表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
316/430

ピラータ海賊団の活動再開


 翌朝。カイトは客用テントの外で目を覚ましていた。テントの中は、下着姿のセアンたちが爆睡しており、周囲にはセアンたちが来ていた服が散乱していた。


「カイト、昨晩は楽しんだようだな」


 と、セアンたちを起こしに来たフワウがこう言った。カイトは体の痛みに耐えながら立ち上がり、フワウにこう言った。


「これをどうしたら楽しんだって思うんだよ? セアンたちの寝相が悪すぎてこうなったんだよ。俺は蹴られて外に飛ばされた。これを見てくれ」


 カイトはフワウに背中を見せ、蹴られた痕を見せた。


「うわー、足跡がくっきり残ってる」


「ごめんねカイト。二年間、まともな場所で寝てなかったから」


 そう言いながら、メガネをかけたケアノスが近付いて来た。


「ケアノス、起きたのか」


「二人の話声でね。それと、支度もしないといけないでしょ?」


「そうだな」


 カイトはそう言いながら、海の方角を見た。今日、ピラータ海賊団が再び活動するのだ。




 セアンたちが目を覚ました後、朝食を取ったカイトはソンウクたちがいる遺跡へ向かった。


「ソンウクたち、元気だった?」


「ああ。相変わらず元気だよ」


 カイトは横にいるセアンにこう言った。セアンたちは昨日、カイトからソンウクたちに稽古をつけてもらったことを聞いていた。だから、お礼と久しぶりに会うから挨拶しに向かうのだ。


 遺跡に到着し、ソンウクたちがいる部屋へ向かうと、すでにソンウクたちが立って待っていた。


「よっ、カイト。それに久しぶりだなセアン」


「元気そうだね」


 軽く手を上げたソンウクに対し、セアンは笑顔でこう言った。腕組をするズジルダはにやりと笑い、口を開いた。


「俺たちは病気にならない。それよりも、お前たちも強くなったようだな」


「二年前より強い魔力だ。相当な修行をしたみたいだな」


 ザムチャンがセアンに近付いてこう言った。ライアはにやりと笑ってザムチャンにこう言った。


「私たちも結構強くなったんだよ。この二年間、本当にきつかった」


「強いモンスターと戦いまくっていたからね。それ相当に強くなったのよ」


 ラージュの話を聞き、ゼルリムは目を開けて驚いた。


「強いモンスターねぇ。どんだけ強かったんだ?」


「最初の頃は、太刀打ちできなかったわ。鍛え始めて三ヶ月ほどでようやくまともに戦えるって状態だったのよ」


「武器もなかったし、ほぼ素手で戦ってたわ」


 ラージュとコスタの話を聞き、ゼルリムは小声で大変だったなと呟いた。そんな中、ソンウクはセアンを見て何かを提案したのか、手を叩いた。


「ちょっと試してみるか? オラ、強くなったセアンと軽く模擬戦してーぞ」


 この言葉を聞いたズジルダは、ソンウクの頭を叩いた。


「バカかお前は! 今からカイトたちは旅立つんだ! そんな暇あるか!」


「ちょっとだけなら大丈夫だよ」


 セアンの言葉を聞き、ソンウクはにやりと笑った。


「うし! 早速はじめっか!」




 その後、セアンとソンウクは部屋の中央で立っていた。カイトたちは戦いの邪魔にならないように、部屋の隅に移動していた。


「セアン、一人で大丈夫か?」


「うん。大丈夫」


「そっか。旅立つ前に怪我をしたくなければ、最初から本気を出すことをおススメすっぞ」


「分かってる。最初から飛ばすつもり!」


 セアンはそう言うと、魔力を解放した。カイトは二年ぶりにセアンの魔力を感じ、あまりの強さに身震いした。


「セアン、かなり強くなってる」


「今の私たちもこんなもんよ」


 隣にいるケアノスの言葉を聞き、カイトは驚いた。そんな中、ソンウクがゴールドモードになってセアンに接近した。


「行くぞ!」


「うん!」


 セアンは素早く生まれ変わったカトラスとハンドガンを持ち、迫るソンウクを見た。セアンの持つ武器を見て、カイトは声を上げた。


「緑が入っているな。カーキョイの翡翠か?」


「ええそうよ。そのおかげで、武器は強くなったわ」


 ケアノスの言葉を聞き、カイトは生まれ変わったセアンの武器がどれだけの威力なのか気になった。


 セアンは接近してきたソンウクに向かってカトラスを振り下ろした。その動きは、二年前よりも早く、力強かった。ソンウクは間一髪のところで攻撃をかわしたが、少しだけ服が切れていた。


「物凄い速さと威力だ。こりゃーオラも本気を出さないとやられっちまうな」


「でしょ? 今の私たちなら、一人で何とかできるかもしれないよ」


「確かにな。でも、カイトは一人でオラたちと戦うほどの力を得たぜ」


「本当? 後でカイトとも模擬戦やってみようかなー」


「とりあえず今は、オラの相手に集中してくれ」


「うん。分かった」


 セアンはそう言って、再びカトラスを構えた。そして、素早くソンウクに接近し、攻撃を仕掛けた。


 これはまずいな。


 瞬時にこう思ったソンウクはシルバーモードになり、攻撃をかわしつつ反撃を行おうと考えた。セアンのカトラスによる攻撃は連続で行われたが、回避重視のシルバーモードの前では無意味だった。


 避けれる。だが、セアンは何か考えている。


 そう思ったソンウクだったが、セアンは隙を突いて左手に持つハンドガンをソンウクに向けた。銃口を向けられたソンウクは驚いたが、セアンは口でバーンと言った。


「もし、本当に引き金を引いてたら、撃たれてたかもね」


「はは。そうだな。セアン、おめぇ本当に強くなったな」


 ソンウクは元の姿に戻りながら、笑ってこう言った。




 ソンウクとの模擬戦を終えた後、セアンたちは旅立ちの支度をしていた。そんな中、オババ様が近付いた。


「もう出るのかい?」


「はい。久しぶりに会えてうれしかったんですが、そろそろブラッディークローを追いかけることと、全知の剣のメダルを集めないといけないので」


 セアンの話を聞き、オババ様は確かにと呟いた。


「やることがいろいろとあるねぇ。ひと段落したら、またランドレディースに来ておくれ」


「うん! 絶対来ます!」


「それと、もう一つ話をしたいことがあるんじゃ。カイトたちを呼んでおくれ」


 オババ様の言葉を聞き、セアンは何の話だろうと思いつつ、カイトたちを呼んだ。


 その後、オババ様は持っていた占い用の水晶玉をカイトたちに見せた。


「お主らの運勢を占っていたんじゃが、こんな結果が出たんじゃ。真実を知った時、大切なものを失うと」


 この言葉を聞き、カイトたちは言葉を失った。


「大切なものって……何?」


「そこまでは分からなかったんじゃ。ブラッディークロー関連で、何か大きなことを知った時に何か失うかもしれんの……」


 オババ様は心配そうにこう言ったが、セアンがこう言った。


「多分大丈夫! 何も失わないように強くなったんだから!」


「そうじゃのう……確かにそうじゃのう。お主らは強くなった。今の強さなら、何かを失う恐怖はなさそうじゃ」


 セアンの言葉を聞き、オババ様は安堵した表情となった。


 そして数時間後、カイトたちは旅立ちの支度を終えた。


「それじゃあまた来るよ! 二年間、カイトを見てくれてありがとう!」


 セアンは手を振ってこう言うと、コスタたちも頭を下げたり、また来るとフワウたちに告げた。カイトはフワウに近付いてこう言った。


「お世話になったよ。しばらくは会えないかもしれないけど、落ち着いたらまた来るよ」


「ああ。来てくれ! 皆が来るなら大歓迎だ!」


 そう言って、フワウはカイトの肩を叩いた。その後、カイトたちはフワウたちに見送られながらランドレディースから去って行った。


 海岸に到着し、カイトは二年ぶりのヴィーナスハンドを見て声を上げた。


「うわー、全然変わってない。ヴィーナスハンドはそのまんまだなー」


「うん。シーポリスが守ってくれたの。私たちが修行している間に、ゴイチ王国に持ってきてくれたんだって」


「本当に大変なことをシーポリスに押し付けるような形になったから、本当にありがたいわ……」


 ケアノスはヴィーナスハンドを見ながらこう言った。その後、カイトたちはヴィーナスハンドに乗り込み、出港した。


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ