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あれから二年後


 フワウは森で狩りを終え、村に戻って来た。帰ってきたフワウの姿を見て、洗濯をしていたスレタが駆け寄った。


「お疲れ様です、フワウさん」


「ああ、ただいまスレタ。魔力を感じるが、まだカイトはソンウクたちと修行をしているのか?」


「はい。あれから二年。カイトさんはかなり強くなったと思いますが、まだ修行を続けています」


「カイト自身はまだ弱いと思っているのだろう」


 フワウは遺跡を見ながらこう言った。


 一方、カイトは刀を握り、目の前にいるソンウクを見ていた。ズジルダたちは地面の上で座り、二人の戦いを見ていた。


「行くぞ、カイト!」


「おう!」


 ソンウクはゴールドモードになり、カイトに向かって走り出した。


「でりゃぁっ!」


 カイトに接近して、ソンウクは右肘で攻撃を仕掛けた。カイトは上半身を後ろに反らして攻撃をかわし、力を込めて素早く刀を振るった。


「むっ!」


 ソンウクは刀をかわしたが、完全に避けることはできず、刃の先端がソンウクの体をかすっていた。


「ふっ、強くなったなカイト」


「まだまだ俺は強くない」


「オメェは十分強くなったよ。一人でオラたちを圧倒できるくらいに強くなった。二年前と比べると、とんでもなく強くなったぞ」


「そう言ってくれてありがとう。でも、加減はしないぞ!」


 カイトはそう言って魔力を解放した。ソンウクはカイトの魔力を感じ、にやりと笑った。


「本気を出したな。来い、カイト!」


「ああ、全力で行くぜ!」


 カイトはソンウクに接近し、刀を振るった。ソンウクは攻撃をかわすが、カイトの方が早く、攻撃をかわし切れない状況があった。


「クッ! やるじゃねーかカイト! オラもやられっぱなしじゃダメだな!」


 ソンウクはレッドモードになり、左腕に魔力を溜めた。そして、カイトの攻撃を左腕で受け止めて右のストレートで反撃した。


「グッフォッ!」


 右ストレートを受けたカイトは悲鳴を上げ、後ろの壁へ吹き飛んだ。


「グッ……どれだけ鍛えても、レッドモードの一撃は痛いぜ……」


「本当にそう思っているのか? 修行を始めた頃はレッドモードの一撃で失神してたけど、今はぴんぴんしてるじゃねーか」


 壁から出てくるカイトを見ながら、ソンウクは笑いながらこう言った。カイトは再び刀を構え、ソンウクに接近し、刀を振り上げた。


「おっと」


 攻撃が来ると察したソンウクは後ろに下がって攻撃をかわしたが、カイトは前に踏み込んで刀を振り下ろした。ソンウクはこの攻撃を受け、後ろに下がった。この様子を見て、ゼルリムがこう言った。


「ソンウク、シルバーモードになればいいのに」


 その言葉を聞いたズジルダが、ゼルリムの方を向いた。


「ソンウクのモードを変える時、少しだが時間を使う。その間にカイトの攻撃がソンウクを襲うだろう。だとしたら、防御力も上がるレッドモードのままで攻撃を受け止めた方がいい」


「そ……そういうことか。にしても、ソンウクの様子がおかしいぞ」


 ズジルダはソンウクの様子を見て、動揺した。


「あの一撃で、レッドモードのソンウクに大きな痛手を与えたな……」


 ズジルダの言う通り、ソンウクは大きなダメージを負っていた。ソンウクは荒く呼吸をしながら、カイトを見た。


「結構痛そうな様子だな」


「そりゃーいってーさ。カイト、今の一撃は結構効いたぜ」


「本当に効いたのか?」


「当り前さ。見ろよ、今のオラの顔。苦しそうな顔だろ」


「ああ。その通りだ」


 カイトとソンウクは話をすると、互いの顔を見て同時に踏み込んだ。


「うおおおおお!」


「だりゃぁぁぁぁぁ!」


 カイトは刀を振り、ソンウクは右の拳を放った。刀と拳はぶつかり合い、周囲に衝撃波を発した。それから、カイトは刀を振り回し、ソンウクは拳と足をカイトに向かって何度も放った。激しい打ち合いはしばらく続いた。再び刀と拳がぶつかり合った後、二人は後ろに下がった。


「ヘヘッ、本当に強くなったな、カイト。ここまでオラを追い込むなんてな」


「褒めてくれてありがとな」


「ははっ。それじゃ……次の攻撃で終わりにするぞ」


 ソンウクは構えを取り、カイトに向かって走り出した。カイトは刀を構え、向かってくるソンウクを見た。


「行くぞ!」


 ソンウクはカイトに接近し、右のストレートを放った。魔力が込められているため、ソンウクの動きはかなり早かった。だが、カイトも魔力を解放していて、ソンウクの動きを見切っていた。


 見えた。そして、次にどう動くか分かった!


 カイトはそう思うと、ソンウクの動きに合わせて刀を振り上げた。この振り上げの攻撃でソンウクの右ストレートは弾かれた。


「なっ!」


「今だ!」


 カイトはソンウクに接近し、刀を振り下ろした。この攻撃はソンウクに命中し、後へ吹き飛ばした。


「グッ……参ったぜ、カイト」


 倒れたソンウクは、苦しそうに笑いながらこう言った。カイトは解放していた魔力を抑え、その場に座った。


「は……はぁ……勝った。一人でソンウクに勝った」


 そう言って、カイトは横になった。




 ソンウクとの戦いを終えた後、カイトは横になって休んでいた。ゾムコロがカイトに近付き、養豆を渡した。


「食え。これで魔力も体力も回復するんだ」


「ありがとう」


 カイトは養豆を受け取り、口の中に入れた。養豆を食べた後、カイトは立ち上がった。


「ふぅ、回復したぜ」


「本当に強くなったなカイト。一人で俺たちを倒すなんて、二年前では考えられなかったぞ」


「俺はあまり実感がわかないけど……強くなったんだな」


「本当に強くなったぞ。ま、外に出れば実感がわくだろう」


 ゾムコロと話をしていると、カイトたちは外から感じたことのある魔力を感じた。


「この魔力って……」


「セアンたちじゃねーか! カイト、急いでセアンたちの所に行って来いよ!」


 ソンウクの声を聞き、カイトは急いでセアンたちの元へ向かおうとした。だがその前に、ソンウクたちの方を向いて頭を下げた。


「修行に付き合ってくれてありがとう!」


「ヘヘッ。お礼はいいさ! オラたちもカイトと戦えて楽しかったぞ! カイト、全てが終わったらまた来いよ!」


「ああ! また来るよ!」


 カイトはそう言って外へ向かった。村に戻ると、フワウたちがカイトに近付いた。


「カイトもセアンたちの魔力を感じたのか」


「ああ。セアンたちも強くなったみたいだな」


 カイトはワクワクとした気持ちでセアンたちが村に来るのを待った。数分後、村の入口に見覚えのある五つの影が見えた。


「来た」


 カイトはセアンたちが来たことを察し、近付こうとした。だがその前に、セアンたちが一斉にカイトに向かって走り出していた。


「カイトー!」


 最初に飛んで来たのはセアン。セアンは飛び込むようにカイトに抱き着きついた。それからコスタ、ケアノス、ライア、ラージュの順にカイトに飛び込んだ。


「久しぶりだねカイト! 無事でよかった!」


「シーポリスが教えてくれたの。カイトらしき魔力をランドレディースで察知したって」


「無事でよかった……本当に生きててよかった」


「うわぁぁぁぁぁん! やっと会えた!」


「元気そうでよかった。強くなったわね、カイト」


 セアンたちは涙を流しながらカイトを抱きしめていた。カイトは両腕を伸ばし、セアンたちを抱きしめようとした。


「皆も無事でよかった。だけど……ちょっと激しすぎだろ……苦しい」


「あ、ごめんごめん。五人分の体重を一人で受け止めるのは流石にきついね」


 セアンは笑いながらカイトから離れた。その後、セアンたちはフワウの方を見て頭を下げた。


「カイトを助けてくれてありがとう。フワウたちがカイトを強くしてくれたんだね」


「いや。カイトを強くしたのはソンウクたちだ。今のカイトは、一人でソンウクたちを倒すほどの力を持っているぞ」


「カイトも強くなったようだね」


 セアンがそう言う中、フワウはセアンたちの武器を見て驚きの声を上げた。


「武器を改良したのか?」


「うん。そうだ、皆にこの二年の出来事を話すね」


「分かった。それじゃあオババ様の所へ行こう」


 その後、セアンたちと合流したカイトたちは、オババ様の家へ向かった。


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