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銃と弓の戦い


 コスタはスナイパーライフルを構えつつ、横に移動していた。時折、エンフが放つ矢がコスタの近くを通り過ぎた。


 奴が放つ矢はかなり正確だ。


 通り過ぎる矢を見て、コスタはそう思った。ランドレディースでフワウたち女戦士と戦った時、コスタは弓の力をその目で確認した。力が必要だが、銃とは違って火薬は必要なし。矢も木や細長い棒のような物を利用すれば矢として使える。威力としては銃の方が上なのだが、利便性の方では弓矢が上だとコスタは考えた。


「ちょこまか動く」


 エンフはそう呟き、背中の矢筒から三本の矢を手にし、コスタに向けて放った。その時、コスタはエンフが魔力を解放したことを察した。


 エンフは解放した魔力を矢に流し、コスタに向けて矢を放った。


「何をするか分からないけど……撃つ!」


 コスタは放たれた矢に向かって標準を合わせ、スナイパーライフルの引き金を引いた。だが、矢は意思を持ったかのように動き、弾丸をかわした。


 やはり魔力で小細工をしたか!


 動いた矢を見て、コスタはエンフが魔力を使って矢を操ると察した。矢はコスタの方を向き、勢いよく飛んだ。


「チッ!」


 自身を狙って飛んでくる矢を見て、コスタは舌打ちをしながら横に移動して回避した。魔力が込められた矢は地面に突き刺さり、動かなくなった。それを見たコスタは、魔力が込められても地面に刺されば使い物にならなくなると知った。


「次は外さないわ。必ずあんたを殺す」


 攻撃をかわされたことを知り、エンフはコスタを睨んで次の攻撃の準備をした。エンフの動きを察したコスタは、素早くスナイパーライフルを構え、エンフに向かって発砲した。放たれた弾丸はエンフの弓矢に命中し、壊れた。


「クッ!」


 コスタの弾丸は弓矢を壊しつつ、エンフの頭の右側をかすった。かすった時に少量の髪が抜け、地面に落ちた。


「酷いことをするわね……」


 エンフがそう呟くと、かすった箇所から血が流れた。その後、素早く壊れた弓を直し、コスタに向かって弓を構えた。だが、すでにコスタは次の攻撃の支度をしていた。そして、コスタは引き金を引いた。


「なっ!」


 飛んでくる弾丸を見ながら、エンフはしゃがんで弾丸を回避した。だが、コスタはすでに次の攻撃の支度を終えており、続けて引き金を引いた。放たれた弾丸はエンフに向かって飛んで行き、エンフの右肩を撃ち抜いた。


「ギャアアアアアア!」


 コスタは遠くにいるエンフの悲鳴を聞き、攻撃が命中したと確信した。コスタはスナイパーライフルをしまい、エンフに近付いた。


「これで弓矢は使えないでしょ? さっさと諦めて私たちの言うことを聞いて」


 エンフはコスタのこの言葉を聞き、苛立った。


「まだ戦いは終わってないわよ! 狙撃手が敵に近付いたら危ないんじゃないの?」


 と言って、エンフは持っていたナイフをコスタに向かって振り上げた。だが、コスタはエンフがナイフのような小型の刃物を持っていると予想し、この攻撃が来ると考えていた。そのため、驚きも動揺もせずこの攻撃をかわすことができた。


「接近戦のためにナイフを持っていたのね。私もショートソードを持っているわ」


 コスタはエンフに向かってこう言った。エンフは歯ぎしりしながら立ち上がり、がむしゃらにナイフを振り始めた。コスタはこの攻撃をかわしながら、我を失っているエンフにこう言った。


「適当にナイフを振るっても私に勝てないわよ」


「うるさい! お前は私が殺す、どんな手を使ってもね!」


 エンフはそう言って、注射器を取り出して左腕に刺そうとした。コスタはイコルパワーを使うつもりだと察し、素早くスナイパーライフルを構えて注射器を撃って破壊した。コスタが放った弾丸は注射器を破壊したが、エンフの様子が変わっていた。


「フフフ……少量でも効果があるようね」


 エンフは不気味な笑みをしながらコスタを見た。少量だが、イコルパワーを注入してしまったと思ったコスタは、後ろに下がってスナイパーライフルを構えた。エンフは撃ち抜かれた右腕を動かし、弓矢を構えた。そして、力を込めて矢を放った。その時の矢は威力が高く、衝撃波を発しながらコスタに向かって飛んで行った。


「クッ!」


 コスタは高く飛び上がって矢をかわしたが、この行動をするだろうと予測していたエンフは次の矢を構えた。


「死ねぇ!」


 勝利を確信したかのように叫んだエンフは、次の矢を放った。物凄い速さで自分に向かって飛んでくる矢を見て、コスタはスナイパーライフルを上に向けて発砲した。発砲した際の衝撃でコスタの体は落下し、そのおかげで矢をかわすことができた。


 これはまずい。少量でもあれだけ力が上がるとは思わなかった。


 地面に着地したコスタは、不気味な笑みを見せるエンフを見てこう思った。イコルパワーで力が増したエンフは強敵となった。たとえ弾丸が命中してエンフの体を撃ち抜いても、痛みを感じず、そのまま動くだろう。コスタは考えた、この状況をどうやって打破するかを。


「何をボーっとしているのかしら? このままあんたを殺してやるわ!」


 エンフは矢筒から十本以上の矢を手にし、コスタに向けて放った。猛スピードで飛んでくる矢を見て、コスタは横に飛んで回避した。


「これをかわすとはやるわねぇ。さて、次で始末してやるわ」


 と言って、エンフは矢筒に手を伸ばした。だが、矢筒に矢はなかった。その時の表情を見て、コスタはエンフの矢が切れたことを察した。倒しとしたら今。そう思ったコスタは急いでエンフに接近し、ショートソードで斬りつけた。


「グッ!」


「このままあんたを倒すわ!」


 エンフを斬った後、コスタはエンフが持つ弓をショートソードで斬って破壊した。


「なっ……」


「これで終わりよ」


 弓を破壊され、動揺したエンフに向かってコスタはショートソードを振り下ろした。この攻撃を受けたエンフは悲鳴を上げ、その場に倒れた。


「ぐ……う……どうして……体が動かない」


 地面に倒れたエンフは、苦しそうにこう言った。コスタは魔力の紐を作り、エンフの体を縛った。


「もう少しじっとしててね」


 と言って、コスタはエンフを担いでラージュの元へ向かった。




 ケアノスとサマリオは大男、アラギと戦っていた。


「二人がかりでオイラを倒そうだなんて考えない方がいいぞ~!」


 と言って、アラギは両手に持つ大剣に雷を発し、二人に向かって振り下ろした。二人は攻撃をかわし、攻撃の様子を見ていた。


「あいつの行動はかなり単純ね。魔力で雷を発して、大剣を振り下ろす」


「確かに単純で分かりやすい攻撃だが、当たれば大ダメージは確実だろう」


「そうね。奴は単純だから、力を込めて攻撃するしかできないかもしれないわね」


「油断するなよ。ああいう奴は戦いの途中で変なひらめきを思いつく」


 二人が話をしているのを知って、アラギは二人を睨んだ。


「戦っている中でお喋りするなよ。オイラ、怒ったぞ~!」


 そう言って、アラギは強い魔力を解放した。アラギの周囲の草は魔力解放の際の衝撃波で抜け、木々も吹き飛んだ。二人は吹き飛ばないようにその場で踏ん張った。


「つ……強い!」


「予想していたが、強い魔力だ。油断するなよケアノス。このタイミングで奴が襲ってくる!」


 サマリオがこう言った直後、アラギは高く飛び上がって大剣を振り上げた。


「こーれーでー死ねェェェェェェェェェ!」


 アラギは大声を上げながら、大剣を振り下ろした。サマリオはケアノスの前に立ち、魔力を解放してバリアを発した。だが、アラギが放った一撃はサマリオが作ったバリアを粉砕し、二人を襲った。


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