根気比べの戦い
腕を斬り落としても再生する能力を持つ戦士、ゾムコロと戦うカイトたち。ゾムコロの話を聞いていたコスタは変なものを感じた。どうして自分の能力のことを話したのかと考えた。
「うおおおおおおお!」
コスタが考えを巡らせていると、カイトの声が聞こえた。カイトは刀を振り回しながらゾムコロに攻撃をし、ゾムコロは腕に魔力を流してカイトの攻撃を受け止め、反撃をしていた。
「グフッ!」
ゾムコロの蹴りを受けたカイトは壁の方へ吹き飛び、壁に激突した。セアンはカイトに近付いて様子を聞いた。
「凄い音が聞こえたけど、大丈夫?」
「何とか……ウッ!」
カイトはセアンに心配かけさせないように返事をしたが、背中から激痛を感じ、顔を引きつった。セアンはカイトの状態を察して戦えないかもしれないと思い、ラージュを呼ぼうとした。だが、ゾムコロはセアンに向かって突進を仕掛けてきた。
「この状況で来るってのか」
「俺がやる!」
と言って、ウイークが剣を持ってゾムコロの突進を抑えた。ゾムコロはウイークの存在を察し、狙いをウイークに変えた。
「シェァァァァッ!」
ゾムコロはウイークに激突し、後へ吹き飛ばした。そして、そのまま飛び蹴りを放ち、ウイークに追撃を放った。
「このまま足を斬り刻んでやる!」
攻撃を受けたウイークは態勢を整え、両手の剣でゾムコロの足を斬り落とした。だが、ゾムコロの足を斬り落としてもウイークは自分が優勢に立ったと思っていなかった。
「さっさと再生しろよ。腕と同じように、足も生えるんだろ?」
「その通りだ」
ゾムコロはそう言った後、気合いが入った声で魔力を解放した。その直後、足が生えた。
「ふぅ……連続してこの能力を使うと疲れるぜ」
「その時に悪いが、攻撃するぜ! 戦いだから仕方ないねぇ!」
ウイークはゾムコロに接近し、攻撃を仕掛けた。ゾムコロは斬撃を受けてしまったが、途中で腕を動かし、ウイークの攻撃を止めた。
「根性あるな、お前」
「根性も戦いに必要だからな!」
と言って、ゾムコロはウイークに頭突きを放った。攻撃を受けたウイークは小さな悲鳴を漏らしながら後ろに下がったが、すぐに態勢を戻し、ゾムコロに向かって剣を振り下ろした。だが、ゾムコロは攻撃を受け止めて再び頭痛を放った。
「せいやぁっ!」
二度目の頭突きは力強く行った。この攻撃を受けたウイークは後ろに下がったが、しばらくその場で立っていた。攻撃を受けたウイークは軽く脳震盪を起こしていると判断したゾムコロは、ウイークにとどめを刺すつもりで攻撃を仕掛けた。だが、ライアがゾムコロに接近してナイフを振り回した。
「グフェェッ! 俺の隙を見計らって……」
「敵は一人じゃないよ!」
と言って、ライアはゾムコロに攻撃を仕掛けた。しばらくしてゾムコロは防御の構えをとったが、それでもライアは攻撃を止めなかった。
ライアが攻撃を止めなかったのは理由がある。ウイークの回復のために時間稼ぎをしているのだ。
早く戻って、ウイーク!
ライアは時折後ろを見ながらウイークの様子を見ていた。だが、ウイークは動かなかった。
「仲間の復活のために時間稼ぎか。無駄なことを!」
ゾムコロはライアに向かって足払いを仕掛け、ライアを転倒させた。すぐに立ち上がろうとしたライアだったが、ゾムコロは魔力を解放してライアの周囲に魔力のバリアを放った。ライアはこのバリアは身動きを封じるためのバリアだと察し、すぐに破壊しようとした。だが、ゾムコロのバリアに手を触れた瞬間、ライアの体は痺れた。
「バリアを壊すことはできないぞ。触れたら痺れるからな」
「フンギィィィィィィ! ここで負けるかァァァァァァ!」
ライアは痺れる体を無理矢理動かし、バリアを破壊した。ゾムコロはライアがバリアを破壊することを予想していなかった。そのせいで、大きな隙を見せてしまった。その隙を見て、コスタはスナイパーライフルでゾムコロの腹を撃った。
「ガハッ!」
弾丸を受けたゾムコロは悲鳴を上げて後ろに下がったが、武器を持ったケアノスとラージュがゾムコロに攻撃を仕掛けた。
「グハァァァァァァァッ!」
攻撃を受けたゾムコロは後ろへ吹き飛び、そのまま倒れた。
「ぐっ……うう……」
立ち上がろうとしたゾムコロだったが、斬られた手足を元に戻すため、魔力と体力を多く使ってしまった。そのせいで、ゾムコロには立ち上がる魔力も体力もなかった。
「グッ……もうダメか。俺の負けか」
と、ゾムコロは小さく呟いた。
戦いが終わった後、コスタはゾムコロに近付いた。
「あなたは立派な戦士よ。卑劣な真似をしないし、正々堂々と戦った」
「俺は戦士として、誇りを持っている」
「だから、自分の再生能力を教えたのね。正々堂々と戦うために」
コスタの言葉を聞き、ゾムコロはにやりと笑った。
「そうだ。卑劣な真似はしない。それが俺のポリシーだからな」
「そう。敵ながら、素晴らしい人だと思うわ。あなたの見た目はモンスターみたいだけど」
「ハハハ。最後の一言は余計だな」
「ごめんなさいね」
コスタはそう言って小さく笑った。
遺跡の戦いも終盤になった。そう思いながらカイトは腕組をして立っている二人の戦士を見た。
「後二人か。どんな強さか分からないな」
「そうだねー。こっちも体力が持つかどうか分からないし」
セアンが養豆を食べながらこう言った。養豆のおかげで体力と魔力の補充、そして疲労回復ができる。だが、これまで強敵の戦いが続いたため、自分たちの戦い方を残りの二人は察しているかもしれない。カイトはそう思っていた。
そんな中、残った二人の戦士は話をしていた。
「ソンウク。次は俺が行く」
「え? おめぇが行くのかズジルダ」
ズジルダと言われた戦士は腕組を解き、前へ歩いて行った。その途中で、ズジルダはソンウクにこう言った。
「俺が奴らを倒す。お前の出番はない」
「そんなことを言うなよ~。オラだってあいつらと戦いてぇよ」
「俺が倒されれば、その時は来るだろう。だが、俺の強さをお前は知っているはずだ」
ズジルダの言葉を聞き、ソンウクは唸り声を上げてこう言った。
「でもよー、あいつらは結構やるぞ。おめぇは自信があるみてぇだけど、油断してたらやられっぞ」
「俺は他の奴らやお前みたいに油断はしない。確実に奴らを倒してくるさ」
と言って、ズジルダは歩き始めた。
カイトたちはズジルダが前へ来たことを察し、立ち上がった。
「さて、相手はやる気のようだ」
「皆でかかればどうにかなるかもな」
カイトとウイークはそう言っていたが、ケアノスとラージュは冷や汗をかいていた。
「気を付けて。あの人、他の人たちと何かが違うわ」
「油断したら、きっとすぐにやられるわ。気を付けて」
「ああ。そうかもしれないな」
前へ歩こうとしたカイトは、冷や汗をかいてケアノスとラージュにこう言った。近付こうとした瞬間、カイトはズジルダから異様なオーラを感じていたのだ。このオーラは自分たちより強い戦士が纏うオーラだと、カイトは感じ取った。見た目は自分と同じくらいの身長だが、迫力と気迫が違っていたのだ。
油断したら確実に殺される。
そう思いながら、カイトは歩き始めた。それから、セアンたちもその後に続いて歩き始めた。
「さて、早く始めるぞ」
ズジルダは近付いてくるカイトたちを見てこう言った。カイトたちはすでに武器を持っており、すぐに戦えると行動で示した。ズジルダはにやりと笑い、魔力を解放した。
「さぁ行くぞ! このズジルダの実力をその身で思い知るがいい!」
と言って、カイトたちに向かって飛び蹴りを放った。
今戦っている戦士のグループの元ネタ何ですが、お分かりの通りドラゴンボールです。好きな作品で、かなり影響もうけています。
ちなみに、ドラゴンボールの好きな話はセル編です。この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします。




