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デルマグの本気


 ケアノスが放ったレイピアの突き攻撃は、デルマグに命中した。魔力を込めて攻撃したため、この一撃にケアノスはそれなりに自信を持っていた。


「やったわ!」


 レイピアの刃がデルマグに命中したのを目撃したラージュは、思わずガッツポーズをとった。だが、ケアノスは冷や汗をかいていた。攻撃を受けたはずのデルマグから、まだ魔力を感じていたからだ。


「まだよラージュ! こいつ、何かするから気を付けて!」


 ケアノスの声を聞き、ラージュは我に戻って大剣を構え、デルマグに接近した。何らかの動きを取る前に、反撃をしようと考えたのだ。


「悪いねぇ、俺はまだ戦えるぞ!」


 と言って、デルマグは魔力を解放した。ケアノスとデルマグの背中に突き刺さっていたレイピアは弾き飛ばされ、大剣を構えて飛び上がったラージュも後ろに吹き飛んだ。


「グッ! 結構傷を受けたと思うのに……まだやれるのね」


「当たり前だ。この程度で俺を倒せると思うなよ、小娘共!」


 デルマグは吹き飛ばしたラージュに向かって走り出した。ラージュは自分が攻撃の目標にされたと察し、床に着地して大剣を構えた。


「喰らえ!」


 デルマグは二本の剣に炎を纏い、ラージュに斬りかかった。ラージュは大剣を盾代わりにして防御し、デルマグの攻撃を防いだ。


「いい剣だな。攻撃にも防御にも使える。だが! そんなデカブツを持っていたら動きが鈍くなるのが当然ということだ!」


 そう言って、デルマグは飛び上がり、ラージュに攻撃を仕掛けた。ラージュは大剣を振り上げて反撃しようとしたのだが、デルマグの方が早かった。デルマグが放ったのは炎の刃の衝撃波。強い衝撃波はラージュに向かって飛んで行った。だが、偶然にもラージュが大剣を振り上げたと同時に衝撃波はラージュの大剣に命中して破裂した。そのおかげで、ダメージを抑えることができた。


「運がよかったな。だが、そんな奇跡が次に起こるとは思うなよ!」


 デルマグは二本の剣を構え、体勢を崩したラージュに向かって走り出した。ラージュはゆっくりと立ち上がり、この状況をどうやって打破するか考えた。その時、ナイフを持ったライアがラージュの前に立った。


「私のことを忘れないでよ!」


 と言って、ライアはデルマグに向かって走り出した。突如現れたライアを見て、デルマグは動揺した。だが、すぐに我に戻ってライアに攻撃を仕掛けた。


「そんなナイフで俺を傷つけるつもりか? 無駄だぞ! そんな刃じゃ俺に届かない!」


「届くように戦ってやる!」


 ライアは素早くナイフを振り回しながらデルマグにこう言った。しばらくライアは猛攻を続けた。デルマグは攻撃の隙を見て反撃をしようとしたのだが、ライアは攻撃の途中で飛び上がった。


 背後に回るつもりだな。


 そう思ったデルマグはライアの方を振り返ったのだが、その直後に発砲音が聞こえた。コスタがいることを察したデルマグだったが、察するのが遅かった。コスタが放った弾丸はデルマグの脇腹に命中した。


「やった!」


 強烈な速度で飛んで来た弾丸が、デルマグの脇腹を撃ち抜いたのを見て、ライアは勝負あったと思った。デルマグは苦しそうな表情をしたが、すぐに火を発して撃ち抜かれた脇腹を燃やした。


「ぐおおおおお!」


 突如、自分の脇腹を燃やし始めたデルマグを見て、ライアは驚いた。


「うげぇっ! どうして自分で自分を焼いているのさ!」


「傷を塞いでいるのよ。聞いたことがあるわ。昔の戦士は傷を受けたら、火で傷を炙って無理矢理塞ぐのよ」


「逆に火傷するんじゃない?」


「大きな傷を負って戦うより、小さな火傷を負って戦った方が効率はいいでしょ?」


「あー……まぁ、そうだね」


 ライアは呆れながら、デルマグの方を見た。無理矢理な形で傷を治したデルマグは、よろよろしながら立ち上がった。だが、大声を上げて気合を入れた。


「まだ戦いは始まったばかりだ。お前ら、覚悟しろ!」


 デルマグはそう言うと、ライアとラージュに向かって走り出した。攻撃が来ると察した二人だが、突如後ろから二人を飛び越えるようにタルが転がって来た。


「何!」


 転がってきたタルを見て、デルマグは驚いた。二本の剣を振るってタルを斬り壊したのだが、中に入っていた飲み水がデルマグにかかった。


「クソッ! 貴重な水が!」


「そりゃーすいませんでしたね!」


 ケアノスがこう言いながら、デルマグに向かってレイピアを突いた。レイピアが刺さった場所はデルマグの左肩。攻撃を受けた後、ケアノスの存在を察したデルマグは右手に持つ剣をケアノスに向かって投げた。武器を投げるという行為を考えていなかったケアノスは驚いたが、すぐに我に戻って飛んで来た剣をかわした。だが、完全にかわすことはできず、剣の先はケアノスの頬をかすった。


「グッ! この野郎!」


 ケアノスは魔力を解放し、風の刃をデルマグに向かって発した。飛んでくる風の刃を見て、デルマグは火の剣を作り、それを振り回して風の刃をかき消した。


「これで終わりか?」


「まだまだ私たちがいるよ!」


「俺たちを倒したと思うんじゃねーぞ!」


「ぶっ倒れるのはお前の方だ!」


 デルマグの後ろから、武器を持ったカイトたちが襲い掛かった。最初に攻撃を仕掛けたのはカイト。カイトが振り下ろした刀はデルマグの腹に命中した。続いて攻撃を仕掛けたのはセアン。セアンは二発弾丸を放っていて、その二発の弾丸はデルマグの右肩と左の脇腹をかすめるように飛んで行った。


「グッ! お前ら、まだ戦えるのか!」


「おいじーさん! 俺のことを忘れんじゃねーぞ!」


 ウイークは二本の剣を同時に振り下ろし、デルマグを切り裂いた。攻撃を受けたデルマグは、悲鳴を上げながら後ろに吹き飛んだ。




 一方、ロスはあくびをしながらケスタージュンの町を歩いていた。


 めんどくさいな。これからまーたあいつらの元に行くのかよ。


 そう思いながら、ロスはゆっくりと歩いた。彼が向かう場所は港。そこにはロスが仕事用で使う小さなボートが停泊しているのだ。


 港に着いた後、ロスはボートを動かそうとした。その時、どこかの船の船乗りが慌ててロスに近付いた。


「おいあんた、今はどこかの海賊とシーポリスが戦っているから、船を動かさない方がいいぞ!」


「お気使いなく。俺、強いんで大丈夫です」


「強いからって……一人じゃ危険だぞ! せめて武器を持った方がいいぞ。その船、武装されてねーじゃねーか!」


「武装で船を改造する金があったら、大量のエロ本を買ってるよ」


「いやいや、性欲よりも生き抜くことを考えろよ! まぁ、野郎にとってはエロ本も大事だけど……いやいや! それどころじゃない! 危険だから海に出るのは止めとけって!」


「心配してくれてありがとさん。俺は大丈夫なんで、安心してください。じゃ」


 と言って、ロスは小さなボートを動かした。動き出したロスのボートを見て、船乗りはため息を吐いた。


「おいおい……あ……ドンパチやっていることで頭がいっぱいで、モンスターもいるって伝えるの、忘れてた」


 と、その船乗りは小さく呟いた。


 ロスはボートを自動操縦にし、エロ本を読みながら目的地に着くまで暇をつぶした。そんな中、メガサイズスケベイカが現れた。


「何だ、スケベイカか」


 ロスはそう言って、興味なさそうにエロ本を読み始めた。メガサイズスケベイカはロスが乗る小さなボートを見て、足を延ばした。だが、メガサイズスケベイカが襲ってきたことを察したロスはエロ本を机の上に置き、外に出て魔力を解放した。


「やるんだったらかかって来いよ。死んでも知らねーけど」


 ロスの魔力、そして威圧を察したメガサイズスケベイカは足を止め、申し訳なさそうに海の中に潜って行った。ロスはやれやれと呟き、ボートの小屋の中に戻った。


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