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デルマグとの決戦


 カイトたちと戦うデルマグは、シャジュモの魔力がいきなり消えたことを察し、シャジュモが命を落としたことを察しした。


「シャジュモ……お前も逝ってしまったのか……」


「隙ありィ!」


 部下たちの死に悲しむデルマグに対し、セアンがカトラスを振り回してデルマグに攻撃を仕掛けた。


「部下たちの死を悼む時間をくれないか?」


「やるわけないでしょーが!」


 そう言って、セアンは左手に持つハンドガンをデルマグに向け、引き金を引いた。だが、その前にデルマグは左手に持つ剣を振り上げ、セアンのハンドガンに当てて銃口を上に向けた。そのせいで、セアンが放った弾丸は空に向かって飛んで行った。


「クソッ!」


「ピラータ姉妹。部下たちを死に追いやったお前たちは絶対に許せない。あの世へ逝って、俺の部下たちに謝罪して来い」


「するわけねーだろうが!」


 デルマグの背後に接近したカイトが、叫び声を上げながら刀を振るった。デルマグはため息を吐きながら右手で持つ剣でカイトの攻撃を防御し、剣を動かしてカイトの動きを崩した。


「おわっと!」


「隙ありだ坊主。まずお前から殺してやる」


 瞬時にカイトの方に振り返ったデルマグは、左手に持つ剣でカイトに攻撃を仕掛けた。だが、発砲音が聞こえ、その直後に右手側から弾丸が飛んで来た。


「チッ。狙撃手か」


 狙撃手、コスタの存在を知ったデルマグは、魔力を解放して大きな火を作り出し、コスタに向かって放った。


 コスタは自分に向かって飛んでくる大きな火を見て、避けられないと判断した。


 バリアで防ぐしかない!


 そう思ったコスタは魔力を解放し、バリアを展開した。バリアのおかげで火に命中することはなかったが、デルマグが発した火はかなり熱く、バリアを張ってもその熱を感じた。


「あ……熱い……」


 コスタは火が消えるまで、何としてもバリアを張ろうと気合を入れた。だが、デルマグが発した火は消えなかった。


「フッフッフ。バリアを張っても意味がないぞ」


 火を放ちながら、デルマグは小さく笑ってこう呟いた。カイトとセアンは同時にデルマグに攻撃を仕掛けたが、デルマグが発している火の一部が飛び上がり、カイトとセアンに付着した。この瞬間、二人に付着した火は一気に燃え広がった。


「クソッ! こんな技もできるのかよ!」


「このおっさん強いよ。剣の腕も魔力の腕もそれなりにある!」


「まずい、コスタの方も不安だけど、このままだと俺たちも焼かれるぞ!」


「とりあえず海に飛び込もう! そうすれば、火は消えるはず!」


 会話後、二人は海へ飛び込んだ。デルマグは、しばらく二人は戦えないだろうと思ったが、上からライアが急襲を仕掛けた。攻撃を受けたデルマグはその衝撃で、放っていた火を消してしまった。


「グウッ!」


「私のことを忘れないでよね!」


 攻撃を仕掛けた後、ライアは床に着地してデルマグの背中に向かって蹴りを放った。バランスを崩して倒れたデルマグは、すぐに立ち上がってナイフを構えるライアを睨んだ。だが、その後ろからケアノスとラージュが襲い掛かった。


「あんたをこのまま倒すわ!」


「覚悟して頂戴!」


「また後ろからか!」


 デルマグはケアノスとラージュの方を振り向き、二人の攻撃を防御した。ケアノスの攻撃を防御することはできたのだが、ラージュの大剣による一撃を剣一本で防ぐことはできず、そのせいでバランスを崩してしまった。


「グオッ!」


「今よケアノス!」


 ラージュの声を聞き、ケアノスはすぐに魔力を解放してデルマグの腹に向かってレイピアを突いた。攻撃を受ける寸前、デルマグは腹に魔力を込めて防御力を高めていた。しかし、ケアノスも魔力を解放していたため、レイピアの刃は五センチほどデルマグの腹に突き刺さった。


「刺さった」


 ケアノスは更に魔力を込め、レイピアを奥深くまで突き刺そうと考えた。デルマグはこれ以上攻撃を受けたら危険だと察知し、ケアノスに向かって蹴りを放った。ケアノスは攻撃が来ると察し、急いで後ろに下がって蹴りをかわした。


「グウッ……ハァ……ハァ……」


 レイピアが刺さったデルマグは、苦しそうに呼吸し、傷を手で押さえていた。ラージュはデルマグの腹から、少量の血が流れていることを把握した。


「その調子よケアノス。あいつにダメージを与えたわ」


「どうせやるならもっとデカいダメージを与えたいわね。ラージュ、もう一度隙を作れる?」


「やってみるわ。でも、あいつも私たちの攻撃を理解したと思うから、さっきみたいに隙ができると思わない方がいいわよ」


「そうね。でも、一瞬でも隙は隙。何が何でも攻撃ができればいいわ」


「了解。じゃ、私が前に立つわね」


 ラージュは大剣を構え、デルマグを睨んだ。デルマグは双剣を構え、ラージュが来るのを待った。


 何もしない。反撃の構えを取ったようね。


 構えを取って動かないデルマグを見て、ラージュはそう思った。下手に動けば反撃を受ける。だが、何もしなかったら戦いは動かない。そう考えたラージュは大剣を構え、デルマグに向かって走り出した。


「はぁぁぁぁぁ!」


 掛け声と共に、ラージュは大剣を振り下ろした。デルマグは二本の剣をバツ印のように構え、上に上げた。ラージュが振り下ろした大剣は、二本の剣によって塞がれた。


「あら、結構質のいい剣じゃない。普通の剣だったら、この大剣を受け止めてぶっ壊れているわよ」


「そこらへんで売ってる安物と俺の剣を比べるんじゃねーよ」


 デルマグはそう言って、ラージュの腹を蹴った。攻撃を受ける瞬間、ラージュは笑みを浮かべていた。その笑みを見たデルマグは察した。ラージュが前に出たのは、隙を作るためだと。


「しまった!」


 攻撃を受ける予感がしたデルマグは、急いで周囲を見回した。奥に下がっていたケアノスの姿がいなかった。まさかと思い、デルマグは急いで魔力を解放した。だが、デルマグは背中から激痛を感じた。


「遅いわよ。あんた」


 後ろからケアノスの声がした。ケアノスが握るレイピアの刃は、奥深くデルマグの背中に刺さっていた。




 ウイークは回復を終え、デルマグと戦うカイトたちの元へ向かっていた。そんな中、近くから海の音が聞こえた。


「何だ? 誰かが這い上がって来るのか?」


 海に突き落としたエンデルングの船員が、這い上がったのかと思ったウイークは剣を構え、様子を伺った。敵だと思ったウイークだったが、這い上がった者の姿を見て安堵の息を吐いた。


「何だ。セアンとカイトか。敵かと思って驚いたぜ」


 付着した火を消すために、海へ入ったカイトとセアンが船へ這いあがったのだ。二人は急いでウイークに近付き、今の状況を伝えた。


「ようやくボスとの戦いか。で、コスタたちがまだ戦っているわけか」


「そう。早く皆と合流しないと」


「あいつ、結構強いぞ。俺たちが束になってやっと太刀打ちできるほどだ」


「そうか……まぁそうだよな。エンデルング並みの大きな海賊団の船長だし、それなりに強くないと周りの連中を束ねることができねーからな」


 ウイークは周囲を見回しながらこう言った。その時、ケアノスがデルマグをレイピアで突き刺す光景を見た。


「おおっ! ケアノスがレイピアであいつを突き刺したぞ! こりゃー俺たちの出番がないんじゃねーか?」


 ケアノスがデルマグに致命傷を与えたと考えたウイークは、嬉しそうにこう言った。だが、セアンはデルマグから魔力を感じ取ってこう言った。


「いや、あいつはまだ戦うつもりよ。レイピアが刺さっただけで、倒れるような奴じゃないかも」


「そうか……そうだよな。そんな簡単に倒れてくれるはずもないか」


「とにかく急ごう。ケアノスが反撃されるかもしれない!」


「カイトの言う通り。早く行こう!」


 三人は会話を終え、急いでケアノスの元へ向かった。


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