そして朝日が昇る
ラフグたち敵のパーティーと戦うケアノスたち。コスタとスラクは敵の攻撃を受け、草むらの中へ退避する。コスタとスラクを後で始末すると考えたラフグたちは攻撃を続け、ライアとラージュは敵の攻撃で飛ばされ、ケアノスも鞭で体を縛って動きを封じた。ケアノスはまずいと思いつつ、どうにかして敵の攻撃から逃れようとしていた。
コスタとスラクと共に草むらの中へ入り、ラフグたちに攻撃を仕掛けようとした。だが、スラクがコスタを止めた。
「どうして止めるの?」
「弾の無駄だ。確かに今、お前の仲間が攻撃を受けているが、この状況を打破する方法はある」
「どうやって?」
「忘れたのか? 村の周りには見張りがいると」
スラクがこう言うと、見張りの戦士たちが現れた。コスタは大量の見張りを見て驚いたが、しばらくしてうつむいた。
「どうやってあいつの鞭を壊すってわけ?」
「弾丸では無理だ。なら、矢で斬り落とすしかない。かなり難しい芸当だが……やるしかない」
スラクの言葉を聞き、コスタはやるしかないと心に決め、前を見た。敵の攻撃は続いており、雷が発する音が響いていた。そんな中、見張りの一人が小さく呟いた。
「敵はアホですかね? こんな暗い中で電撃を発するって、敵に居場所を把握させるようなもんですよ」
「そうね……む」
この時、コスタはあることを考えた。すぐにポーチの中に手を突っ込み、丸型の物体を取り出した。
「何だそれは?」
「私特製の照明弾。暗い時に使っているの」
と言って、コスタは照明弾をラフグの近くへ投げた。スラクはコスタの行動を見て驚いたが、コスタはすぐにこう言った。
「光が強いから目をつぶってて!」
「お……おう!」
スラクたちの返事を聞いた後、コスタは投げた照明弾に向けて弾丸を撃った。そして、すぐに目をつぶった。
ケアノスは自身を縛る鞭に苦しめられていた。目の前にいるラフグとクーザは笑みを浮かべていた。勝利を確信している笑みだと察したケアノスは、すぐにでも笑顔の二人に拳を叩きこみたいと思った。そんな中、突如丸型の物体が飛んで来た。それを見たケアノスはライアとラージュに向かって叫んだ。
「コスタの援護よ。目をつぶって!」
攻撃を受けて宙に浮きあがったライアとラージュは、すぐに目をつぶった。
ラフグは相手の好きなようにやらせてたまるかと思いながら、目の前の丸型の物体を手にしようとした。だがその前に、コスタが放った弾丸が丸型の物体を撃ち抜いた。その瞬間、激しい破裂音と共に強烈な光がラフグたちを襲った。
「ギャアアアアアアアア! 照明弾か、かなり強力だぞこれは!」
「うわああああああ! 目が、目がァァァァァァ!」
「イテェェェェェ! こんなのありかよ!」
「焼ける、目が焼ける!」
照明を目に受けた四人は両手で目を覆いながらその場にうずくまった。その直後、どこからか飛んで来た弓矢がラフグたちを襲った。
「うわあああああああ!」
「クソッ! まだ敵がいたのかよ!」
「ガハァァァァァァァ!」
弓矢がラフグたちを襲う中、ケアノスは草むらの方を見た。そこにはコスタが顔を出していて、後にはスラクと見張りがいた。
「ごめんね、援護に時間がかかった」
「気にしないでコスタ。これで状況はこっちが有利に傾いたから」
と言って、ケアノスは拳を鳴らしながらうずくまるラフグたちの元へ向かった。そして、魔力と力を込めてラフグの顔面を殴った。
「グギュッ!」
「これで私の気が済むとは思わないでよね」
ケアノスはもう一度ラフグの顔面を殴った。二発の攻撃で、ラフグの顔面は大きくへこんだが、それでもケアノスは続けて何発も殴った。そんな中、クーザとアーガイとゲルッグの目の痛みが治まり、何とか目を開けることができた。
「まずい、ラフグさんが襲われている」
「どうしよう」
「どうしようも何も、助けるしか選択はないだろうが!」
話をして、ラフグを助けようとしたが、後ろから再び弓矢が彼らを襲った。
「ガファッ! また弓矢かよ!」
「アギャアアアアアアア! 尻に命中した!」
「イデッ! こっちは背中に刺さった!」
「こうなったらまずい、一度逃げるぞ!」
クーザたちは逃げようとしたのだが、目の前に武器を持ち、不気味な笑みを浮かべているライアとラージュが立ちふさがった。
「私たちに酷いことをして、逃げられると思っているの? 呑気な頭をしているんだね~」
「フフフ。あなたたちには一度、お話をしないといけないのだけど……その前にやられた分を返さないといけないわね~」
そう語る二人の顔を見て、クーザたちは思わず引いてしまった。だが、自分たちには鞭があると思い出し、すぐに鞭に手を伸ばした。だが、見張りが放った弓矢によって鞭はズタズタにされてしまった。
「ああ! あれじゃあもう役に立たない!」
「そんな……じゃあ俺たちは……」
アーガイが弱音を吐いた時、後ろから何かが飛んで来た。それは、ケアノスによって顔面が異様に膨れ上がったラフグだった。
「ヒェェェェェェ! ラフグさん!」
「そんな……こんな酷い顔にされるなんて」
「あんたたちも似たような顔にしてあげるわよ」
そう言いながら、ケアノスが拳を鳴らして近付いた。目の前には草むらから出てきたコスタたちがいて、もう逃げられないことを彼らは察した。
ランドレディースの村にいるウイークは、欠伸をしながら起き上がった。
「あり……もう朝かよ」
そう言って、ウイークは大きな欠伸をした。その後、周りを見て女戦士たちとカイトたちがいないことを察し、急いで立ち上がった。
「どうなっているのか分からんけど、逃げるのは今しかない。カイトたちが不安だけど、後で探しに行こう!」
「あ、起きたんだねウイーク」
ウイークの後ろから、セアンの声が聞こえた。ウイークはセアンが無事なのを知り、安堵の息を吐いた。
「セアン! よかったー、無事みたいで。で、他の皆は? 無事なのか?」
「あそこ」
と言って、セアンはテントの方を指差した。ウイークはテントに近付き、入口を開けた。そこには、ぐっすりと寝ているカイトたちと女戦士たちの姿があった。この状況を見て、ウイークは混乱しながらセアンに尋ねた。
「なぁ、どうなってるの? 確か俺たち、この村の女戦士と戦っていたはずだぞ」
「ウイークは気を失ってたから分からないんだっけ。ジクゼニオスの連中がこの島にやって来たの。私たちと島の女戦士の皆さんたちで奴らを追い払ったの」
「そうなのか」
ウイークは自分が気を失っている間に、大きな戦いがあったことを知って少し後悔した。もう少し早く気付いていれば、助けに行けれたのにと。
「悪いね、俺一人呑気に寝ちゃってて」
「気にしなくていいよ。罠のおかげで敵の数は結構減ったし」
「罠?」
「あったんだよ。罠が。下手したら私たちもその罠に引っかかってたかもね。死ぬかもしれない物騒な罠だよ」
セアンの言葉を聞き、ウイークは罠にかかった敵のことを考え、両手を合わせて念仏を唱えた。そんな中、フワウがセアンに近付いた。
「セアン、お前は早く起きる性質なんだな」
「たまたまだよ。本来だったら、爆睡してたのに」
「そうか。で、こいつも起きたというわけか」
フワウはウイークの方を見て、にやりと笑った。ウイークはまた捕まると思い、逃げようとした。だが、後ろからため息が聞こえた。
「大丈夫よ。この人たちもう話は分かっているから」
声の主はサディだった。後ろにはマデたちもいた。ウイークはサディたちの姿を見て、近付いた。
「悪いな、心配させて」
「全然心配してないから大丈夫」
「ははは。照れやがって!」
そう言ってウイークは無理矢理サディにハグをしようとした。その時、サディはウイークのあごに向かって蹴りを放った。
ツイッター……じゃねーや、Xで……めんどくさいからツイッターでいいや。ツイッターでちょいちょいツイートしているんですが、新作の方を準備しています。今まで三人称で書いていたんですが、次は一人称で書こうと思います。あと、一応転生ものです。
次回作もいつか更新するけど、それまでこの作品をよろしくね! 高評価とブクマをお願いします!




