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弱き侵入者たちの末路


 フワウたち女戦士は侵入者、ジクゼニオスが島に入ったこと、セアンたちがそれらと戦うことを察し、一時休戦して協力することになった。フワウたち女戦士が先頭を走り、セアンたちを誘導していた。


「私たちの後を追いかければ、罠には引っかからないだろう」


「でも気を付けろ、今は深夜。凶暴な夜行性のモンスターがいきなり襲ってくるかもしれない」


 女戦士たちの話を聞き、カイトは恐ろしい島だと思った。そんな中、先にジクゼニオスの所へ向かったライアとラージュと合流した。


「あら、あなたたちは島の女戦士」


「セアンたちもいるから、状況を把握したんだね」


「その通りだ。で、二人はどうしてここで突っ立っている?」


 フワウの問いに対し、ラージュは前を指差してこう言った。


「凶暴なモンスターがいるから対処してたのよ。今さっき倒したところ」


 ラージュの前で倒れている巨大なモンスターを見て、フワウは近付いた。


「ほうほう。こいつはデカハラウルフ。常に満腹状態じゃないと気が済まない厄介な狼のモンスターだ。あいつらはかなり凶暴だが、倒すとはなかなかの腕前だな」


「まぁね。脳筋のモンスターなんて私の相手じゃないわ」


 自慢げにラージュはこう言った。女戦士の一人デカハラウルフの頭がへこんでおり、そこから血が噴出しているのを見て、この一撃が致命傷となったと把握した。


「それより、奴らはどこにいるか分かるか?」


「魔力を感じるけど、分散しているようね。班を作って別行動をとっているみたいね」


「そうか。何故奴らがこの島に来たのかは分からないが……捕まえて問いただすしかないか」


 その後ライアとラージュを加え、カイトたちは今後の話をした。




 ジクゼニオスの船員たちは全員黒装束の衣装を包み、暗視ゴーグルを身に着けていた。


「一班。島に到着しました」


「ご苦労。このままあの遺跡へ向かえ」


「了解です、船長」


 一班の隊長はジクゼニオスの船長に返事をすると、後ろにいる部下に手を振って合図をした。その合図を見た部下たちは、隊長の後を追うように歩き始めた。


 しばらく歩き続けた一班の船員たちだったが、突如体長が止まった。


「止まれ。罠がある」


 と言って、隊長は魔力を解放し、刃状の衝撃波を発して足元の紐を切った。すると、頭上から棘が付いた巨大な丸太が落下した。


「このまま前を歩いていたら、こいつに押し潰されていた」


「おお……こんな罠が……」


「情報だと、この島の連中は原始的な暮らしをしている。最新技術を使う我らの敵ではない。こんな初歩的な罠、バカしか引っかからない」


 隊長はそう言って笑い出した。その後に続くかのように部下たちも大声で笑った。その時だった。突如サイレン音が鳴り響いたのだ。


「何! 何かの罠か?」


「た……隊長……これを見てください」


 部下の一人が草むらの中から超小型マイクを見つけた。それを見た隊長は目を開けて驚いた。


「そんな……原始的な連中じゃなかったのか……」


 隊長が悲痛な声を上げた後、前後左右から矢が飛んで来た。




 男たちの叫び声が聞こえる中、コスタとスラクはジクゼニオスの船員たちを探していた。


「あいつら、大声で笑ったから声で反応する罠に引っかかったわね」


「原始的な技術しかないと思っていたけど、そういう罠もあるのね」


 コスタがこう聞くと、スラクは小さく笑ってこう答えた。


「たまーに片道一時間ほどの小島に買い物をする。そこでいろいろな物を買ったりしている。だから、そこまで原始的な暮らしをしているわけじゃないさ」


「そうなのね。てっきり原始人みたいな暮らしをしているのかと思ったけど……」


「そこまで原始的じゃないわ。ただ、情報が手に入るのがたまーにだけどね」


 と、スラクはこう答えた。その時、再び男たちの悲鳴が聞こえた。




 ジクゼニオスの船員は悲鳴を上げながら襲い掛かって来たデカハラウルフから逃げていた。しかし、逃げ回るせいで罠に引っかかる船員が多発し、怪我を負ってしまった。


「グハッ!」


「ウッ……こんな所に……」


 船員は罠によって出現した鉄球を受け、動けないくらいの激痛を感じていた。そんな中、デカハラウルフが舌を舐めまわしながら近づいてきた。


「お……おい。来るなよ。俺たちの肉なんて食っても栄養はないぞ」


「いい子だから後ろに下がれよ。なぁ? なぁ?」


 船員は近付いてくるデカハラウルフを見て、冷や汗をかきながら逃げるように告げた。だが、デカハラウルフが人の言葉を理解することはなく、彼らの言うことを聞かずに襲い掛かった。


 仲間の叫び声を聞き、船員は震えながらこう言った。


「隊長、戻りましょうよ」


「さっき、一班の奴らの悲鳴が聞こえました。もしかしたら奴らは……」


 仲間が死んでいく光景を見た船員は、隊長に逃げるように告げたが、隊長は鼻で笑って言い返した。


「バカなことを言うな! 海賊である以上、仲間の死を乗り越えて先に進む! 宝が待っているんだ。そいつを手にするまで戻るのは禁止だ!」


「バカなことを言っているのはあんたの方だ! 俺は逃げる!」


 船員の一人は隊長の言うことを聞かず、急いで逃げようとした。だが、隊長は逃げた船員に向けてハンドガンを発砲し、撃ち殺した。


「臆病者の役立たずはここで死ね! モンスターの餌になってろ」


 そう言うと、周りの怯えている船員を見て再び口を開いた。


「逃げたければ逃げるがいい。だが、死んでもらうがな!」


 と言った時、上からデカハラウルフが襲ってきて、そのまま隊長に噛みついた。


「うわああああああ!」


「これ以上こんな所にいてたまるか!」


「死にたくない! こんな所で死にたくなぁぁぁい!」


 船員たちは悲鳴を上げながら逃げ出した。しかし、隊長を食べ終えたデカハラウルフが子を発した。それに合わせるかのように、周りからデカハラウルフの群れが姿を現した。


「グッ……クソッたれ!」


 船員の一人はデカハラウルフに向かって銃を撃ったが、デカハラウルフは弾丸を回避してその船員に噛みついた。別の船員は魔力を解放し、巨大な風の刃を作り出した。


「このデブ狼野郎が! これで切り裂いてやる!」


 風の刃でデカハラウルフを切り裂こうとしたが、デカハラウルフは両手の爪で風の刃をかき消した。


「な! 爪を振り下ろして風を消しただと!」


 魔力を使った技が破られたことを察し、船員は驚いた。その隙に、別の方向から二匹のデカハラウルフが彼に襲い掛かった。


「弾も避ける。魔力は意味がない……死ぬしかないのかよ俺たち」


「こうなるんだったら、深酒すればよかったな」


「俺は極上の美女を抱いて寝たいぜ……」


 生きることを諦めた船員は小さく呟きつつ、その場に項垂れた。だが、一部の船員は魔力を解放した。


「こうなったらやけくそだ! こいつらをぶっ殺して何が何でも生きてやる!」


「その通りだ! こんな所で死んでたまるか! ぶっ殺して活路を見出してやるぞ!」


 その船員たちの言葉を聞き、絶望していた船員たちもやる気を取り戻した。そんな船員たちに巨大な風が襲い掛かった。


「ウワァァァァァァァ!」


「何だ、この風は?」


「ただの風じゃない! これは魔力の風だ!」


 突如強風が発したことにより、船員たちはパニック状態になった。だが、デカハラウルフもパニック状態になり、その場から逃げ出した。


「あいつらが逃げたぞ」


「よかった……助かったみたいだ」


「命だけは助かったね」


 と、上から声が聞こえた。その直後、何者かが船員に襲い掛かり、あっという間に倒してしまった。


「これで十分かな?」


「もっと情報が欲しい。それと、人質として使えるだろう」


「そうだね。じゃあもうちょっと暴れますか」


 そう言いながら、セアンは腕のストレッチを行い、フワウは倒したジクゼニオスの船員を村に連れて行くように仲間に指示をした。


 セアンなどのキャラはハンドガンを使っています。海賊と言えば、昔の形の拳銃をイメージする方もいると思いますが、違います。現代的なハンドガンを使っています。なので、リロードも簡単です。基本的にセアンは弾を使いますが、弾がない時や節約する時は魔力を使っています。この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします!

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