猛スピードで接近中! すぐに戦えるように身構えて!」


 セアンが大声を発した後、カイトは強い魔力を解放して敵の船に向かって風の刃を放った。敵の船はカイトの攻撃をかわしたのだが、急に方向を変えたためか勢いが落ちた。


「これで激突は防げたが……あいつら、まだ近付いてくるな」


「直接叩くつもりみたいだね。それなら、相手になってやるわ!」


 セアンはにやりと笑い、敵の船の方を見た。




 敵の船では、暗い顔をした船員がため息を吐いていた。


「はぁ……あの攻撃を防ぐなんてなぁ……」


「俺たち、とんでもない奴らに喧嘩を売ったかも」


「勝てるかな……不安だなぁ……」


 船員たちがネガティブなことを言う中、変わった形の剣を持った男が近付いた。


「あまりネガティブにならない方がいいよ。勝つのは僕たち。そう考えよう」


「そうですか……アオテンジョウさん」


 アオテンジョウと言われた男は、船員を集めてこう言った。


「とにかく相手を倒すんだ。手段は問わない。どんな卑怯な手を使っても勝つ」


「卑怯ですか……どんなことをします?」


「人質とか、相手の船の底に爆弾を仕掛けるとかどうですか?」


「そうだね……人質は……捕まえようとしたら逆にこっちが捕まるかもしれないな。相手はピラータ姉妹。僕たちより強いかもしれない。なら、爆弾を仕掛けた方がいい。罠もいいだろう」


「罠ですか……どんな罠を使います?」


「爆弾はもちろん使う。もしあるなら、相手の動きを封じる罠があればいいな。一瞬でもいい、動きを封じれば殺すことができる」


 アオテンジョウが船員と話をしていると、別の男が近付いた。


「罠よりも、特殊な魔力の技を使った方が戦いやすいと思うよ」


「誰もがクセダセウさんみたいに、器用に魔力を使えませんよ」


 クセダセウと言われた男は、小さく笑ってアオテンジョウに近付いた。


「話をしている場合じゃないよ。あちらさん、敵意をむき出しにしているだろうから」


「そうですね……相手はピラータ姉妹。ガーティブさんから言われた通りに強いんだろうなぁ……」


「ま、相手が強くても隙を突けば殺せるよ。とにかく、俺たちで頑張って戦おう」


 クセダセウがこう言うと、突如船員の悲鳴が聞こえた。声を聞いたアオテンジョウとクセダセウは周囲を見回して驚いた。


「あらま。敵がきたみたいですね」


「そうだな」


 アオテンジョウとクセダセウは、船に乗り込んだカイトたちの姿を見て、小さく話をした。




 カイトは敵の船員を切り倒し、首を掴んで持ち上げてこう言った。


「何だテメーら? 俺たちに何の用だ?」


「僕たちは……ネクラレン。ブラッディークローの幹部、ガーティブさんの部下です」


 船員の答えを聞き、カイトは目を丸くして驚きながら、ガーティブと遭遇した時のことを思い出した。


「あの男の部下か……」


「多数いる部下の一つですがね……」


 部下はそう言うと、にやりと笑って魔力を解放し、カイトに向かって火を放った。だが、攻撃を察したカイトは船員を上に投げた。それに合わせるかのように、ライアが上に投げられた船員を飛び蹴りで海に向かって蹴り飛ばした。その後、カイトと合流したライアは話をしていたアオテンジョウクセダセウを見た。


「カイト、あいつらの魔力がかなり強いから、きっとこの船の責任者かなんかだよ」


「ああ。見た目は弱いけど、何をするか分からないからな」


「あと少しすれば、セアンやコスタ、ケアノスもこっちにくるって」


「それまで、俺たちでどうにかしよう」


 カイトとライアがこう話をしていると、アオテンジョウはあくびをしてクセダセウにこう言った。


「あの二人は僕が相手をします。クセダセウさんは周りの船員を助けてください」


「了解。死ぬなよ」


 アオテンジョウはクセダセウの言葉を聞いた後、頷いてカイトとライアに向かって走り出した。


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