対決、賞金首ホゲラーナ!
ホゲラーナの船はピラータ姉妹の急襲を受け、大混乱していた。
「何か知らんけど大砲が爆発した! 何で?」
「そりゃーそうだろ、ピラータ姉妹が襲い掛かって来たんだよ!」
「うわ! セアンとライアだ! 可愛いけど怖い!」
「可愛いって思って甘く見るな、アイツらは悪魔のように強いぞ!」
「あ……悪魔だ……」
船員たちはセアンとライアの急襲でぶっ飛ばされ、まともに戦えなかった。だが、船長のホゲラーナは立ち上がって慌て逃げ出そうとする船員たちに喝を入れた。
「お前ら! 慌てたら相手の思うままだ! 一度冷静になってどうやって状況を打破するか考えて……」
その時、セアンが船長室の扉を蹴り飛ばし、ライアと共に船長室に中に入って来た。セアンとライアの姿を見て、船員たちは悲鳴を上げた。
「まずい! こっちに入って来た!」
「降伏しましょう。我らじゃ勝てない」
「ごめんなしゃーい! あなたたちの言うことに従いまーす!」
船員たちは一斉にセアンとライアに土下座したが、ホゲラーナだけはレイピアを持ち、セアンに襲い掛かった。
「船員たちは屈服したが、俺はお前ら相手に負けを認めぬぞ! さぁ、いざ勝負!」
「ほー。流石船長さん。あんただけはやる気あるね」
やる気を見せるホゲラーナの目を見たセアンは、頬の近くにあるホゲラーナのレイピアを見てにやりと笑った。
「やる気はあるし、レイピアの腕もなかなかあるじゃん」
「おいおい、あと少しで急所だというのに笑顔を作るか?」
「あんたの強さを認めたってことだよ!」
セアンはホゲラーナをカトラスで攻撃し、動揺させた。狭い部屋で暴れ始めるセアンを見て、船員を縛っているライアはセアンにこう言った。
「ちょっとー、狭い部屋で暴れないでー! こっちは雑魚を動けないように縛ってるんだからさー」
「ごめんごめん。邪魔にならないようにあいつをぶっ飛ばすから」
「そう簡単にぶっ飛ばされてたまるか!」
ホゲラーナは魔力を開放し、船長室を吹き飛ばした。飛んで行った屋根を見て、ライアは口を開けて驚いていた。
「ありゃま、意外と魔力あるね、あのオッサン」
「そうだね。二人じゃちょっときついかな?」
「いやー、本気を出せば倒せるでしょー」
話をするセアンとライアを見て、隙ができたと考えたホゲラーナはレイピアを構え、セアンに襲い掛かった。だが、そこにカイトが現れ、刀でホゲラーナの攻撃を防御した。
「なっ……」
「ごめん二人とも、この船意外と広いから迷っていた。間に合ってよかった」
「カイト! 来てくれただけでありがたいよ!」
「ナイスタイミング。このまま一緒にあいつをぶっ倒そう!」
セアンの言葉を聞いて頷いたカイトは、刀を構えてホゲラーナに斬りかかった。ニ対一という不利な状況になり、ホゲラーナは嫌そうな顔をした。
「クッソー、今日の星占い、俺の星座上位だったのに~」
「おっさんのくせに、星占いを信じるのね。意外とかわいい所があるね」
「セアン、戦っている中で軽口はよそうぜ。軽口を叩いているとその隙に斬られるぜ」
「だね。このおっさん結構強いし、油断してたらこっちがやられる」
セアンはそう言ってホゲラーナを蹴り飛ばした。その隙にカイトは魔力を開放し、刀に込めた。
「俺が行く!」
「分かった。援護するから思う存分やっちゃって!」
「ああ! 頼むぜ、セアン!」
刀に魔力を込めたカイトは、力を込めてホゲラーナに斬りかかった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「クソが! お前みたいな小僧、俺の魔力で吹き飛ばしてやる!」
ホゲラーナは攻撃を喰らうかと考えつつ、魔力を発してカイトを吹き飛ばそうとした。だが、カイトはホゲラーナが放った衝撃波を耐え、そのままホゲラーナに近付いた。
「そんな……俺の魔力を耐えたなんて……」
「あんな魔力を受けてぶっ飛ぶわけにはいかないからな! これでも喰らえ!」
力を込めてカイトは刀を振り下ろした。刀を振り下ろしたと同時に、鋭い刃のような水がホゲラーナを襲った。
「ギャアアアアアア! 本当に……なんかもうヤダァ……」
一閃されたホゲラーナは、泣き言を言ってその場に倒れた。戦いが終わった後、カイトは刀を鞘に納めた。
「ふぅ……何とか倒した」
「やったねカイトー!」
そう言いながら、援護をしていたセアンがカイトを抱きしめた。カイトは動揺しつつも、顔を近付けるセアンにこう言った。
「ああ。何とか勝てたよ。悪いな、セアンとライアが戦っていたのに、横やりしたような形で敵のボスを倒して……」
「そんなの関係ないよ。皆無事ならそれでオールオッケー」
と、船員を縛ったライアがこう言った。会話後、三人はホゲラーナたちをヴィーナスハンドに移し、牢屋へ入れた。
「さーて、後はあいつらをどこかの町のシーポリスへ連行しないと!」
「そうね。この近くに島があるみたいだから、早く行くわよ」
ケアノスがそう言うと、セアンは了解と返事を送った。
その後、ピラータ姉妹によってホゲラーナの海賊団は近くの町のシーポリスに捕らえられた。
「うっはー、こんな所で賞金がもらえるなんて思ってなかったー」
セアンは札束が入った封筒を持ってにやにやしていた。だが、ケアノスが近付いてこう言った。
「少しでも多くサビナにお金を入れないとね。これだけあれば、それなりに復興するでしょう」
「そうだね。それじゃ、銀行に行ってくるよ」
セアンは賞金を振り込むため、銀行へ向かった。セアンの帰りを待つ中、ケアノスは少し考えてこう言った。
「しばらくサビナに戻ってないし、一度戻りましょうか。この辺りからなら、三日で行くことができるわ」
ケアノスの言葉を聞き、コスタやラージュが賛成の声を上げた。
「そうね。皆にも会いたいし、向こうも会いたがっていると思うわ」
「前に戻ったのは数か月前。かなり間が開いたからね」
「それじゃあセアンが戻ってきたらその話をしようよー」
と、調理の仕込みをしているライアが声を出した。その後、戻って来たセアンにその話をすると、セアンは嬉しそうに賛成の声を上げた。
「もちろんそうするよ! 久しぶりだな、戻るの。皆にカイトのことを話したいし!」
「そうか、カイトも一緒だから皆、カイトのことは知らないのか」
「これを見てライア、この新聞にカイトが私たちの仲間になったことが記事になってるわ。この前のシャケベルトの時に姿が全世界的に知らされたらしいわね」
「それよりも、私は島に戻る支度をするからちょっと部屋にいるねー」
そう言って、セアンはうきうきした気分でヴィーナスハンドの部屋へ向かった。ピラータ姉妹の話を聞く中、カイトはサビナのという場所がどういう島で、一体何があったのかが気になった。カイトはケアノスに詳しい話を聞くため、ケアノスの自室に向かった。
「ケアノス、サビナについて話が聞きたいけど。一度、話してくれるって確か言ってた気がするけど」
「そうね……分かったわ。入ってきていいわよ」
「それじゃあ、失礼します」
ケアノスの返事を聞き、カイトは部屋に入った。ケアノスはカイトを部屋に案内し、椅子に座らせた。
「サビナと私たちの話を聞きたいのね」
「無理ならいいけど……でも、一緒に行動しているうちに、どんな形であろうと耳にすると思うからさ。どんな話か分からないけど、ショックを受けるならなるべく早めにしておいた方がいいかなって思って」
カイトの言葉を聞き、ケアノスは顔を上げた。
「そうね。カイトも私たちの仲間だし、しっかり話さないと。私たちの過去にかなり関わることだからね……」
と言って、ケアノスは思い出しながら話を始めた。
セアンたちは移動中に賞金首の海賊と遭遇したら、真っ先に戦います。義賊とはいえ、海賊家業しているので稼げるときに稼ぐというスタンスでセアンたちは生活しています。
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