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船長ムイジとの戦い


 カイトたちは強敵たちを倒し、周囲の船員と戦っていた。クラッチハートの船員たちは自分たちより強いアフィルたちが倒されたのを見て、カイトたちには敵わないと察知していた。それでも、彼らは逃げることを選択せず戦っていた。


「こうなったらやれるとこまでやるんだ!」


「派手に暴れて派手に散ろうぜ!」


「全員、腹をくくれ!」


 臆することもせず戦意を上げる船員を見て、カイトはため息を吐いていた。


「弱い奴とあまり戦いたくないんだけどな……」


 カイトはそう言いながら、手加減しながら戦っていた。そんな中、セアンたちがカイトの前に集まった。


「気を付けてカイト、奥の部屋から魔力を感じる」


 セアンの言葉を聞き、カイトは奥から異質な魔力を感じた。カイトは刀を構え、奥の部屋をじっと見つめた。その一方で、周りの船員も魔力を感じたのか、激しく動揺していた。


「これって……船長の魔力か?」


「そうだと……思う。だけど、こんなに濁ったような魔力じゃないぞ」


「いつもの船長の魔力じゃない。一体何があったんだ?」


 船員たちが恐れるようにこう言った直後、奥の部屋が爆発したかのように粉々に吹き飛んだのだ。その中から出てきたのは、三メートルほどの高さの大男だった。カイトたちは無反応だったが、船員たちは大男を見て驚いていた。


「せ……船長!」


「どうしてこんなにデカくなったんですか!」


 船員の言葉を聞いたラージュは、あの大男が船長、ムイジであること、そして何らかの力を使って巨大化したのだと察知した。


「気を付けて皆、何らかの力を使って大きくなったみたい。イコルパワーを使った可能性もあるから気を付けて」


 ラージュの言葉を聞いたライアは、何かを思い出してこう言った。


「確か、トリガミヤワー海賊団のラブアも同じように巨大化していたね。あっちの方が大きかったね」


「あいつはアップボディを使って巨大化したからね、今回は薬の力」


「のんきに話をしている場合じゃないわよ、こっちから行くわ!」


 ケアノスの言葉を聞き、ライアとラージュは話を終えて巨大化したムイジの元へ向かった。




 ムイジは巨大化した自身の体を見て驚いていた。イコルパワーを使った結果、体が大きくなるとは思ってもいなかったからだ。


「これがイコルパワーの力か……これほどの力があったとは」


 そう呟いていると、刀を持ったカイトが襲い掛かってきた。ムイジは後ろに下がり、カイトの攻撃をかわした。


「グッ、結構早いな!」


 後ろに下がったムイジを見たカイトは、悔しそうにこう言った。ムイジは攻撃をかわした後、驚いた表情をしていた。軽く後ろに下がっただけなのに、ムイジとカイトの距離はかなり広くなったからだ。


「身体能力も上がったのか。上手に使わなければ、宝の持ち腐れだな」


 ムイジが呟いた直後、セアンがムイジの腹に向かってハンドガンを発砲した。放たれた弾丸はムイジに向かって飛んだが、ムイジの腹を貫くことはできなかった。


「やっぱり防御力も上がったか」


 悔しそうにセアンはそう言った。ムイジはにやりと笑い、刀を構えるカイトに接近した。


「これならお前らを殺すことができる!」


 イコルパワーの力があれば勝てる。そう思ったムイジは勝利を確信し、カイトから倒そうと考えた。カイトはため息を吐き、ムイジを睨んだ。


「その程度で俺を倒せるわけがないだろうがよぉ!」


 カイトは魔力を解放し、その衝撃でムイジを吹き飛ばした。吹き飛んだムイジは宙で一回転して態勢を整えて着地したが、その隙にカイトが接近してムイジに斬りかかった。

弾丸で貫くことができなかった体だ。剣による攻撃も効くはずがない!


 そう思ったムイジだったが、カイトの刀はムイジに切り傷を作った。


「グハッ!」


「悪いな、魔力を込めていたから、威力は段違いだぜ」


 カイトはそう言って二撃目の斬撃を放った。ダメージを受けたムイジは反撃のつもりでカイトを殴り、そのまま後ろへ吹き飛ばした。だが、カイトの後ろにいたセアンがムイジに飛びかかっていた。


「これでも喰らいなさい!」


 セアンはムイジに向かってカトラスを振り下ろした。二撃目の斬撃を受けたムイジは後ろに下がり、魔力を使って治癒を始めた。その時、発砲音が響いた。後ろにいるコスタがムイジに向かって狙撃をしたのだ。狙った場所は、セアンによって作られた切り傷。傷付いた場所なら、弾丸によるダメージを与えられるとコスタは考えたのだ。その考えは的中した。ライフル弾の先端はムイジの体に命中したのだ。


「グオッ! うおおおおお!」


 激しい痛みを感じながら、ムイジは後ろに下がり、急いでライフル弾を体から抜き取った。半分しか体にめり込んでいなかったため、抜き取ることができたのだが、この攻撃で更にダメージを負ってしまった。


「ぐ……うう……」


「結構きつそうだね。でも、容赦はしないよ!」


「ええ。行くわよ、ライア!」


 ライアはラージュが構える大剣の上に乗り、ラージュの方を向いて頷いた。攻撃の準備ができたと察したラージュは力を込めて、ムイジの方に向かって大剣を振るった。その時の勢いで、ライアはムイジに向かって飛んだ。


「一気に片を付けてやるわ!」


 猛スピードで飛んでいるライアは、途中でナイフを構えて体を回転させた。勢いを付けての攻撃は、さらにムイジに傷を付けた。


「グゥッ! ウワアアアアアアアアアア!」


 追い打ちを受けたムイジは悲鳴を上げながら後ろに下がった。ライアの攻撃が終わった後、ムイジは血塗れになっていた。


「グッ……ここまでとは……」


「何を苦しそうにしているんだ? これでも、俺たちはまだ本気を出していねーぞ!」


 カイトはそう言いながら、ムイジに接近して素早く刀を振るった。カイトの攻撃を受けたムイジは目を開き、近くにいるカイトを睨んだ。


「クソ……ガキ……が……」


 攻撃を受け続けたムイジはそう言いながら、体勢を崩した。




 その頃、マジハンド島に向かっているシーポリスの船の上では、サマリオがカイトたちの魔力を感じていた。


「どうやら、戦いが始まっているようだな」


 サマリオの言葉を聞いたツリーは、驚いた声を上げた。


「えええええ! もう始まってるの? 私は嫌だからね、戦うのはこりごりよー」


 ため息を吐いてツリーはこう言ったが、サマリオは笑みを見せてこう言った。


「大丈夫だ。ツリーの出番はないようだ」


「あーよかった。私はあまり戦いたくないのよねー」


 ツリーは安堵の表情を見せながらこう言った。その様子を見ていたメリスは、呆れてため息を吐いた。


「ツリーさん、魔力を持っているんだから少しは戦ってくださいよ。それなりに経験を積んでいるのに、最近全然戦っていないじゃないですか」


「私はマスコットキャラ。戦いよりも、その場にいて皆の癒しになるような存在なの。どっちかって言ったら、援護向けなのよ」


「援護したことありましたっけ?」


 メリスの言葉を聞き、ツリーは怒り出した。だが、サマリオがツリーを掴み上げ、どこかへ持って行った。それからしばらくして、サマリオが戻ってきた。


「そろそろ上陸の支度をするぞ。敵がイコルパワーを使ってセアンたちと戦っている可能性もある。メリスから聞いたが、セアンたちも強くなっている。だがしかし、善戦しているわけではない。全員、気を引き締めて戦いに挑め!」


 サマリオの言葉を聞き、メリスやシーポリスの戦士たちは敬礼のポーズをした。それからしばらくして、シーポリスの船はカイトたちが戦っている場所から少し離れた場所に停泊した。そして、武器を持ったシーポリスの戦士たちが次々と上陸し始めた。


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