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過去の縁が奇跡を起こす


 ロスに倒され、カイトやサマリオたちと離れ離れになってしまったセアンたちピラータ姉妹。彼女らを救ったのはゴイチ王国の王女、ロベリーだった。ロベリーはセアンたちから話を聞き、今のセアンたちの状況を聞いて驚いた。


「まさか、そんなことになっていたなんて……」


「本当に大変だったのよ。こんなことになるなんて……」


 ケアノスはホットコーヒーが入ったコップを持ちながらこう言った。助かって気が抜けたコスタとライアは、椅子の上で爆睡していた。そんな中、ロベリーの部下がいるロベリーの部屋に入って来た。


「失礼します。シーポリスのサマリオ大佐に連絡ができました。セアン様たちの船、ヴィーナスハンドと共にこっちへ来ます」


「本当! よかった……本当によかった……」


 話を聞いたセアンは安堵の息を吐いてこう言った。ケアノスとラージュも顔を見合わせ、よかったと何度も呟いた。ロベリーはセアンたちを見回し、口を開いた。


「合流するのはちょっと時間がかかると思うわ。それまで、私たちの船で休んでて」


「ありがとうロベリー」


「皆に助けられたからね。恩を返さないと。でも、まさかデザートディッシュの国王と会合が終わった帰りで皆に会うとは思わなかった」


 と、ロベリーはセアンたちにこう言った。




 数日後、セアンたちは無事にサマリオたちと再会した。サマリオはロベリーの船に移動し、セアンたちと会った。


「皆……無事でよかった」


「サマリオ! カイトの方はどうなったの?」


 セアンの質問を聞き、サマリオはうつむきながらこう答えた。


「すまない。まだカイト君の行方はつかめていない。だが、調査は続けている」


 サマリオの答えを聞き、セアンは小さく返事をした。続けて、ラージュが後ろを見ながらこう言った。


「ねぇ、サディたちはどうなの? ウイークが死んだから……元気がないと思うけど……」


「彼女らのことか。少しは落ち着いた。ウイーク君の死体はあの後回収したよ」


 サマリオがこう言うと、ラージュは頷いて返事を返した。




 その後、セアンたちはヴィーナスハンドの部屋に戻り、話をしていた。


「とりあえず今後のことを話さないと。いろいろやることが積み重なったよ」


 セアンの言葉を聞き、コスタたちは頷いた。


「確かにそうね。カイトを探す、武器の修理、全知の剣のメダル探し、ロスの行方を探す」


「まず、どれを優先にするか決めましょう。私は武器の修理を優先にした方がいいわ」


 ケアノスの言葉を聞いた直後、ライアが声を上げた。


「えー? カイトを探さないと。一体どこに行ったのか分からないよー」


「カイトのことも不安よ。だけど、今のヴィーナスハンドの設備じゃあ見つけることはできないわ。カイトを見つけるのは、シーポリスに任せましょう」


「うーん……そうだね。ケアノスの言う通りカイトのことはシーポリスに任せよう」


「じゃあ、武器はどこで直すの? 私たちの武器はお父様が使っていた特殊な素材の武器なのよ。普通の鍛冶屋や普通の素材じゃ直せないわ」


 ラージュの言葉を聞いたケアノスは、うなり声を上げた。


「確かにそこなのよね……何かいい素材とか鍛冶屋とかないかしら……」


 ケアノスが唸り声を上げる中、扉を叩く音が聞こえた。セアンが扉に近付き、声を出した。


「誰?」


「私よ、ロベリーよ。私の所の料理長が差し入れを作ったから、皆と一緒に食べようと思って」


「差し入れ? オーケーオーケー入っていいよー!」


 セアンが扉を開けると、外にいたロベリーと大皿を持ったロベリーの部下たちが部屋に入って来た。その後、セアンたちはロベリーと共に食事を始めた。


「何を話していたの?」


 ロベリーはお茶を飲んでこう聞くと、ケアノスがロベリーの方を向いて答えた。


「これからどうするかって話。カイトの行方はシーポリスに任せるとして、今は武器を直すことを考えようって話になったんだけど……」


「私たちの武器はちょっと特殊だから、きっと腕のいい鍛冶屋じゃないと直せないのよ」


 セアンがこう言うと、ロベリーはあることを思い出し、こう言った。


「実は、ゴイチ王国のどこかの山に、腕のいい鍛冶屋が住んでいるって話を聞いたわ」


「そうなの?」


「ええ。どこの山かは分からないけど……その鍛冶屋は五人いて、自分たちのことをドルフィーって呼んでいるわ。皆年老いたお爺さんだけど、腕は超一流って話よ」


「そんな人たちがいるんだ。で、どこの山にいるか分かる?」


 ライアがこう聞くと、ロベリーは難しい顔をした。


「それがどこの山にいるか分からないの。こっちでも調べてみるわ」


「ありがとう。本当に助かったよ」


「でも、素材はどうするの? 特殊な素材だから、それ相当の素材を使わないといけないんじゃないの?」


 ロベリーの言葉を聞き、セアンたちははっとした表情になった。そんな中、ケアノスが何かを思い出した。


「あるじゃない。いい素材が」


「え? あ……ああ! あれを使うのね」


 ラージュはケアノスが言ったいい素材のことを理解し、ケアノスと共に立ち上がって部屋の奥へ向かった。数分後、ケアノスとラージュはカーキョイから貰った翡翠を持って来た。


「うわ……すごくきれいな翡翠。どこで手に入れたの?」


「デザートディッシュよ。不思議な魔石があるって話を聞いて、ウイークと一緒に取りに行ったの。ウイークと一緒に……」


 ウイークの名前が挙がった直後、セアンたちは深いため息を吐いた。ロベリーはセアンたちの気持ちを直した後、こう言った。


「これがあれば武器は直ると思うわ。いつでもいいから、ゴイチ王国へ向かいましょうよ」


「そうだね。またお世話になるかもしれないね」


 セアンがこう言うと、ロベリーは笑顔でこう言った。


「あなたたちなら大歓迎。助けてくれた大恩人ですもの」




 ここはどこだ?


 カイトは薄い意識の中、ぼやける視界を見回しながらこう思った。まだロスから受けた傷が痛むせいで、体を動かすことができない。


 その時、耳元で声がした。だが、はっきりと分からなかった。もう一度寝ようと思ったカイトは深呼吸し、体の力を抜いて大人しくなった。


 数分後、カイトは自分で徐々に意識がはっきりしていくのが分かった。そして、ぼやけていた視界がはっきりしていった。


「あれ……ここって……」


 見覚えのある景色を見て、カイトは小さく呟いた。その時、誰かが部屋に入って来た。


「大丈夫かカイト? 意識を取り戻したか?」


「え……フワウ?」


 ランドレディースの女戦士、フワウの声を聞いたカイトはフワウの方を振り向いた。フワウはスープが入っているのか、湯気が発している皿を持ってカイトに近付いた。


「やっと意識を取り戻したか。スレタが傷付いたお前を連れて漁から戻って来た時は本当に驚いたぞ」


「え……俺……助かったのか?」


「スレタが見つけなかったら死んでたと思うぞ。その前に飯だ。食えるか?」


 フワウの言葉を聞き、カイトは腹を触った。何日か食事をしていないと思ったが、食欲はわかなかった。今、カイトは傷の痛みと吐き気のような感覚を感じていた。


「ごめん……なんか吐き気のようなのを感じる。食べても吐きそう……」


「そうか。ま、食欲を取り戻したら私が食べさせてあげるよ。それよりも、お前が起きたことを皆に伝えて来る。皆、心配してたからな」


 そう言って、フワウは女戦士たちにカイトが無事であることを伝えるために外に出た。数分後、カイトが意識を取り戻したことを知った女戦士たちが部屋に入って来た。


「久しぶりだが、どうしてそんな傷を負って海を流れていたんだ?」


「セアンたちはどこに行ったんだ? 一人で傷を受けて海を流れていた理由は?」


「それよりも、一体誰と戦ったんだ? かなり強かったんだろうが」


「無事でよかったです。ずーっと目を覚まさなかったんですよ」


「傷が酷いが、生きていてよかったよ」


 などと、女戦士たちはカイトを見て次々とこう言った。カイトは小さく笑って無事をアピールしようとしたが、その瞬間に傷が痛み、カイトは悲鳴を上げた。


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