風呂場での会話
セアンは突如入って来たカイトを見て、驚きはした。だが、風呂場の外にいるケアノスの姿を見て、荒れている自分の気持ちを落ち着かせるため、カイトを無理矢理風呂場へ入れたのだと察知した。
「わ……悪いセアン。こんなことになって……すぐに出て行くから。あれ? 扉が開かない」
カイトは慌てながら風呂場の扉を開こうとしたが、ケアノスが扉を開かないようにしたためか、扉は開かなかった。カイトはどうしようか考えていたが、セアンはこう言った。
「私は大歓迎だよ。さぁ、一緒に入ろうよ。グヘヘヘ」
セアンは嬉しそうにカイトを湯船へ入れようとしたが、照れたカイトは急いで湯船に入り、壁の方を向いた。セアンは少し頬を膨らませ、湯船に入った。
「むー。女の子と一緒にお風呂に入るから、少しは嬉しくないの? 男の子だったら嬉しくて興奮するって聞いたけど」
「何だか恥ずかしくてさ……俺はよくてもセアンが……どうだか……」
「私は大歓迎って言ったじゃん。遠慮せずにさぁさぁ、私に近付いて~」
と言って、セアンはカイトに抱き着いた。裸のためか、色んな感触がカイトの背中から伝わった。カイトは顔を真っ赤にしながらセアンから離れようとしたが、暴れたら滑って余計とんでもないことになる。そう思ったカイトはそのままじっとしていた。
それからしばらくセアンはカイトを抱きしめ、カイトは恥ずかしさのあまり口を開くことができなかった。だが、こんな状況じゃあだめだと思ったカイトは口を開いた。
「いろいろ察したよ。創造の力って宝石のせいで島が攻撃されて、やり場のない怒りを溜めているって」
「やっぱりばれたか。むかつくの。変な宝石のせいで島がこんなにされて、お父さんとお母さんを殺されて……島もボロボロにされて……」
「俺も気持ちは分かる。しょうもない理由で大切な物を失うのは嫌だ。相手に殺意を抱くかもしれない」
カイトの言葉を聞き、セアンはゆっくりと口を開いた。
「同じ気持ちなんだね」
「いや、皆そう思うよ。セアンだけじゃない、きっとコスタたちも同じ気持ちだ。ブラッディークローに対して怒りと憎しみを抱いているよ」
「そうだね。きっと皆も同じ気持ちだ。私だけじゃない。ダメだね私、みんな同じ気持ちなのに、一人だけでピリピリしちゃって」
セアンはそう言った後、カイトの横に近付いた。
「ねぇ、もし創造の力を見つけたらどうする?」
「分からない。もしもの時は誰かに任せようと思う。変に使ったらとんでもないことになりそうだけど」
「あはは。同じ考えだ。私が見つけても、どうしようか分からない。サマリオに預けるってのも手かもしれないね」
セアンの言葉を聞き、カイトはいつものセアンに戻ったと安堵した。セアンはカイトの顔を見て、にやりと笑って近づいた。
「その顔は何~? やっぱり私とお風呂に入って嬉しいの~?」
「いやいやいや、違う違う! いつものセアンに戻ってホッとしたんだよ俺は!」
「本当~? 嘘ならこうだ!」
と言って、セアンはカイトに抱き着いて体中を触りまくった。カイトは飛びかかって来たセアンから避けようとしたが、狭い湯船でセアンのタックルを避けるのは不可能だった。
風呂場の外では、ケアノスが二人の様子を聞きながら安堵の息を吐いていた。
「セアンの調子が戻ったみたいね。ありがと、カイト」
そう言って去ろうとしたのだが、騒ぎを聞きつけたコスタたちが脱衣所に入って来た。
「ねー? 誰か入っているの? なんだか賑やかだけど」
「セアンとカイト。しばらくそっとしておきましょう」
ライアの質問をケアノスが返すと、それを聞いたコスタは急いで服を脱ぎ始めた。
「ちょっと、何しているの? 何で服を脱ぎ始めているの?」
「私もお風呂に入る。たまにはカイトと入りたいもん。セアンだけずるい」
「私も一緒。男の子とお風呂に入るのって初めてだもん。その機会があればいいなって思っていたから」
そう答えながらラージュも服を脱いでいた。ケアノスの隙を見たライアも服を脱ぎ、風呂場に突入していた。
「セアン! カイト! 私も入るよー!」
「ちょっとライア! 今は私とカイトが風呂場でいい感じなっているから邪魔しないで! それと狭いし、これ以上入ったら風呂場がパンクするって!」
「たまには私もカイトと入りたい。セアン出てってよ」
「何を勝手な! 絶対に入れさせるかー!」
「セアンはずっと入っていたじゃない! ずるいよー!」
風呂場からはライアとコスタがセアンと揉める声が聞こえた。ケアノスは呆れてため息を吐いたが、ラージュがケアノスに近付いていやらしい手つきでケアノスの服を脱がした。
「ひあああ! ちょっとラージュ! 何してるのよ!」
「あなたも入りたいでしょ? 本当は? そういう顔をしているわよ」
「そ……そんなわけ……」
「姉妹の間で嘘は通じると思う? あなたも自分の欲望を開放したら? 欲望を我慢してたら後々で爆発するわよ。それだったら、今解放しちゃったほうがいいわよ」
ラージュの言葉に動揺しているが、その隙に服を全て脱がされたケアノスは、ラージュと共に風呂場に入ってしまった。
「さーて、たまには皆でお風呂に入りましょうねー」
「ちょっと! 皆が入ったらお風呂場が!」
ケアノスは慌てて戻ろうとしたが、滑って宙を舞ってしまった。皆が呆然とする中、宙に舞ったケアノスはカイトの方に飛んで行き、そのままカイトの所へ落下した。
「いたた……」
ケアノスは立ち上がろうとしたが、自分の下に気を失ったカイトがいることを察した。ぶつかった時に体が密着したことを知ったケアノスは、恥ずかしくなって大声を上げた。
翌日、市役所の偉い人の所に来たセアンたちは、セラーノ自然公園の洞窟を調べに行くことを伝えていた。
「そうですか。あの洞窟へ行くのですね。それに関して、許可はいりません。ここはあなたたちの故郷です。ですが、洞窟から戻って来た時は必ず私たちに顔を見せに来てください。私も役員も、不安なので」
「分かりました。何かが分かったら必ず伝えに来ます」
セアンの答えを聞き、偉い人はよかったと思うような表情をした。そして、カイトの方を向いた。
「それよりも……昨日何かあったのですか? カイトさんの頬に手の痕があるのですが……」
「それはちょっと……気にしないでください」
ケアノスが答えを濁すようにこう言った。実はエッチなトラブルがあった後、ケアノスはカイトに強烈なビンタをかましていたのだ。
洞窟へ向かう最中、ケアノスは昨日のことを思い出しながらラージュに文句を言っていた。
「ラージュ、昨日みたいなことがあったらまずあんたを恨むから。いつかあんたも恥ずかしい目に合うかもって考えていなさいよ」
「ごめんなさいねー。オホホホホホ」
「本当に謝る気ある? 私はお風呂場に入る気はなかったのに……」
「でもいずれはカイトと一緒に入りたいと思っていたでしょー?」
「姉妹だから皆が考えること、分かるのよね」
と、冷やかすようにセアンとライアがこう言った。言葉を聞いてブチ切れたケアノスは二人に拳骨をした後、カイトにこう言った。
「気持ちはまた後で伝えるわ……でも……今はそんな気分じゃない」
「ははは……分かった。気分が向いた時に伝えてくれ」
カイトもケアノスが自分にどんな感情を抱いているかは、大体予想できた。転生前に女神から五つの運命と出会うと言われているため、五つの運命がピラータ姉妹のことだと大体理解していた。そんな中、セアンたちはセラーノ自然公園に到着した。
前回書いていた異世界革命物語はあまりサービスシーンがなかったので、ビューティフルパイレーツはそこそこサービスシーンを書いて行こうかなと思っています。
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