誇り高きモンスターの戦士
カイトたちはゾムコロが持って来た養豆を食べて体力を回復していた。カイトはゾムコロの真の姿を見て、動揺していた。
「まさか、あんなモンスターみたいな奴だったなんてな」
「見た目はモンスターだけど、中身は紳士的な戦士だね。結構真面目な人だ」
セアンは養豆を食べた後、軽くストレッチを始めた。ライアは背伸びをし、ウイークは屈伸をしてこう言った。
「さーて、前の戦いじゃああまり活躍できなかったから、次は頑張らないと!」
「やられっぱなしは嫌だし、ちったー俺も頑張ねーと!」
二人は気合を入れていたが、ラージュがこう言った。
「あまり張り切ると、失敗するわよ。気合を入れるのはいいけれど、入れすぎてもダメよ」
「はーい」
「うーっす」
二人はラージュに返事をし、深呼吸をした。その後、カイトたちは立ち上がってゾムコロの前へ歩いて行った。
目をつぶって腕組をして立っていたゾムコロは、カイトたちが前に来たことを察して目を開けた。
「用意ができたか」
「ああ。始めようぜ」
カイトは刀を抜いてこう言った。ゾムコロは魔力を解放し、カイトに向かって走り出した。
「シェアアアア!」
ゾムコロは掛け声と共にカイトに向かって蹴りを放った。カイトは刀を使って防御をし、その隙にライアとウイークが武器を持ってゾムコロに襲い掛かった。
「二人で来るか」
二人の接近を察したゾムコロは魔力の衝撃波を発し、二人を吹き飛ばした。ゾムコロの視線がカイト、ライア、ウイークに向かっていると察したコスタはスナイパーライフルを構え、ゾムコロに向けて発砲した。放たれた弾丸はゾムコロの右肩を撃ち抜いた。
「たかが弾丸が……いや、魔力で弾を作ったな」
穴が開いた右肩を見て、ゾムコロは呟いた。その時、接近したセアンがこう言った。
「うちのコスタの狙撃はすごいんだからねー!」
「腕は確かだ。俺の肩を撃ち抜くのができるのだからな」
セアンにこう言うと、ゾムコロはセアンに向けて左手の手刀を放った。セアンはしゃがんで攻撃をかわし、ハンドガンでゾムコロのあごに銃口を向けて発砲した。だが、ゾムコロが頭を後ろに動かしたため、セアンが放った弾丸は命中しなかった。
「狙いがずれたか」
「お前も銃を持っているのか。恐ろしいな」
「恐ろしいのはセアンだけ?」
と、ケアノスがレイピアを持ってゾムコロに接近し、レイピアで何度もゾムコロの腹を突いた。攻撃を受けたゾムコロは後ろへ下がり、腹の傷を治そうとした。しかし、大剣を持ったラージュがゾムコロに向かって大剣を振り下ろした。
「グアアアッ!」
「これがチームプレイって奴よ」
紫色の血を流すゾムコロを見て、ラージュはそう言った。ゾムコロに対して大きなダメージを与えたと思ったラージュだったが、ゾムコロは倒れることはせず、両足で踏ん張って立っていた。
「あらまぁ。結構痛い一撃を放ったのに、倒れないなんて」
「この程度の攻撃で倒れる俺ではない!」
ゾムコロは魔力を解放し、近くにいるラージュに向かって攻撃を仕掛けた。だが、ラージュは攻撃を受けないように後ろに下がっていた。
これで攻撃は当たらない。
そう思っていたラージュだったが、ゾムコロの右腕は勢いよく伸び、ラージュに向かって飛んで行った。
「え!」
「俺の体は伸びるんでな。どんなに離れても、攻撃は届く!」
ゾムコロがこう言った直後、右手の拳がラージュに命中した。攻撃を受けたラージュは後ろへ吹き飛び、壁に激突した。
「ラージュ!」
ラージュが攻撃を受けたことを察したライアは、ゾムコロを睨んで突進した。
「あ! ライア! そのまま突っ込むとまずいって!」
近くにいたウイークが慌ててライアを抑えようとしたが、ライアの動きは早く、ウイークが止める前にゾムコロの所へ向かった。
「喰らえ!」
ライアは左手のナイフを振るい、ゾムコロの右の二の腕を切り裂いた。この攻撃を受けたゾムコロは痛そうな顔をし、後へ下がろうとした。だが、ライアは攻撃を続けて放った。
「うおおおおおおおお!」
威勢のいい声と共に、ライアは力を込めて右腕のナイフを振り下ろした。二回目の攻撃もゾムコロの右の二の腕を切り裂いた。二回も右の二の腕に攻撃を受けたゾムコロは、右腕が使えなくなったことを察した。
「二度も大きな傷を与えるとは……」
「私に本気を出させた結果がこれだからね」
ライアは腕組をしてこう言った。セアンとカイトはゾムコロに接近して攻撃を仕掛けようとしたが、ゾムコロは二人を阻むように魔力のバリアを張った。
「うげっ!」
「バリアを張るのか……その理由はあるのね」
バリアにぶつかった二人は、顔を抑えながらこう言った。ライアが二人の代わりに攻撃を仕掛けようとしたが、ゾムコロは魔力の紐を放ってライアの体を縛った。
「うわっ! そんなことをしてどうするの?」
「動きを封じるだけだ! さて……」
ゾムコロは左手の手刀に魔力の刃を発し、大きな傷を受けた右腕を斬り落とした。その攻撃を見たカイトたちは目を開けて驚いた。
「おわっ! 自分で右腕を斬り落としやがった!」
「嘘でしょ? 斬り落とした方が余計に痛いんじゃない?」
カイトとセアンがこう言うと、ゾムコロはにやりと笑った。
「安心してくれてありがとな。だが……そんな心配はしなくてもいいぞ!」
そう言うと、ゾムコロは大声を上げた。その瞬間、右腕の切り口から新しい右腕が生えた。
「おいおい、腕が生えるとかありかよ!」
「それじゃあ、どんなに斬り落としても無駄ってこと?」
ウイークとライアがこう言うと、ゾムコロはにやりと笑ってこう言った。
「そうだ。俺は人じゃない。モンスターのような存在だ。だが、これをやると魔力も体力も使ってしまうけどな」
その言葉を聞き、カイトは再生能力にも使える頻度が限られていると考えた。
この戦いを見ていた他の戦士たちは、次の展開がどうなるのか話をしていた。
「ゾムコロの右腕に傷を与えるとはな。かなりの腕前だ」
「奴の再生能力はデメリットがある。多用はできないはずだ」
「だけどあいつ、まだ本気を出していないぞ。本気を出したらどうなることやら」
ゼルリムたちが話をしていると、別の戦士がこう言った。
「本気を出しても、奴らは弱点を見つけてそこを突く。ジャスセンハ、お前はあいつらの何かを感じただろ?」
その戦士がこう聞くと、ジャスセンハは小さく頷いた。
「ああ。奴らは傷つきながら戦うが、戦いの中で成長している。もしかしたら、ゾムコロと戦っている今、奴らは成長しているんじゃないか?」
この言葉を聞き、名を出していない二人の戦士はにやりと笑った。
「戦いの中で強くなるのか。それじゃあ、俺と戦う時はもっと強くなっているってことか」
「そうだな。オラと戦う時があればいいが、そん時はオラも本気を出さないと負けるっつーことだな。ワクワクしてきたぞ」
二人の戦士は笑いながらカイトたちの戦いを強く希望した。そんな中、ゾムコロの魔力が強くなった。
「おっ、ゾムコロが本気を出すぞ」
ザムチャンの言葉を聞き、誰もがゾムコロの方を注目した。
カイトはゾムコロの魔力を感じると同時に、彼の強さを把握した。遺跡全体が揺れ、ゾムコロの足元の床にひびが入りだした。
「こいつ……これだけ魔力を持っていたのかよ」
カイトは冷や汗をかきながらこう呟いた。セアンたちもゾムコロの魔力に飛ばされないように、何とか態勢を保っていた。
「ガァァァァァァァァッ!」
ゾムコロは大声を出し、魔力の衝撃波を発した。その後、カイトはゾムコロの魔力を感じた。今のゾムコロの魔力は、最初に戦った時よりも倍以上に増えていた。
「まずは詫びの言葉を言わせてくれ。手を抜いて戦ってすまなかった。お前たちを最高で最強の戦士と認める。だから、今から本気を出す!」
ゾムコロはそう言って、構えをとった。
前はよくゲーセンに言っていました。今もたまーに行っていますが。よくやってたのはmaimaiなどの音ゲー。昔はいろいろ知っている曲が入っていたなー。
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