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情報を求めて


 メリスと別行動をしているサマリオは、シーポリス本部の取調室にいた。目の前にいるのは、ブラッディークローと繋がりがある海賊。サマリオがその海賊を睨み、口を開いた。


「さて、話を聞こう。ブラッディークローの本拠地をお前は知っているか?」


「いや、分からない。確かに俺たち海賊団はブラッディークローと関わっているが、そこまで深くかかわっていないんだ。本当だ!」


 海賊は大声でこう言った。サマリオは動じずにこの話を聞き、資料を見た。


「お前たちはイコルパワーの販売をしていたようだが……それ以外で奴らと繋がりはないのか? 売上金を渡すためにブラッディークローの奴らと会っているのだろ?」


「重役がそんなことをすると思うか? 頼むから俺たちを開放してくれよ。こんな所にいると、ディスターソースの連中に殺される!」


「助けてやるから、その見返りとして知っていることを全て話せ」


「分かった。だけど、シーポリスが望むような話を聞けると思わないでくれよ。さっき言ったように、俺たちはあまり関わってないんだ」


 その後、その海賊はブラッディークローとの繋がりをサマリオに話した。その内容はイコルパワー販売についての話で、ブラッディークローの本拠地や、幹部であるロスたちがどこにいて、何をしているかは分からなかった。


「話は分かった。とりあえず、君たちを牢屋に入れる。ディスターソースが来れないようにしてあるから、安心してくれ」


「そうか……ありがとう」


 その海賊は涙を流しながらこう言った。その涙を見たサマリオは、その海賊が話をしていた時のこの言葉を思い出していた。あんな連中と関わらない方がよかった、と。


 取り調べを終えた後、サマリオは見張りをしている戦士に警戒しろと伝え、取調室から出た。すると、台車で荷物を運ぶツリーと遭遇した。


「あ! よかったー。丁度いい時に会ったわね、サマリオ」


「また通販で何か買ったのか? いい加減お前は荒い金遣いを直せ」


 サマリオはため息を吐きながらこう言った。それに対し、ツリーは頬を膨らませて言葉を返した。


「女の子にはいろいろと道具が必要なのよ。服もそうだし、化粧品やおしゃれ用のアクセサリーなどなど……」


「服は安物でも可愛らしいデザインがあるだろうが。それに、化粧品も近くの薬局で売っているだろう。アクセサリーは不要。そんな物に金を使っていると、すぐになくなってしまうのに」


「文句は言わないの。それよりも、これ運ぶの手伝ってよ」


「自分のことは自分でやれ。それが大人だ。それに、私はまだ仕事があるから」


 と言って、サマリオは去って行った。後ろからツリーが人でなしや、女の子に優しくないとサマリオに向かって罵倒していたが、サマリオはその言葉を聞き流していた。




 メリスと共にいるカイトたちは、今後について話をしていた。


「セアンたちが捕まえたクラッチハートの船員は、こっちで連行するわ」


「ありがとうメリス。助かったよ」


「まだ船長は捕まえていないようだから、私たちの方で探して捕まえるわ」


 ラージュの言葉を聞き、メリスはお願いと伝えた。そんな中、シーポリスの戦士がやって来た。


「連絡です。今、クラッチハートの連中を軽く取り調べしていたのですが、あることを言いましたので」


「何を言ったの?」


「クラッチハートの船長がいる島についてです」


 この言葉を聞いたカイトたちは、目の色を変えた。メリスは焦り始めたカイトたちに落ち着くように言って、シーポリスの戦士に話を続けるように伝えた。


「今、クラッチハートはマジハンドと言う島にいるようです。そこを根城にして、各地を航海していると言っていました」


「その理由は……やっぱり全知の剣が関わってるの?」


「そこまでは言っていませんでした。どうやら、下っ端には何も伝えていないようですね……」


「重要な話だから、船長クラスにしか話をしていないようね。分かった、ありがとね」


 メリスが礼を言った後、そのシーポリスの戦士は敬礼をして下がった。話を聞いたセアンはカイトたちを見回し、こう言った。


「次の目的が決まったね」


「ああ。マジハンドか。なんか変な名前だけど……どんな島か知っているか?」


 カイトがこう言うと、端末で調べものをしていたケアノスが画面をカイトに見せた。


「今、マジハンドについて調べたわ。ここから東にある島よ。そこそこ大きいし、船を隠すような場所もあるようね」


「私にも見せてー」


 と言って、ライアはケアノスが持つ端末の画面を見た。写真や文章を見たライアは、あることを考えて口にした。


「自然が作った洞窟か。もしかしたら、このどこかに奴らがいるかもしれないね」


「洞窟を根城にする海賊は少なくないわ。にしても、もーちょいまともな場所を根城にすればいいのに。洞窟にはネズミやらコウモリやら、変なモンスターがうじゃうじゃいると思うのに」


 セアンはそう言ったが、気持ち悪い洞窟を想像して、顔を青く染めた。コスタはイメージしなければいいのにと呟きつつ、セアンにこう言った。


「それで、いつ出発するの? ここから二日ぐらいかかると思うわ」


「とりあえず準備して、早くても明日には出発したいね。今すぐ行っても、あいつらが先に島に到着する」


「セアンの考えに賛成。慌てて行動したら失敗につながるわ」


 ラージュの言葉を聞き、カイトは頷いた。メリスは手を叩き、カイトたちを見回した。


「それじゃあ話はこれで終わりね。私たちもこの周辺を見回るから、クラッチハートとセアンたちが戦いを始めたら、援護に来れるかもしれないから」


「いざという時は頼む。修行をしている間に、ブラッディークローも変な力を手にしているかもしれないから」


「ええ。またすぐに会えるかもしれないわ。その時は、援護するから期待してね」


 と言って、メリスはウインクをした。




 それから数時間後、メリスたちシーポリスは支度をして去って行った。メリスたちを見送った後、セアンは背伸びをしてこう言った。


「それじゃ、私たちも出港準備を始めますか」


「ああ。マジハンドに向かう前に何かあるかもしれないからな」


「この周辺に強いモンスターはいないけど……ま、何らかのイレギュラーな理由でいるかもしれないわね」


「だとしても、遭遇しないことを私は祈るわ。強敵が相手だとめんどいし」


「食べられるモンスターなら、私は大歓迎だけどね」


「遭遇する前提で話をしないの。ここで十分な食料を買えるんだし」


 カイトたちは話をしながら準備を始めた。それから準備を終えるまで、かなり時間がかかった。カイトは自室へ向かい、ベッドの上で横になっていた。


「ふぃ……準備してたらもう夜か」


 カイトは天井を見上げながらこう呟いた。明日から再び航海が始まる。そして、クラッチハートとの第二戦が始まる。そう思った後、カイトはナルクとの戦いを思い出した。難なくナルクを倒すことができ、自身の成長を感じることができた。だが、ブラッディークローもこの二年の間で何らかの力を手に入れていたら? それとも、イコルパワーを改良していたらどうなるのだろう? そう考え、カイトはため息を吐いた。


「深いため息だね、何を考えていたの?」


「ああ。ブラッディークローもこの二年で何らかの力を手にしたかもしれないなーって考えてさ……」


 カイトは横を見て、いつの間にかセアンがいることに気付いた。


「おわっ! いつの間に!」


「へへー、音を立てずに扉を開けて、気配を殺してカイトの後ろで横になってたんだー」


「やってることが暗殺者だぞ」


「別にいいじゃん。それよりも、ブラッディークローが強くなったかもしれないって考えてたけど、私たちも強くなったんだし、大丈夫だよ」


 セアンはカイトの顔を見てこう言った。その時のセアンは笑顔を作っていた。セアンの笑顔を見て、カイトの悩みは少し消えた。


「ああ。多分大丈夫だな」


 若干不安が消えたカイトは、セアンの顔を見てこう答えた。


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