動きを見せぬために
ランドレディースの村では、フワウが遺跡を見てカイトたちの帰りを待っていた。
「中で一体何が起きているのだろう」
フワウは長年見慣れていた遺跡で、一対何が起きているのか想像した。カイトたちが遺跡へ入って数時間。戻って来るのにかなり時間がかかっているからだ。そんな中、スレタが悲鳴を上げた。
「どうした?」
「気になって様子を見に来たんです。途中でこけてしまったんです。あたたたた……」
「大丈夫か? お前は戦いの腕はいいが、おっちょこちょいの節がある。それを修正したら立派な戦士になることができるぞ」
「そうですかね? あたた、血が出てる」
スレタは魔力で傷を治しながら、フワウにこう聞いた。
「フワウさん。カイトさんたちいつ戻って来るんでしょうかね?」
「あれから数時間が経過した。私の勘だが、カイトたちが追っていたジクゼニオスと言う連中と戦っているかもしれん。それか、あの中に強敵がいるかもしれん」
「強敵ですか。あの遺跡、絶対に入るなと言われていたから、中に何があるのか分かりませんね。ちょっと気になるんですが……」
「オババ様の言うことを聞くんだ。今回は、特例だから仕方ないという部分がある。あとでカイトたちから話を聞こう」
と、フワウはスレタにこう言った。
相手の体内を見ることができるジャスセンハと戦うカイトたち。筋肉の動きを見て相手の動きを察するジャスセンハの第三の目はカイトたちを追い詰めていた。
カイトは刀を持ち、ジャスセンハを睨んだ。だが、睨むだけで動きはしなかった。このまま動いても、ジャスセンハに動きを見切られ、攻撃を対処されると考えていた。
「どうした? 動かないのか?」
「うるせーよ。どんな展開になるか知ってるくせに」
カイトがこう言うと、ジャスセンハはにやりと笑った。そんな中、ウイークが魔力を解放して雷をジャスセンハに向けて放った。
「これでも喰らいやがれ!」
「体を動かす攻撃ではなく、魔力を使った攻撃か。だが、こんな魔力じゃあ俺には通用せんぞ!」
と言って、ジャスセンハは右手の人差し指と中指を前に突き出し、魔力の光線を放った。魔力の光線は雷を打ち払い、ウイークに向かって飛んで行った。
「んなっ! 強すぎるぞ、あんたの魔力!」
ウイークはジャスセンハの攻撃をジャンプして回避しようとしたが、その動きを察していたジャスセンハはウイークに接近し、飛び上がったウイークを蹴り飛ばした。
「グッフゥ!」
ウイークは地面に激突する前に態勢を整えたが、ジャスセンハはウイークに向かって急降下キックを放ち、追い打ちを放った。ウイークは小さな悲鳴を上げ、その場に倒れた。
「もう終わりか?」
「終わりじゃねーぞ……クソッたれ!」
ウイークは無理矢理立ち上がったが、ジャスセンハは倒れる前にウイークから離れた。
カイトは援護しに行こうとしたが、ウイークが無茶をして接近戦を始めたので難しい状況になってしまったのだ。どうしようかとカイトが思っていると、コスタが近付いてこう言った。
「奴の弱点を見つけたよ」
「え? いつの間に」
この時、カイトはコスタのことを流石だと思った。コスタは一発の弾丸を手にし、カイトと近付いてきたセアンとケアノスにこう言った。
「この弾丸には煙幕が出る仕掛けがあるの。それを奴に向かって放つから、その時に攻撃して」
「煙幕で? それで奴をどうにかできるの?」
セアンがこう聞くと、コスタはにやりと笑って答えた。
「第三の目って言っているけど、目であることには変わりはないわ。だから、煙幕も効くはず」
話を終えた後、コスタは煙幕が入った弾丸をスナイパーライフルに込め、ジャスセンハに向けて発砲した。ジャスセンハは弾丸が飛んで来ることを察し、振り返って弾丸を破壊しようとしたが、その前に弾丸は破裂して中から煙が発した。
「うぐわっ! これじゃあ周りが見えない!」
煙の中からジャスセンハの悲鳴が聞こえた。その時にカイトとケアノスは煙の中に入り、苦しむジャスセンハに攻撃を仕掛けた。
「グッ! 近くにいるのか! 目がこれじゃあ周りが見えない!」
「残念だったな! あんたは自分の力を過信しすぎたんじゃねーのか?」
「目を潰せば、あんたはただの人ってわけ!」
カイトとケアノスは総攻撃を放ったが、ジャスセンハは魔力を解放して周りの煙を吹き飛ばした。ジャスセンハは荒い呼吸をしながらカイトとケアノスを睨んだ。だが、ウイークが足元の床を攻撃して砂状にし、ジャスセンハに向けて放った。
「うおっ! 煙幕の次は砂か!」
「目つぶしのためなら何でもするぜ! 皆! もう一発奴にでっかい一撃を与えてやれ!」
ウイークの声を聞き、カイトは刀に魔力を込めた。
「うおおおおおおお! これで終わりにしてやる!」
カイトはそう言ってジャスセンハに接近し、ジャスセンハを一閃した。それに続き、ケアノスも魔力を解放し、ジャスセンハの体に向けて何度もレイピアを突いた。
「グフッ! グウウウウウウ!」
「いい加減ぶっ倒れなさい!」
ケアノスは叫びながら、連続攻撃の締めとして強烈な一撃を放った。攻撃を受けたジャスセンハは後ろへ吹き飛び、壁に激突した。その時、ライアの治療をしていたラージュがジャスセンハを見て叫んだ。
「まだ奴は立つつもりよ! 気を付けて!」
ラージュの叫びの後、ジャスセンハはカイトたちに向かって飛び上がった。攻撃を終えたカイトとケアノスは後ろに下がっていたが、二人を守るかのようにセアンとウイークが前に立った。
「さーて、今度は俺たちの番だな」
「さっさと倒そう。あと少しで奴を倒せるはずだ!」
二人が話をした後、ジャスセンハは右手の手刀をウイークに向かって振り下ろした。ウイークは魔力を解放して攻撃を防御し、左手の剣でジャスセンハの腹を突いた。
「グフッ! ググググググ!」
剣で突かれたジャスセンハだったが、それでも攻撃を止めることはしなかった。ジャスセンハの右手の手刀はウイークを吹き飛ばしたが、攻撃の隙を見計らっていたセアンがカトラスを振って攻撃し、攻撃を受けて後ろに下がったジャスセンハに向かって何度もハンドガンを発砲した。
「グガッ! まさか……ここまで、追い詰められるとは……」
「さーて、この一撃でフィニッシュだよ!」
セアンはカトラスに魔力を込め、振り下ろしてジャスセンハを一閃した。一閃を受けたジャスセンハは短い悲鳴を上げ、その場に倒れた。
戦いの様子を見ていたゼルリムとザムチャンは、驚きの声を上げていた。
「あいつの目を塞ぐのに、あんな方法をするとは」
「と言うか、あの方法で奴の目を封じることができるのかよ。初めて知ったぞ」
ゼルリムとザムチャンがこう言うと、もう一人の戦士が前に出た。
「さて、今度は俺が行こう」
「あんたが行くのか、ゾムコロ」
ゾムコロと言われた戦士は羽織っていたマントを脱いだ。彼の姿はトカゲのような姿だった。その姿を見たザムチャンは、静かにこう言った。
「そのマントを脱いだか。本気を出すつもりだな」
「ああ。お前たちに続いてジャスセンハも倒された。本気を出して戦わねば、奴らに倒される。それと、奴らは最高の戦士だ。手を抜いて戦うのは礼儀に反する」
と言って、ゾムコロは養豆を持ってカイトたちの元へ向かった。その動きを見て、ゼルリムはにやりと笑った。
「真面目だな。俺たちに対しても、この遺跡に入って来た奴らに対しても」
「そうだな。だからこそ、奴は強いんだと俺は思うぜ。俺とお前が奴と戦って勝ったことがあるか?」
ザムチャンは笑いながらこう答えた。ゼルリムは少し考えて、ないと答えた。
スマホゲームの広告がいっぱい出ていますが、基本的に俺はドッカンとプリコネしかやっていません。他のゲームも手を出したことがあるんですが、すぐに辞めました。やっぱりコントローラーを握ってやるゲームが俺は好きだ。
スマホゲームに課金はしたことがない作者の作品が気に入ったら、高評価とブクマをお願いします。




