クラッチハートとの激突
カイトとケアノスが船に乗り込んだことを察したクラッチハートの船員は、武器を持ってカイトとケアノスに襲い掛かっていた。だが、逆にやられてしまった。
「ぐあああああ!」
「あっ! しまった! ギャアアアアア!」
「クソッ! こいつら……強すぎる!」
次々と倒されて行く仲間を見て、クラッチハートの船員は動揺し始めた。カイトは刀を振るう動きを止め、ケアノスの方を見た。
ケアノス、二年前と比べて動きが早くなってるし、攻撃力も上がっている。
カイトはケアノスが修行、そして鍛え直した武器のおかげでかなり強くなっていることを把握した。そんな中、上からセアンが降って来た。
「カイトー! ケアノスに見とれてないで一緒に戦おうよー!」
「そうだな。丁度このタイミングで俺たち囲まれたし」
カイトは周りを見て、クラッチハートの船員に囲まれたことをセアンに伝えた。セアンはあらまと呟き、武器を持った。
「さーてと、カイトに強くなった私の力を見せないとね」
セアンの一言を聞いたクラッチハートの船員たちは、憤りを感じて叫んだ。
「あまり俺たちを甘く見るんじゃねーぜ!」
「この人数を相手にして勝てると思ってんのか!」
「クソッたれが! 返り討ちにして俺たちのオモチャにしてやるよ!」
クラッチハートの船員は武器を持ち、一斉にセアンに襲い掛かった。セアンは右手にカトラスを持ち、襲い掛かって来た三人の船員を一振りで倒した。その時の早さはかなり早く、船員たちはこの動きを見切ることができなかった。
「なっ……早い」
「どうなってんだ」
「ボーっとしてると、斬られちゃうよー」
セアンの一言を聞き、クラッチハートの船員は我に戻った。だが、戻るのが遅かった。戻った瞬間にセアンの攻撃によって船員は倒されたのだ。
「クッ! 強すぎる!」
「どういうことだ? ロスさんにやられて再起不能になったはずじゃあなかったのかよ!」
クラッチハートの船員のこの言葉を聞き、セアンはこの船員に近付いてこう言った。
「ずーっと修行してたのよ!」
そう言うと、セアンはその船員を蹴り倒した。カイトはセアンが戦うのを見て、セアンも強くなったと把握した。そんな中、カイトの上から三人の船員が襲い掛かった。
「上ががら空きだぜ!」
「セアンとケアノスは勝てないから、殺せそうな奴からぶっ殺すぞ!」
カイトは上から襲い来る船員の気配を察し、呆れてため息を吐いた。
「セアンとケアノスに勝てないからって、俺に襲い掛かってくんなよなー」
カイトは刀を上に振り上げ、襲い来る船員に反撃を行った。カイトの反撃を受けた三人の船員は斬撃を受けた衝撃で後ろに吹き飛び、床に激突した。
「グアッ!」
「ゲハァ……」
三人のうちの二人は斬撃の他に、床に強く激突した際に大きな傷を負ってしまい、立ち上がることができなかった。弱いダメージを受けた船員はすぐに立ち上がり、剣を持ってカイトを睨んだ。
「このガキ! よくも俺の仲間を!」
「こっちも身を守るために戦ってるんでね。ま、恨まないでくれよ」
「そんなことができるかァァァァァ!」
船員は叫びながらカイトに向かって走り出した。カイトに接近したと同時に、その船員は剣を振り下ろした。だが、カイトは刀を使って斬撃を止めていた。
「なっ……あっ……」
動きを止められた。そう思った船員は力づくで剣を振り下ろそうとしたが、剣は動かなかった。
「なっ……何で動かない?」
「お前の力が弱いからだろ」
カイトはそう言うと、船員に向かって蹴りを放った。セアンとケアノスは戦いながらも、カイトがどれだけ強くなったのか確認した。
「カイトも強くなってるね」
「ええ。本当にそうね。これならあっという間にこいつらを倒せるかもね」
セアンとケアノスはそう話をすると、目の前の敵を蹴り倒した。
ヴィーナスハンドのバリア発生器の近くにいるライアとラージュは、魔力を感じて戦いの様子を探っていた。
「これじゃあバリアを使うことはないわね」
「そうだね。コスタに援護を任せて私たちもあいつらの船に乗り込もうよ」
「落ち着いてライア。今はこっちが有利だけど、あいつらがあれを使ったら……」
「あ」
ラージュの言葉を聞き、ライアはイコルパワーのことを思い出した。この二年間で、ブラッディクローの手によってイコルパワーが大量に作られ、全世界に広がった可能性があるのだ。そう思ったライアは、ため息を吐いた。
「そうだね。イコルパワーをあいつらが使ったら、無理矢理にでもこっちに攻めて来るね」
「そういうこと。ま、使わないことを祈るけど……思い通りにいかないからね」
ラージュはため息を吐きながらこう言った。
カイトたちがクラッチハートの海賊船に攻め込んで数分が経過した。この数分でクラッチハートの船員の大半が倒されていた。
「ふぅ。大体は片が付いたわね」
ケアノスはレイピアを鞘に納めながらこう言った。周囲を見回し、大半の船員が戦意を失っていることを把握し、戦いは終わったと考えたからだ。カイトとセアンはすでに武器をしまい、戦意を失った船員を動けないようにしていた。
「強い奴はいなかったねー」
「そうだな。もう少し強い奴がいたら、修行を終えた後の力を確かめることができたんだけど」
「普通の海賊がソンウクたちより強いわけがないよ。もし私たちと戦ったら、すぐに終わっちゃうよー」
カイトとセアンはのんきに話をしていたが、突如強い魔力を感じ、話を終えた。
「お前ら、よくもやってくれたな」
そう言ったのはナルクだった。カイトはナルクがすでに戦いの支度を終えていることを察し、刀を鞘から抜いた。
「やるか?」
「そのつもりだ」
「上等だ」
カイトは刀を持ち、ナルクに向かって歩き始めた。セアンはあくびをし、周囲を見回してこう言った。
「奇襲を仕掛けるつもり? 奇襲をするなら殺意を抑えなよ」
「フッ。流石ピラータ姉妹。俺の殺意を察することもできるのか」
マストの陰から、一人の男が出てきた。その男はナルクに向かってこう叫んだ。
「セアンの相手は俺がする! ナルク、カイトを殺せ!」
「そっちは頼むぞ、ボムマサ!」
ボムマサと呼ばれた男は、セアンを睨んで魔力を解放した。その直後、ボムマサの周りに火の粉が発した。
「ピラータ姉妹の長女、セアン。お前はここで爆死することになる」
「木端微塵に吹き飛ばすつもり? 私を簡単に倒せると思わない方がいいわよ」
「セアン。落ち着いて戦ってね。いくら修行したとはいえ、油断は禁物よ」
ケアノスはセアンにこう言うと、上を見上げた。そこには、ケアノスを見ている三つの影があった。
「降りてきなさい。相手になってやるわ」
ケアノスがこう言うと、三つの影はケアノスの近くに着地した。
「俺たちの存在を察するとは」
「上から襲い掛かろうとしたのによー」
「やはり、かすかな殺意でも存在を察知してしまうのですか……厄介ですね」
ケアノスは目の前に現れた三人の男に対し、レイピアを向けた。
「で、三対一で戦うつもり? 男のくせに卑劣なことを考えるわね」
「海の上の戦いは常に平等だ。男も女も関係ない」
「それに、殺し合いにルールは存在しない。必ずタイマンで戦いなさいってルールもない」
「ごちゃごちゃ話す暇はありません。あなたを殺します」
話が終わった直後、三人の男はケアノスに襲い掛かった。ケアノスは瞬時に三人の男の魔力を探知し、自分より弱いことを把握した。
「あんたら、どうなっても知らないわよ」
ケアノスは自分を取り囲む三人の男にこう言ったが、三人の男はこの言葉を強がりの言葉だと認識した。
「強がりを言うなよ」
「お前みたいな奴、俺たちならあっという間に始末できるんだからな」
「その言葉が最期の一言ですね」
三人の男の言葉を聞き、ケアノスは再びため息を吐いた。
「はぁ……自分の力を把握しないバカと戦うなんてね」
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