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エンデルングを追いかけろ


 カイトたちを乗せたキャンピングカーがシーポリスの船のある港に着いた時、太陽は沈んでいた。セアンは外に出てあらまと言った。


「もう夜か」


「そりゃそうよ。足止め喰らって、その後また激しくドンパチしたんだから。時間が経つのも当たり前よ」


 ケアノスがキャンピングカーから降りながらこう言った。ライアは欠伸をしながら外に出て、カイトとウイークなどは軽いストレッチをしながら外に出た。サマリオはカイトたちが外に出たことを確認し、口を開いた。


「セアンたちは休んでいてくれ。この後のことはもう決めてある」


「明日、あいつらを追いかけるの?」


 セアンにこう聞かれ、サマリオは頷いた。


「その通りだ。奴らは絶対に逃がさない。だが、セアンたちはかなり疲れているだろう。この状態で、もう夜だから追いかけるには難しい状況だ」


「そうね。かなり戦ったし、皆魔力も体力もないからね……」


「弾の補充もしたいし」


 ケアノスとコスタがこう言った。カイトも回復したとはいえ、大きな怪我を負ってしまった。そのせいで、まだ体が完全な状態ではなかった。


「今日は休みます。すみませんサマリオさん、またシーポリスの船でお世話になります」


「甘える時はどんどん甘えてくれ。休むことも必要だからな」


 遠慮しがちなカイトを見て、サマリオはこう言った。




 その後、カイトは食事を終えて船内にあるシャワールームで体を洗っていた。体を洗う中、カイトは自分の体のことを気にしていた。


「今日はかなり疲れた……ボーっとする」


 と、小さく呟いた。エンデルングの船員と戦っている時は気にしていなかったが、カイトは目まいのような感覚に襲われていた。疲れもあるが、大きな傷を負ったので余計体に負担をかけたのだとカイトは思っていた。


「今日は早く寝よ」


「そうだね。今日は疲れたし、すぐに寝た方がいいよ」


「ああ。セアンの言う通りだな」


 突如後ろからセアンの声が聞こえたため、カイトは思わず声を出して驚いた。いつの間にかカイトの背後にセアンがいたのだ。


「おわァァァァァ! セアン、どうして……いや、いつの間に俺の後ろにいるんだ!」


「へっへーん。どう? スニーキングが上達したでしょー?」


「それよりも、鍵をかけたはずなのに!」


「ピッキングができるようになったのー」


 と、セアンはピッキング用の道具をカイトに見せてこう言った。カイトはため息を吐き、目をつぶりながらセアンに近付いた。


「セアン。この状況を誰かに見られたらとんでもない誤解を周囲に与える。コスタたちからも何か言われるぞ」


「誰にもばれなければ大丈夫だって」


「何が大丈夫よ?」


 セアンは後ろからメリスの声を聞き、驚いた表情をした。ゆっくりと後ろを見ると、そこには腕組をするメリスとケアノスが立っていた。


「あらまお二人さん。どうしたのかなー?」


「周りを見渡すセアンの姿を見て怪しいと思って、ケアノスと一緒に尾行したのよ。そしたら案の定、男子シャワー室に入って行った!」


「セアン、自分の欲望を爆発させるのは仕方ないとして、状況を考えなさい!」


「えー、ヤダ」


「ヤダじゃない!」


 その後、セアンはケアノスとメリスによって連行された。カイトはどうにかなったと思い、安堵の息を吐いた。




 翌日、カイトたちを乗せたシーポリスはケスタージュンから出航した。カイトは外に出て、ウイークと話をしていた。


「昨日のうちにケスタージュンの居場所を把握したらしいぜ。流石シーポリス様」


「俺たちが休んでいる間に、サマリオさんが動いていたんだな」


「ああ。あの人には頭が上がんねーぜ。こうして動けるのも、あの人のおかげだからな」


 ウイークは周囲を見ながらこう言った。話をする中、エンデルングの船を見つける可能性があると思い、見渡しているのだ。カイトもウイークと同じように周囲を見回してエンデルングの船を探したが、見つからなかった。


「そう簡単にあいつらの船は見つからないなー」


「簡単に見つかったらいいんだけどな。ま、戦いになったら俺の二刀流でバッサバッサ倒してやるぜ」


 と、ウイークは笑いながらこう言った。カイトは頼りにしているぜと言って、周囲を見まわたした。


 数時間後、なかなかエンデルングの船と遭遇しないため、カイトは一度セアンたちがいる部屋に戻った。部屋に戻ったカイトを見たコスタは、カイトの表情を見ていろいろと把握した。


「あいつらの船が見つからないのね」


「ああ。昨日の夜のうちに遠く離れたかもしれないな」


「逃げ切ったかもしれないね。最悪な展開になるかも……」


 ライアはため息を吐いてこう言った。だが、ラージュは腕を組んで何か考え始めた。


「逃げ切ったってことはないかもしれないわ。あの戦いであいつらの船にもそれなりにダメージを与えたし、逃げる速度は遅いはずよ。あいつらが先に逃げても、いずれ追いつく」


「そうだといいんだけど」


 ライアは近くにあったお茶を飲んでこう言った。その時、いきなりブザーが鳴り響いたため、驚いたライアは口の中のお茶を一気に飲み込んでしまった。


「あっぢゃァァァァァ!」


「ライア! もう、慌てるからよ」


「いきなりブザーが鳴ったから驚いたんだよ~」


 ライアがラージュの口の中を見せる中、スピーカーから声が響いた。


「エンデルングの船を見つけました! 方角は二時の方向! 狙撃手、砲撃手はすぐに攻撃を開始せよ! 魔力を使える者は反撃に備え、バリア発生器の元へ向かえ!」


 この言葉を聞き、カイトたちは顔を見合わせた。


「いよいよエンデルングを追い詰める時が来たね!」


「ああ。俺はもう準備できてるぜ」


「弾も貰ったし、いつでも狙撃はできるよ」


「ここで一気に片を付けましょう」


「うん! さっさと奴らを倒そう!」


「ブラッディークローの情報も聞き出さないとね。その辺は私に任せてね」


「皆やる気だね! よし、行こう!」


 セアンの声の後、カイトたちは部屋から飛び出した。丁度、隣の部屋にいたウイークも同じタイミングで部屋から飛び出した。


「サイレンを聞いたんだな! 俺も行くぜ!」


「お願いねウイーク! 皆でかかれば、あいつらを楽にぶっ飛ばせる!」


「ハッハッハ! 大船に乗ったつもりで俺に頼れ!」


「泥船じゃなければいいんだけど」


 コスタの一言を聞き、ウイークはバランスを崩した。


「そんなこと言わないでよコスタ。ま、頼りにしてくれ!」


 ウイークはそう言って笑顔を見せた。




 カイトたちが外に出た時、もうすでに戦いは始まっていた。セアンはメリスを見つけ、駆け寄った。


「メリス。もう戦いは始まっているのね」


「ええ。さっき、奴らも私たちの存在に気付いて反撃を仕掛けて来たわ」


「大砲でも撃ったの? 何も振動とかしなかったけど」


「狙撃手が弾を撃ち落としたのよ。とりあえず、こっちが優勢。今のところ、被害者は出ていないわ」


「そうか、よかった」


 セアンが安どの息を吐いた直後、突如シーポリスの船が大きく揺らいだ。


「どうしたの? 反撃でも受けた?」


 メリスはバランスを取りながら、近くにいたシーポリスの戦士に尋ねた。戦士は周りを見て、メリスに近付いた。


「いえ。あいつらの攻撃は受けていません」


「じゃあこの揺れはどういうことなの?」


 この直後、叫び声のような音が周囲に響いた。カイトはうるさいと思いつつ、海を見た。そして、海にあった物を見て驚いた。


「おわっ! あれって……スケベイカだよな? あんなにデカい奴がいるのかよ!」


 カイトの声を聞き、ライアはカイトに近付いて海を見た。そして、あまりにも巨大なスケベイカを見た。


「あいつはメガサイズスケベイカ! そんな、こんな時にスケベなイカと遭遇するなんて!」


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