表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
262/430

ソンウクとの戦い


 怒れるセアンとケアノスとラージュの容赦と慈悲のない攻撃により、ズジルダは無残な姿となって敗北した。ズジルダとの戦いが終わり、カイトたちはゾムコロから貰った養豆で回復していた。


「さて、あと一人か……」


 カイトは準備運動をしているソンウクを見てこう言った。カイトは内心不安だった。ズジルダとの戦いでは、圧倒的な力の前にカイトはあっという間に倒されてしまったのだ。そのため、最後に戦うソンウクはかなり強いと思った。そう思うと、カイトはため息を吐いた。そのため息を見て、セアンはカイトに抱き着いた。


「なーにため息を吐いてんのよ? 私がいるから不安なんて何もないよ」


「そうか? あの人がどれだけ強いのか分からないのに……」


 カイトは不安に思っていることをセアンに話した。その言葉を聞いたセアンは笑って答えた。


「大丈夫だって! 皆でかかれば勝てるって! 今までの戦いで苦戦したことはあるけど、なんだかんだで強敵を倒してきてるじゃない!」


「確かにな……」


「だから不安に思っていたらダメだって! 勝てるって信じ込めば大体どうにかなるって!」


 セアンは笑いながらカイトを抱きしめていた。ケアノスはカイトに近付き、こう言った。


「不安なのは私も同じだけど、まぁ皆で戦えば多分勝てるわ」


「そうか……そうだな」


 ケアノスの言葉を聞き、カイトの不安は少し和らいだ。




 ソンウクは準備運動を終え、気合を入れていた。


「うし。そろそろはじめっぞ!」


 ソンウクの言葉を聞き、カイトたちは立ち上がってソンウクの前に移動した。


「さーてと、戦いを始める前に、あんたはどれだけ強いか教えてくれ」


 ウイークがこう言うと、ソンウクはにやりと笑ってこう言った。


「オラもズジルダと同じようにパワーアップする。それも、バリエーションがあるぞ」


 返事を聞き、ウイークは額から汗を流した。


「おいおい、さっきの戦いでかなり苦戦したってのに、似たようなバリエーションを持ってんのかよ、あんたは」


「まぁな。これも経験を重ねた結果だ」


 そう言って、ソンウクは軽く跳ね始めた。


「それじゃあ始めるか。とりあえず、オメーらの力を見せてくれ。誰からでもいいから、オラに攻撃を仕掛けて来い!」


 ソンウクは手招きをしながらこう言った。その言葉を聞き、カイトたちは口を開けて驚いた。


「挑発のつもりかあんた?」


 カイトがこう聞くと、ソンウクは慌てながら手を振って否定する素振りを見せた。


「違う違う! このまま戦いを始めちまうと、オメーらの力を見ることができねーからさ、とりあえずどれだけの力を持つかこの身で知りてーんだよ」


「俺たちの力を試すってわけだな。それじゃあ俺から行くぜ!」


 ウイークはそう言って、両手の剣を持ってソンウクに斬りかかった。ウイークは力を込めて剣を振り下ろしたが、ソンウクにできたのは多少の傷だった。


「おいおい、結構力を込めたんだけどな」


「それでもいい攻撃だったじゃねーか。そんなに悲観することはねーぞ」


「それじゃあ次は私!」


 と言って、ライアが上空からナイフを構えてソンウクに攻撃を仕掛けた。攻撃を仕掛ける中、ライアはソンウクが防御の構えをとっていないことに気付いた。その状態で、ソンウクにできる傷は深くなかった。


「グッ! 結構分厚い皮膚だね。あんた、本当に人間?」


 ライアは攻撃を止めて地面に降りたが、ソンウクは手で体を払ってこう言った。


「オラたちは人間じゃねーさ。なんつーか、うーむ……」


「俺たちは全知の剣を作った奴が生み出した思念体だ。鍵を守るために存在する」


「じゃあ人間じゃあないんだね」


 ライアがこう言うと、あることに気付いたウイークがこう言った。


「おいおい、あんたは鍛えているって言ってたけど、誰が相手になってたんだよ」


「この場にいる皆だ。だからオラは強くなったんだ」


 と、ソンウクはにやりと笑った。ソンウクはかなり強い。そう思ったカイトたちだったが、魔力を解放したラージュが大剣を構えてソンウクの腰元に向かって大剣を振るった。


「この一撃ならどう? 耐えられるかしら?」


「ヘヘッ、来い!」


 ソンウクは体全体に力を込め、ラージュの攻撃が来るのを待った。そして、ラージュの大剣はソンウクの腰に命中した。大剣の刃はソンウクの腰に少しめり込んだが、深くまでめり込まなかった。


「グッ……硬い……」


「ヘヘッ。そう残念そうに言うなよ姉ちゃん」


「じゃあこれはどうだ!」


 ケアノスは魔力を解放し、ソンウクの腹に向けてレイピアを放った。何度もレイピアを突いたケアノスだったが、ソンウクにダメージを与えることはできなかった。


「グッ! これでも無理なの!」


「ああ。オラの体はかなりかてぇからな」


 ソンウクがにやりと笑ってこう言ったが、その直後にコスタが放ったライフル弾がソンウクの額に命中した。ライフル弾を受けた時の衝撃で、ソンウクは後ろに倒れた。この一発で倒れたかとカイトとセアンは思ったが、ソンウクはすぐに起き上がって額を触った。


「おいおい、今度はライフル弾かよ。衝撃はあったけど、この弾丸じゃあオラの頭は撃ち抜けねーぞ」


 そう言いながら、近くに落ちている潰れたライフル弾を手にして遠くへ投げた。潰れたライフル弾は壁に激突し、そのまま奥深くめり込んだ。その後、ソンウクは首を回しながらカイトとセアンの方を向いた。


「後はおめぇらだ。もし来るなら、二人同時で来てもいいぞ」


 その言葉を聞き、カイトとセアンは顔を見合わせてこう言った。


「それじゃあカイト、遠慮なく行こう!」


「ああ! 二人でなら奴を倒せる……いや、ダメージを与えることができるはずだ!」


 会話後、カイトは刀を持ち、セアンはカイトの手に触れて魔力を解放した。その時、カイトの刀の周りには、青と緑のオーラが発した。それを見たケアノスは驚いてこう言った。


「すごい! これならあいつにダメージを与えられるかも!」


「二人の魔力が一つになったから、威力も上がっているはず」


 ケアノスの横にいたコスタがこう言った。魔力を解放した後、カイトとセアンは息を合わせて走り出し、ソンウクに接近した。


「うおおおおおおおおお! これでも喰らえェェェェェェェェェ!」


 二人は同時に叫び、刀を振るってソンウクを一閃した。




 ソンウクが一閃された時、セルリムたちは目を開いてこの戦いの様子を見ていた。


「すごい一撃だ。剣を振るった時の衝撃がここまで響く」


 ザムチャンは身震いしながらこう言った。ジャスセンハは目を細めて、ソンウクの様子を確認しようとした。


「ソンウクはどうなった? まだ立っているか?」


 セルリムは慌てながらジャスセンハにこう聞いたが、煙が濃すぎてソンウクの無事を確かめることはできなかった。そんな中、ゾムコロとズジルダがこう言った。


「奴は生きている」


「あいつ、魔力をゆっくり開放していやがる」


 その言葉の直後、ソンウクは魔力を解放して周囲の煙を吹き飛ばした。ソンウクの体には、一閃された大きな切り傷があった。


「痛かったぞ今の一撃は。流石のおらでもヤベェって思っちまったぞ」


 その言葉を聞き、カイトとセアンは驚いて茫然としていた。


「嘘だろ。かなり魔力を込めたのに」


「傷はある。だけど……それで奴は立ってるよ」


 カイトとセアンが呟く中、ウイークが急いで二人をソンウクから遠ざけた。


「しっかりしてくれ二人とも! あいつの攻撃が来るぞ!」


 ウイークがこう叫んだ瞬間、ソンウクはウイークに向かって突進した。


「ガハッ!」


 突進を受けたウイークは衝撃で浮き上がった。その後、ソンウクは左足でウイークを蹴り飛ばした。


「さて、こっからオラも攻めて行くぞ! 本気でやらねーと、死んじまうと思えよ!」


 カイトとセアンに向かって、ソンウクはこう言った。


 そろそろ今回の章も終わりが近付いてきています。次回はブラッディークローのもう一つの狙いと動き、そしてその傘下との激闘です。いろいろと今後の展開について考えているので、伝える時が来たらあとがきを利用して話をしようと考えています。最後に、この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ