幻の龍を打ち破るには
アプロームとセッシュとシタンの合体技、トルネードファントムドラゴンを受けてしまったカイトたち。大したダメージではなかったが、技を発動してもトルネードファントムドラゴンはその場に存在していた。そんな中、セアンはトルネードファントムドラゴンの対策を見つけていた。
セアンは上にある折れた木々や罠を魔力で吹き飛ばし、アプロームたちに姿を見せた。セアンの姿を見たアプロームは驚きの声を上げた。
「俺たちのトルネードファントムドラゴンを受けても生きているのか。そんなこと初めてだぞ」
「あいつらの強さは俺たちの予想を超えているようだ。だが、残りの二人はまだ出てこないが、死んだのだろう」
「あいつ一人だけか。なら余裕だ! もう一度あいつにトルネードファントムドラゴンをぶつけるぞ!」
アプロームたちはセアンに向かってトルネードファントムドラゴンを動かした。自分が狙いだということを把握したセアンはにやりと笑い、大声で叫んだ。
「今だよ二人とも!」
セアンの叫びはアプロームたちにも聞こえていた。何かしてくるとアプロームは考えたが、その時間はなかった。地面の中からカイトとフワウが現れたのだ。
「おわっ! 地面から現れるとは!」
「隙ありだ!」
カイトは刀の刃に魔力を込め、氷の衝撃波を放った。アプロームたちが衝撃波を受けた直後、トルネードファントムドラゴンを作っている風の威力が弱くなった。
「やはりそうか。あの龍を作るには、三人の魔力を合わせる必要がある。誰か一人でも魔力の強さが変わったら、あの龍の形は崩れる」
フワウはそう言って、近くにいたシタンに向かって剣を振り下ろした。攻撃を受けたシタンは近くの木へ吹き飛び、激突した。
「グフッ……うう……」
シタンは何が何でも動こうとしたのだが、背中に強い衝撃を受けてしまい、そこから激痛が体中に広がっていた。そのせいで、シタンは体を動かすことができず、そのまま気を失った。
「シタン! よくもシタンを!」
シタンを倒されたことにより、セッシュが激怒した。だが、アプロームはセッシュを制止した。
「慌てたら奴らの思うつぼだ! 奴らは俺たちの誰か一人を倒し、トルネードファントムドラゴンを消すことを目的に攻撃した。教えてやろう、トルネードファントムドラゴンは二人でも作れるということを!」
アプロームの言葉を聞き、セッシュは頷いた。そして、アプロームの横に立って魔力を解放した。
「このまま魔力を合わせるぞ! そしてもう一度奴らに攻撃をするぞ!」
「おう!」
アプロームとセッシュは同時に魔力を解放し、力を合わせようとした。だが、カイトとフワウの斬撃が襲い掛かった。
「そんなことさせるかよ!」
「悪いが、ここで貴様らを斬る! 死なない程度にな!」
カイトとフワウの言葉を聞いた後、アプロームとセッシュは攻撃をかわした。それからカイトとフワウの容赦のない攻撃が続いたが、攻撃の隙を見てアプロームとセッシュは周囲に衝撃波を発した。カイトとフワウは衝撃波を受けてしまったが、少し離れた所へ吹き飛んだだけだった。
「グッ……余計な魔力を……」
「これが狙いだからな」
カイトは得意げな笑みでこう言った。どういうつもりだとアプロームは思ったが、周囲を見て気が付いた。自分がセッシュと離れた場所にいるということを。
「タイマンでの戦いか」
「チームプレイが得意なんだろ、あんたら。それじゃあ一人一人の力は弱いってことだよな?」
カイトは刀を向けてこう言ったが、アプロームは剣を持ってカイトに斬りかかった。
「悪いな。俺たちは一人でも強いぞ」
「そうか。悪いことを言ったな」
その後、アプロームはカイトに向かって何度も剣を振り下ろした。カイトはアプロームの攻撃を見て、簡単に攻撃をかわすことができた。
「クソッ! どうして攻撃が当たらない!」
「俺があんたより強いってことかもな」
カイトはそう答えると、氷の拳を作ってアプロームに向けて放った。氷の拳はアプロームに命中し、破裂した。破裂した際、氷の破片がアプロームに襲い掛かった。
「グワアアアアアアアアア!」
アプロームは大きな声で悲鳴を上げながら宙へ舞い、そのまま地面に落ちた。カイトは倒れたアプロームを見て、気を失ったことを確認した。
一方、セッシュはアプロームが倒されたことを察し、周囲を見回した。目の前にはフワウがいて、その後ろにはハンドガンを構えたセアンがいる。一対二の状況。セッシュにとって分が悪い状態となってしまった。
「グッ……クソッたれ!」
ここでセッシュが取った行動は逃げること。ただ、逃げるだけではない。船に戻るか、その時に仲間と合流できれば共にセアンとフワウと戦おうと思ったのだ。逃げ始めたセッシュは時折後ろを見ていたが、セアンとフワウは追いかけてこなかった。
「ヘッ……追いかけるのを諦めたか」
逃げることが正解だと思ったセッシュは安堵の息を吐いた。しかし、突如足元から網が現れ、セッシュを包んでしまった。
「うわあああああああ! 何だこれは!」
「見れば分かるだろうが。罠だよ」
「わざわざ私たちが追いかけなくても、いずれ罠に引っかかるだろうと思ってたのよー」
そう言いながら、セアンとフワウが現れた。網はかなり頑丈で、剣で斬ることができなかった。セッシュが逃げようと四苦八苦していると、セアンとフワウによって網は降ろされた。
「さて、降参しなよ」
「私たちの言うことを聞け。それが得策だと思うぞ」
と、セアンとフワウはにやりと笑いながらこう言った。この二人に逆らえば酷い目に合う。そう思ったセッシュは大人しくいうことを聞くことにした。
その頃、見張りをしているコスタたちは、近くから魔力を感じていた。
「誰かいるわね」
「数は四人。そのうちの三人は弱いが、一人は強いな」
コスタとスラクの言葉を聞き、ライアはため息を吐いた。
「仲間が酷い目に合ってるってのに、どうして攻め込むんだろうなー」
「それだけ欲しい物があるのよ、この島に」
ラージュの言葉を聞き、スラクは考えながらこう言った。
「この島に貴重な宝とかないと思うが……」
スラクの言葉を聞き、コスタは相手の狙いが何なのか分からなくなった。その時、突如鞭のような物がケアノスたちに襲い掛かった。
「鞭? 敵の武器ね」
「珍しい武器を使うわねー」
ケアノスとラージュは魔力を解放し、鞭を追い払った。ライアは高く飛び上がり、鞭を使った人物を特定しようとした。
「えーっと……あそこだ。コスタ、それと狙撃手さん」
「私はスラクだ」
「分かった。スラクさん、私から見て十時と二時の方向に敵がいるよ。それぞれ二人。スナイパーライフルで届く距離かも」
「分かった」
話を聞いたコスタとスラクは別方向を向き、弾丸を一発撃った。その時、ケアノスたちは魔力を感じた。
「ここまで来ているようね。どうする? ここで迎え撃つ?」
ケアノスの言葉を聞き、ライアは攻め込むかここで待つか考えたが、ラージュが先にこう言った。
「ここで待ちましょう。敵が罠で倒される可能性もあるし。出来ればそっちの方がいいんだけど」
「そうね。罠がない場所で戦いましょう」
ケアノスはラージュの言葉を聞き、そう返事をした。その数分後、四人の敵がケアノスたちの前に現れた。四人は全員青い軽鎧を着ていたが、一人だけ形が違っていた。
「どうやら罠に引っかかっても、あの鎧のおかげで無傷だったみたいだね」
「呑気なことを言っている場合じゃないわよライア。敵はもうやる気よ!」
ケアノスはレイピアを構え、鞭を持っている四人組を睨んだ。
格ゲーが好きでいろんな作品をやりました。ストリートファイターはもちろん、ギルティギアやブレイブルーも経験済みです。ただ、KOFはやったことがあるんだけど、ラスボスを倒すまではできなかったなー。
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