共に攻撃を仕掛けろ!
メリスは風のチャクラムを操り、ムイジの隙を突いて反撃を行った。ムイジは風のチャクラムが飛んでくる音を聞いて、追撃があることを察した。
「ウガァァァァァ!」
ムイジは叫びながら、右手で風のチャクラムを殴って消そうとした。ムイジの拳と風のチャクラムが衝突し、激しい音が周囲に響いた。
「うわっ! すごい音! ドリルで何かを削ってるみたい!」
と、ライアは耳を塞ぎながらこう言った。しばらくして音は聞こえなくなり、ムイジを襲っていた風のチャクラムは消滅していた。ライアは立っているムイジを見て、落胆した声を上げた。
「ああ……風のチャクラムが……」
「大丈夫よライア。確かに風のチャクラムは消えたけど、あいつに傷を与えたわ」
ケアノスの声を聞き、ライアはムイジの右手から血が流れているのを見た。三本のイコルパワーを使って体が硬くなったのだが、この攻撃でダメージを与えることができたのだ。
「傷ができたのなら、そこを攻撃すればいい。あいつに更にダメージを与えるわよ!」
と言って、大剣を構えたラージュがムイジに向かって飛んで行った。ムイジは迫ってくるラージュに気付き、右手で攻撃しようと構えた。この動作を見たラージュは心の中でこう思った。
攻撃を受けて血を流しているのに、それに気付いていないのかしら?
そう思いながら、ラージュはムイジの右手に向かって大剣を振り下ろした。大剣の刃はムイジの右手の傷に命中し、傷を広げた。攻撃を受けた直後、ムイジは大声で悲鳴を上げたため、ラージュは攻撃が成功したことを察した。
「下がってラージュ!」
「私たちも攻撃を仕掛けるよ!」
ラージュの後ろからケアノスとライアが現れ、傷を負って苦しむムイジに攻撃を仕掛けた。最初に動いたのはケアノス。ケアノスはレイピアの魔力を込め、ムイジの右手に攻撃を仕掛けた。
「苦しそうな顔だけど、あんたは敵! 容赦はしない!」
ケアノスはそう言って、レイピアの刃をムイジの右手に突き、そのまま奥深くまで突き刺した。激痛を感じているのか、ムイジはサイレンのように大きな声を上げていた。
「もう、うるさいわねー!」
ケアノスは後ろに下がり、耳鳴りが響く耳を抑えた。その直後、ナイフを持ったライアがムイジに飛びかかり、更に右手の傷を広げた。
「まだまだ私たちの攻撃は終わらないよ!」
ナイフの刃が刺さりつつ、傷が広がっているせいか、ムイジは何度も大声を上げた。この声を聞いているメリスは、攻撃が効いていると判断した。
「このまま攻撃を続ければ、奴を倒せます!」
「オッケー。デカい一発を与えてやるわ!」
このまま戦いを終わらせるつもりでラージュは大剣を構えたが、突如ライアの悲鳴が響いた。ムイジが大きく体を動かし、攻撃をしているライアが上へ飛んでしまったのだ。
「ライア、自分で何とかできる?」
「何とかやってみるよ」
ライアは空中で態勢を整え、船の上に着地した。それと同時に、ムイジがラージュに襲い掛かった。
「私が狙いってわけね」
ラージュはそう言って大剣を構え、迫ってくるムイジを睨んだ。しばらくして、ムイジは左腕を動かし、ラージュに向かって振り下ろした。このタイミングでラージュは反撃を仕掛けようと思い、大剣を動かした。だが、後ろからコスタの魔力を感じたため、途中で動きを止めた。
「あんたに一撃を与えるのは、私の役目じゃないみたい」
ラージュがこう言った直後、コスタが放った弾丸がムイジの右手に命中した。そこからひび割れのように右手の傷が広がり、右肩まで傷が広がった。
「これで、もう戦いは終わったも当然ね」
広がった傷を見て、ラージュはそう言った。だが、ムイジは叫びながらラージュに攻撃を仕掛けた。ラージュは大剣で防御したが、攻撃を受けた反動で後ろに吹き飛んだ。
「ラージュ!」
ライアがラージュを受け止め、ケアノスがラージュに追撃しようと動くムイジの動きを止めた。
「うがっ……くくく……」
ケアノスはレイピアの刃に魔力を発し、巨大な刃を作ってムイジの動きを止めていたのだが、ムイジは無理矢理巨大な刃を破壊しようとしていた。
「こいつ……力が強い……」
「ケアノス、助けに行くわ!」
「私も行きます!」
ケアノスを助けるため、ラージュとメリスが同時にムイジに攻撃を仕掛けた。ムイジはケアノスへの攻撃を止め、ラージュとメリスに向かって両腕を動かし、攻撃を仕掛けた。
「うあっ!」
「きゃあっ!」
攻撃を受け止めつつも、吹き飛んだラージュとメリスは遠くへ吹き飛んだ。ケアノスはレイピアを構え直し、ライアはナイフを持ってムイジに向かって走り出した。その時、上からカイトとセアンが現れた。
「ごめん、遅れた!」
「カイト、セアン!」
「傷は大丈夫なの?」
傷の心配をするライアとラージュを見て、カイトは笑顔を作った。
「ああ。大丈夫だ」
「遠くまで吹き飛んだからこっちに戻るのが大変だったの。あとは私とカイトでどうにかするから!」
カイトはセアンと共に、大声を上げるムイジを見た。
「さて、行くぞ」
「うん」
カイトの声に合わせて、セアンは動き出した。セアンはハンドガンでムイジに向かって発砲したが、ムイジは胸を前に突き出して弾丸を受けた。弾丸は命中したのだが、体を貫くことはなかった。
「これが狙いだったんだよ!」
カイトは魔力を解放し、力を込めて刀を振るった。刀が命中したのはムイジの体にめり込んだ弾丸。弾丸は再び勢いを付けて動き出し、ムイジの体を貫いた。
「ウガァァァァァ!」
大きなダメージを受けたムイジは、悲鳴を上げた。その直後、セアンがムイジの右胸に向かってカトラスを振り、ダメージを与えた。
「よっしゃ! これで終わった!」
カイトとセアンの攻撃を見たライアは、この攻撃で戦いが終わったと思った。カイトとセアンは攻撃を終えた後、後ろに下がってムイジの様子を見た。ムイジは弱弱しく声を上げ、後ろに下がっていた。カイトはまだ戦うつもりなのかと思い、刀を構え直した。だが、セアンがカイトにこう言った。
「もう終わりだよ。武器をしまっておこうよ」
セアンの言葉を聞き、カイトはムイジの様子を見た。そして、刀を鞘に納めてセアンと共にケアノスの元へ戻った。後ろに下がっているムイジは声を上げているが、しばらくして足を滑らせ、海に向かって落ちてしまった。海面に当たるその前に、ムイジの体は膨張して破裂した。
どこかの島。ブラッディークローの紋章が描かれた船の上でガーティブは日光浴をしていた。ガーティブはサングラスをして眠っていたのだが、大きな足音を耳にして目を覚ました。
「ふわぁ……何かあったの?」
ガーティブはサングラスをテーブルの上に置き、周囲を見回していた。すると、部下の一人がガーティブに近付いた。
「大変ですガーティブ様!」
「様は付けなくていいよ。僕はそんなに偉くないし……」
「は……はぁ……」
「それよりも、何かあったの?」
「はい。クラッチハート海賊団からの連絡が途絶えました」
この話を聞き、ガーティブはため息を吐いた。
「何かあったんだね……嫌だなぁ」
そう呟いた後、テーブルの上に置いてあった携帯電話が鳴り響いた。ガーティブは嫌な顔をし、携帯電話を手にした。
「もしもし?」
「もしもし? じゃねーよ! ガーティブ、今から会議をするからすぐに準備をしな!」
この言葉を聞いたガーティブは嫌そうな顔になった。携帯電話をテーブルの上に置き、近くにいる部下にこう言った。
「今から緊急の会議だ……」
「さっきの電話のことですか?」
「リラゴさんからの連絡だよ。あーあ、ゆっくりしてたのに……」
小さく呟きながら、ガーティブは会議室へ向かった。
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