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田舎道での戦い


 アラギの一撃はカイトが張ったバリアを粉砕し、カイトに命中した。この攻撃を受けたカイトは吐血しながら倒れた。


「ぐっふふ~、まず一匹」


 アラギは笑いながらこう言った。その言葉を聞いたセアンはアラギを睨み、カトラスとハンドガンを強く握って攻撃しようとした。だが、ケアノスとサマリオがセアンの前に立った。


「セアン、あいつは私がハチの巣にして大量に血を流してカピカピの死体にさせるから、カイトのことをお願い」


「ケアノスの暴走は私が止める。セアン、カイト君を頼んだ」


 二人の言葉を聞き、セアンは少し間をおいてこう言った。


「お願い。私の分まできっちりとあのデカブツを倒してね。サマリオ、ケアノスのことをお願い」


 セアンの言葉を聞いた後、ケアノスとサマリオはアラギへ向かって走り出した。ラージュはセアンと合流してカイトの治癒を行おうとしたのだが、ターティーがラージュに接近して殴りかかった。間一髪のところでターティーの存在に気付いたラージュは大剣を盾にして攻撃を防ぎ、後へ下がった。


「あら。挨拶もせずにいきなり殴りかかるのは無礼だと思うけど」


「敵に挨拶は無用ですからね」


 ターティーは殴る構えを取り、ラージュを見つめた。ラージュはため息を吐き、ライアとツリーの姿を見てこう言った。


「ライア、ツリーさん。カイトの治癒をお願い。この紳士もどきは私が倒しておくわ」


「任せて」


「やってみる」


 ラージュの声を聞いたライアとツリーは急いでセアンの元へ向かった。その後、ラージュはターティーを睨んだ。


「さて。始めましょうか、紳士もどきさん」


「私はそんな名前ではない。ターティーだ。君を殴り殺す男の名前を脳に刻んでおくといい」


 ターティーはそう言って、頭を下げた。


 一方、コスタは遠くの方で魔力を感じ、まだ仲間がいることを把握していた。コスタはセアンたちの元へ近付き、こう言った。


「まだ敵がいる。武器を持てるようにしておいて」


 コスタの言葉を聞き、ツリーは泣きそうな声を発した。


「うえぇぇぇぇぇぇ! まだ敵がいるの~? ここにいるだけでなんか強そうじゃなーい!」


「敵が私たちの都合に応えると思う?」


 コスタの言葉を聞き、ツリーは大きなため息を吐いた。その直後、何かを感じ取ったコスタは素早くスナイパーライフルを構えて発砲した。発砲後、少し間をおいてから何かが落ちる音が聞こえた。


「何かが飛んで来たの?」


 ライアの言葉を聞きながら、コスタは望遠鏡でそれを確認していた。


「矢だよ。フワウたちみたいに矢を使う人が敵にいるわね」


 ライアに言葉を返していると、コスタはすぐにスナイパーライフルを持ち換えて発砲した。


「どうやら、敵の弓使いは私たちを狙っているわ。それと、もう一人敵がいる!」


「ええええええええ! 後二人いるってこと? もうやーだー!」


 ツリーが悲鳴を上げた直後、無数の矢が飛んで来た。コスタはショートソードを手にし、飛んでくる矢を斬り落とした。ライアもナイフを持ち換えて矢を斬り落とそうとしたが、それを見たコスタが叫んだ。


「ライアはカイトの治療をお願い! 敵の弓使いは私が倒す!」


「あと一人いるけど、そいつはどうするの?」


「私がやる。ライアとツリーはカイトの治療をお願い」


 と、セアンが立ち上がってこう言った。セアンはコスタの横に立ち、口を開いた。


「コスタ、私が敵の方へ向かうから援護をお願い」


「分かった。もう一人の敵がどんな奴か分からないから、慎重にね」


「うん」


 話を終えた後、セアンは敵に向かって走り出した。




 ウイークはボールを使う敵、ダンカと戦っている。


「オラオラ! 俺の攻撃を受けてあの世へ逝っちまいな!」


 ダンカはボールに雷の糸をくっつけ、それを振り回して攻撃を仕掛けている。ウイークは攻撃をかわしつつ、反撃の隙を伺っていた。


「おいおい、俺の攻撃を見てビビってんのか?」


 挑発するような口調でダンカはこう言ったが、ウイークはため息を吐いた。


「バカだなお前。それしか攻撃手段はねーのかよ」


「あん?」


 ウイークの言葉を聞き、ダンカの額に青筋が入った。


「なめてんのかテメー? だったらお望み通り他の攻撃方法を見せてやらァァァァァ!」


 ダンカは雷の糸を消し、宙に上がっていたボールを落とした。そして、それをサッカーボールのように蹴り、ウイークの方へ飛ばした。


「こういう扱い方もできるんだよ! 悪いが、ボールは俺にとっては最高の武器だ! こいつでテメーの腹に風穴開けてやる!」


「最高の武器ねぇ。それじゃあ、その最高の武器の攻撃力を、その身で味わいな」


 と言って、ウイークは両足に魔力を溜め、飛んでくるボールを蹴り返した。


「何!」


 ウイークがボールを蹴り返して反撃するとはダンカは予想していなかった。茫然とするダンカにボールは飛んで来て、腹に命中した。


「グッブホォォォォォ!」


 飛んできたボールに直撃したダンカは悲鳴を上げながら後ろへ吹き飛んだ。ダンカは痛みをこらえながら立ち上がったが、そこにはボールを持ったウイークが立っていた。


「ボールで遊びたいならもう少し柔らかいボールを使え。鉄みたいに硬いと、楽しく遊べないぞ」


「この野郎!」


 ダンカは両手に雷を発してウイークを攻撃したが、ウイークはボールを盾にしてダンカの攻撃を防いだ。ダメージを与えられなかったことを察したダンカは舌打ちをしたが、これでボールを手元に戻すことができた。


「わざわざボールを持ってきてくれてありがとさん! お礼に殺してやるよ」


「持ってきたことには意味がある」


 ウイークはそう言うと、指を鳴らした。どうして指を鳴らすんだと思ったダンカだったが、その直後にかすかにボールに付着していたウイークの魔力が破裂し、ダンカの指に火を付けた。


「うわあああああああああああああああ!」


「敵の魔力に気付けないとは、まだまだ青二才だな」


 悲鳴を上げて指に付着した火を消そうとするダンカを見て、ウイークは呟いた。その後、ウイークは双剣を持ってダンカに接近して双剣を振るった。二つの斬撃はダンカに命中し、宙へ舞い上がらせた。


「ガッハッ!」


「これで終わりだな」


 血を流しながら宙へ舞ったダンカだったが、この時に指に付着した火は消えており、持っていたボールも丁度ウイークに狙いやすい位置にあった。


「終わりなのはお前だァァァァァ!」


 ダンカは叫びながら魔力を解放し、体を勢いよく回転させてボールを蹴った。


「何!」


 ボールが飛んで来ることを察したウイークは防御の態勢をとったが、ウイークに近付く寸前にボールはカーブのように曲がり、ウイークのがら空きの右わき腹に命中した。


「ガアアアアアアアアア!」


 攻撃を受けたウイークは、骨の何本かが折れたことを把握した。そして、ボールは勢いよく回転しており、まだ攻撃が続いていると察した。


「さーて、逆襲の時間だぜ! このままお前をぶっ殺してやる!」


 地面に着地したダンカは、雷を発して回転するボールに向けて放った。雷を受けたボールは更に回転し、ウイークの皮膚を削った。


「このまま皮膚を削って、テメーの腹に穴を開けてやるぜ!」


 苦しそうな表情をするウイークを見て、ダンカは勝利を確信したかのように笑い始めた。


 クソッ! このままじゃあ腹に穴が開く!


 ウイークは心の中で、この状況がとてもまずいことを把握していた。早くボールを何とかしなければ、腹に穴が開いてとんでもないことになると考えた。だが、猛スピードで回転するボールに手を触れたら確実に指が飛ぶ。たとえ、魔力を発して指を守っても意味がないとウイークは考えた。


 仕方ない。一か八かだ。


 そう思ったウイークは、震える手で剣を握った。


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