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コスタに迫るナイフ


 セアンは鎖を使う女と戦っていた。戦いの中で、セアンは鎖使いの女の実力を把握し、勝てる相手だと判断した。セアンの敵ではないという言葉を聞いた鎖使いの女は、額に青筋を浮かべてこう言った。


「私が敵じゃない? こう見えても、私はクラッチハートの中じゃあ強い部類にいるわよ」


「クラッチハートの中だけの話でしょ?」


 セアンはそう言ってカトラスに魔力を込めた。鎖使いの女は魔力を解放し、鎖を動かしてこう言った。


「これ以上ふざけたことを言うと殺すわよ。このアフィルの強さを甘く見ないで!」


 鎖使いの女、アフィルはセアンに向かって鎖を放った。セアンはため息を吐き、カトラスを構えた。


「何度も鎖を投げるってのもあまり芸がないね」


 そう言って、セアンはカトラスを素早く何度も振るった。その結果、アフィルが放った鎖はバラバラになって地面に落ちた。それを見たアフィルは目を丸くして驚いていた。


「そんな……この鎖は高度な鉱物でできているのに……」


「質が悪かったんじゃないの?」


 アフィルに接近したセアンはそう言うと、アフィルに向かってカトラスを振るった。一閃されたアフィルは倒れる間際にセアンを睨み、小さな声でチクショウと言った。




 カイトとセアンの戦いは終わった。後ろでスナイパーライフルを使って戦うコスタはそう思いつつ、周囲を見回した。攻撃を終えた後、コスタは急いで場所を変えた。


 何なのもう? さっきから変な視線を感じる。


 コスタはそう思いながら移動していた。攻撃の中、コスタはどこからか視線を感じていた。そのため、攻撃を終えたらすぐに場所を変えるという行動を何度も繰り返していた。


 次に移る場所を決めたコスタはすぐにそこへ移動し、攻撃の支度を始めた。そんな中、変な視線を再び感じた。


「誰かそこにいるの?」


 コスタはスナイパーライフルを持ってこう言った。その直後、コスタの背筋に悪寒が走った。視線を感じると同時に、殺意を感じたからだ。


「ばれちゃしょうがないわね」


 少し離れた所で女性の声が聞こえた。しばらくして、コスタから少し離れた場所から女性が姿を現した。


「いきなり人が現れた……何か魔力の技を使っているわね」


「ご名答。でも、トリックは教えないわよ」


 その女性はそう言うと、ナイフを持ってコスタに斬りかかった。コスタは風を発して反撃し、その女性を後ろへ下がらせた。そして、素早くスナイパーライフルを構えて引き金を引いた。


「クッ!」


 飛んでくる弾丸を見て、その女性はナイフを振るって弾丸を斬り落とした。コスタは腰にあるショートソードに右手を当てつつ、女性にこう言った。


「それなりにやるようね」


「いざという時に鍛えたからね。本当は、私は暗殺が仕事なんだけど……」


 その女性はそう言うと、立ち上がって言葉を続けた。


「コスタ・ピラータ。その命、このホッキスが貰うわ」


「悪いけど、あなたみたいな三流暗殺者が私を殺すことはできないわ」


 コスタはそう言って右手にショートソードを持ち、ホッキスに斬りかかった。ホッキスは迫るショートソードに対し、ナイフを使って攻撃を防御した。


「あんたがショートソードを使うことは知っているわよ」


 ホッキスはコスタの攻撃を流した後、左足のハイキックでコスタのあごを蹴った。蹴りを受けたコスタは一瞬だけ怯んだが、この隙に殺されると考えたコスタは無理矢理魔力を解放して態勢を整え、後ろに下がった。しかし、ホッキスはナイフを構えてコスタに向かって走り出していた。


「死ね!」


 迫るホッキスに対し、コスタは左手でスナイパーライフルを構えた。


「片手で大きなスナイパーライフルを撃つつもりか? 反動でぶっ飛ぶわよ!」


 ホッキスはこう考えていた。本来スナイパーライフルのような威力がある大きな銃は両手で使う物。そう使わなければブレも抑えられないし、態勢も安定しないため反動でどうなるか分からない。それでも、コスタは左手でスナイパーライフルを撃った。外れるだろうと思っていたホッキスだったが、その考えは大きく外れた。


「え……」


 放たれた弾丸はホッキスの左足の太ももに向かって放たれた。飛んでくる弾丸を見てホッキスはすぐに飛び上がった。地面に着地したホッキスは予想が外れたことを察し、舌打ちしていた。コスタは片手でスナイパーライフルを撃てる。そして、さっきの攻撃でコスタが攻撃しやすい位置に移動したのだ。


 コスタはわざとスナイパーライフルを撃った後の反動を受けていた。その反動で後ろに下がり、ホッキスとの距離を広げ、スナイパーライフルが扱いやすいようにしたのだ。


 これなら攻撃できる。


 そう思いながら、コスタはスナイパーライフルを構え、ホッキスの両足の太ももに向かって発砲した。


「二発!」


 発砲音を聞いたホッキスはすぐに反応し、高く飛び上がった。弾丸はかわされたが、これはコスタの罠だった。攻撃を察したホッキスが上か横に飛んで攻撃を回避すると読んだコスタはいつ、どのようにホッキスが行動してもいいように身構えていたのだ。


「上に逃げたわね」


 コスタはすぐにスナイパーライフルを構え直し、上空にいるホッキスに向かって発砲した。


「なっ!」


 飛んでくる弾丸を見たホッキスはやられたと心の中で思った。その後すぐ、コスタが放った弾丸はホッキスの両足の太ももを撃ち抜いた。


「ギャアアアアア!」


 撃たれたホッキスは悲鳴を上げながら地面に落ちて行った。地面に激突した後、ホッキスは激痛が走る体を動かし、何とか立ち上がった。


「その状態で立つつもり? 傷が広がるからすぐに横になりなさい!」


 コスタはスナイパーライフルを構えてこう言った。だが、ホッキスはにやりと笑い、魔力を解放して傷の手当てを行った。


「こんな傷、魔力ですぐに治してやるわよ」


 ホッキスは傷を治した後、開放している魔力を使って周囲に水を発した。その水はすぐに固まり、鋭利な刃となった。


「さぁ、この刃で斬り裂かれなさい!」


 ホッキスがこう言った後、宙に浮いている氷の刃はコスタに向かって飛んで行った。コスタはスナイパーライフルで撃って壊そうと思ったが、コスタの予想以上に氷の刃の動きは早かった。


 これはスナイパーライフルを使う暇はない。


 そう思ったコスタはスナイパーライフルをしまった。それを見たホッキスはコスタが戦いを放棄したと思った。


「スナイパーライフルをしまったわね。あんた、負けを認めたわね!」


「私はまだ負けてないわ。素早く動くから、スナイパーライフルじゃあ対処できないのよ」


 と言って、コスタは素早くショートソードを振るった。次の瞬間、宙に浮いていた氷の刃は地面に落ち、跡形もなく消え去った。この光景を見たホッキスは口と目を開けて驚いていた。


「な……そんなバカな……」


「勝負あったわね」


 隙をさらすホッキスに対し、コスタは何かを取り出してホッキスの前に投げた。ホッキスはそれを見て言葉を失った。


「まさか……手りゅう弾……」


 コスタが手りゅう弾の爆発で自分を倒すのだと察したホッキスは、急いで後ろに下がった。しばらくして、手りゅう弾のような物は破裂音を発した。次の瞬間、強烈な光がホッキスを襲った。


「ウギャアアアアア!」


 またしもて油断したとホッキスは思った。あれは手りゅう弾ではなく、閃光弾だったからだ。


「目が! 目が! 目がァァァァァ! 焼けるように痛いよォォォォォ!」


 強烈な光を浴びたホッキスの目は、まるで焼けるかのように熱くなっていた。目を守っていたコスタは目を抑えながらじたばたするホッキスに近付き、ショートソードで両足を斬った。


「ギャアアアアア!」


 両足を深く斬られたホッキスは悲鳴を上げ、動きを止めた。そして、目を抑えたまま動かなくなった。だが、深く呼吸をしていたため、まだ生きているとコスタは察した。


「そんな……こんな手で私が倒されるなんて……」


「勝つためなら何でも使うわよ。悪いけど、私の勝ちね」


 コスタはホッキスにそう言うと、手にしている縄でホッキスの体を動けないように縛った。


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