ピラータ姉妹の過去 惨劇の後
父と母の死体を見た幼いピラータ姉妹は精神的にショックを受けていた。そのせいで、シーポリスが話しかけても反応はせず、まともに食事をすることもできない状態であった。そんな状態のピラータ姉妹に対し、サマリオが近付いた。
「あの光景を見て衝撃を受けたんだね。もし、苦しい状態が続いたら私に話しかけてほしい。苦しそうな君たちを無視するわけにはいかない。少しでも、君たちの助けになりたい」
サマリオがそう言うと、セアンがサマリオの方を向いてこう言った。
「あんたがおとーさんの代わりになるわけがない」
「なれるように努力する。私はサマリオ。よろしく」
と言って、サマリオはセアンに手を伸ばした。最初、セアンはサマリオに対し冷たい視線を送っていたが、サマリオのまっすぐな目を見て、とりあえず信じられる人だと思い、手を握った。
その後、サマリオはショックを受けたピラータ姉妹の心を和らげるために彼女らの相手をし、食事を共にした。その結果、ピラータ姉妹は徐々にサマリオに対して心を開き、次第に笑顔を取り戻し、ショックが和らいでいった。
数ヶ月後、ショックから立ち直った幼いピラータ姉妹は改めて、サマリオからサビナで起きた出来事を聞いた。ブラッディークローと名乗る大規模で悪名高い海賊団が何らかの理由でサビナに攻め込み、略奪虐殺破壊活動を行ったと。父と母、兵士たちはブラッディークローに立ち向かったが、返り討ちにあったと。
「全てが分かったことだ。君たちのお父さんとお母さんは皆を守るため……命を落とした」
サマリオの話を聞いた後、ピラータ姉妹はずっと泣いていた。サマリオはまだ幼いピラータ姉妹を見て、こんな幼い子供を泣かせるなんてと思いつつ、ブラッディークローに怒りを爆発させていた。
「大丈夫だ。私が必ずブラッディークローを追い詰める。そして壊滅させる。時間はかかるが、必ず壊滅させる」
サマリオの言葉を聞き、コスタたちは少し泣き止んだ。だが、セアンだけはすぐに涙を止め、拳を震わせながらこう言った。
「違う。私たちがブラッディークローを追いかける! そしてやっつける! ボッコボコにしてやる!」
セアンの言葉を聞き、サマリオは驚いた。こんな幼い子供が復讐心を持っていたら、この先の人生が暗くなってしまうと考えたのだ。
「それは私たち大人の役目だ。セアンたちはまだ子供だから、復讐のことは忘れて誠実な人間に育ってくれ」
「子供だからって……そんなことで戦っちゃダメなの? おとーさんとおかーさんがあんな目にあった……絶対に許せない!」
セアンの叫びを聞き、コスタたちもブラッディークローを倒したいと言い始めた。サマリオはどうしようかと考えた後、ピラータ姉妹にこう言った。
「奴らを倒すには成長しないといけない。力もそうだけど、技、魔力、そして海の知識。どうやって生きるかの生活の知恵。それらがないと生きて行けないよ」
「それはこれから身に着ける! 皆、行こう! 皆でブラッディークローをぶっ倒すよ!」
セアンはそう言った後、荒れ果てた自宅へ向かった。去って行くピラータ姉妹を見て、サマリオは慌てて後を追いかけた。
その後、ピラータ姉妹はサマリオの教育を受けながら生活を始めた。剣技や魔力による技、基本的なトレーニングなどの戦闘訓練はもちろん、海の知識や一般常識なども学んだ。最初、ピラータ姉妹はトレーニングをしてもすぐにばて、知識の方もなかなか頭に入らなかった。しかし、経験を重ねて行くうちに彼女らは強くなっていった。そんな生活が数年続いたある日、成長したセアンはサマリオにこう言った。
「サマリオ、皆で相談したんだけど……私たち、海賊になるわ」
その言葉を聞いたサマリオは、口にしていた紅茶を吹き出した。咳き込んだ後、慌てながら言葉を発した。
「何を言っているセアン! 海賊になるだと? 私たちの敵になるということだぞ! バカなことを言うのは止めろ! 私はお前たちを海賊にするために鍛えたわけじゃないぞ!」
「敵にならないように動くよ。悪い奴らを倒し、まだ知らない土地でお宝探しをしてお金を稼いで、この島を復興させるの」
「それは海賊と呼べるのか? 違うような気がするが……」
やっていることは賞金稼ぎとトレジャーハンターではないか? サマリオが心の中でそう思っていると、ケアノスがサマリオにこう説明した。
「賞金首退治、宝探しをやる中でブラッディークローの情報も集めるつもりです。私たちも強くなりました。奴らを相手に十分に戦えると思います」
「だが、奴らは君たちのお父さんやお母さんを倒すほどの力を持っている。まだ戦いに行くのは危険だ。もう少し強くならないと……」
サマリオは最初、ピラータ姉妹の旅立ちに反対していた。だが、彼女らの決心は強い。そう思ったサマリオはため息を吐いた。
「分かった。好きにするがいい。君たちも十分成長し、知恵もある。海で生きていくには不安はないだろう」
「やったー!」
「これで奴らの後を追うことができる!」
サマリオの賛成の声を聞き、ピラータ姉妹は喜んだ。だが、何かに気付いたラージュがこう言った。
「ねぇ、船はどうするの? どこで買うの? その資金はどうするの?」
「あ……そうだった。船がない」
とても重要で大事なことを彼女らは忘れていた。そう。船がないのだ。どうしようかと思った時、島の人が近付いた。
「セアン様、船の不安はありません」
「へ?」
「あなた様のお父様やお母様が昔使っていた船があります」
「えええええええええええええええええええ! おとーさんとおかーさん、船を持っていたの!」
「はい。昔、あなた方のお父様は船に乗っていたと言われています。お母様と結婚した後は自宅の地下にしまったと言っていました」
その後、ピラータ姉妹とサマリオは島の人の話を聞き、船の場所を確認した。船はピラータ姉妹の屋敷跡の地下にあった。リビング跡にあった一部分だけ色が変色している床に近付いた島の人は、砂を払った。
「えーとここに……あった。よいしょ」
砂を払って握り手を確認し、それを握って床を引いた。そこには階段があった。
「こんな所に秘密の地下が……」
「では行きましょう」
島の人が先頭を歩き、その跡をピラータ姉妹とサマリオは歩いた。その途中で、島の人は話を始めた。
「あなた様のお父様とお母様はよく我々に話をしてくれました。いずれ悪い奴らがこの島に来る。そのため、脱出するために昔使っていた船と代々伝わる装備を隠していたと」
「それが今から目指す場所に……」
「そうです。我々が使うよりも、あなた様が使った方がいいでしょう。船はあなたたち家族の物です。我々に気にせず使ってください」
話をしているうちに、階段は終わった。セアンたちの目の前には、大きな船があった。セアンたちが中に入ると、部屋の中には丁寧に手入れがされたいろんな種類の剣、そして拳銃があった。
「ピラータ家に代々伝わる武器です。何百年も前に作られていますが、まだ使えると思います」
島の人はそう言うと、セアンの手を握ってこう言った。
「セアン様、皆様。どうかご無事で。我々はいつでも皆様が戻って来るのをお待ちしています」
「うん。分かった」
涙を浮かべる島の人に向かって、セアンはこう答えた。数日後、ピラータ姉妹は旅立ちの支度を始めた。そして支度を終え、ピラータ姉妹は島の人々に別れを告げて旅立った。世話になったサマリオは、シーポリスの船からピラータ姉妹の旅立ちを見送っていた。
「頑張れよ、皆」
旅立つ船、ヴィーナスハンドに向かってサマリオは小さくこう言った。
ピラータ姉妹の過去は今回の話で終わりです。簡単にまとめましたが、修行の話などを話にするとかなり長くなるので簡潔にまとめました。暗い過去話ですが、ピラータ姉妹はその過去を背負いながらも懸命に生きています。
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