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ライアVSプルワン


 また似たような武器を使う奴が相手か。と、ライアは心の中でこう思っていた。だが、プルワンと戦い始めてしばらくし、ライアはあることに気付いた。相手には戦いの経験がないということに。


「はぁっ!」


 プルワンはナイフを持ってライアに接近し、同時に二本のナイフを振り下ろした。ライアは左手のナイフでプルワンの両手のナイフの動きを封じ、右手のナイフでプルワンの頬を攻撃した。


「ウッ!」


「深く傷つけないから安心して」


 ライアの言葉を聞いたプルワンはライアを睨み、ライアの腹に向かって蹴りを放った。だが、ライアは攻撃が来ることを察し、後ろに下がった。そのせいで、プルワンはバランスを崩してその場に倒れた。


「イタタ……クソ! 避けないでよ!」


「攻撃を避けて何が悪いの? 攻撃を受けずに立ち回ることも大事だよ」


 と言って、ライアは素早い動きで走り出した。プルワンはその場に止まり、ライアの動きを探った。


 早く走り回って私を混乱させて、攻撃を仕掛けてくる。


 そう思ったプルワンはナイフを強く握り、ライアを睨んだが、ライアの走る速度は徐々に増していき、ついにはプルワンが目で追えないほど早くなった。


「は……早すぎる!」


「隙あり!」


 プルワンの一瞬の隙を突き、ライアはプルワンのナイフを叩き落とし、遠くへ蹴り飛ばした。


「なっ!」


「勝負ありだね」


 ライアの声と共に、自分の首元にライアのナイフが近付いたことを察したプルワンは、額から冷や汗を流した。


「動かないで。大人しくその場で座って」


 そう言って、ライアはプルワンの首元のナイフを動かした。下手に動いたら、ナイフで斬るという合図だとプルワンは察し、大人しくいうことを聞こうとした。


 その時、プルワンの脳裏に過去の出来事が思い浮かんだ。プルワンはランドレディースへ来る前、心ない権力者の奴隷として無理矢理働かせていた。掃除洗濯などの家事はもちろん、クソみたいな性格の子供たちの世話や権力者の夜の相手など、ほぼ一日中こき使われていた。そんな毎日が続き、ストレスや怒りが溜まったプルワンは、魔力を解放させてその権力者の家族を殺してしまった。それからプルワンはその場から逃げてしまい、警察やシーポリスから追われる立場の人間となってしまった。


 ある時、プルワンは密航しようと船に乗り込んだが、運悪くその船は海の上で事故を起こして沈んでしまった。だが、それがプルワンに幸運をもたらした。プルワンは生きており、ランドレディースへ流れ着いたのだ。ランドレディースの住人はプルワンから過去の出来事を聞きだし、それでもプルワンを保護した。そのことがきっかけで、プルワンはランドレディースの住人に恩義を感じた。


「負けてたまるか……負けてたまるか! ここで私が倒れたら! この島が危機に陥る!」


 プルワンは叫びながら魔力を解放し、周囲に火の柱を発した。ライアはその場から離れ、プルワンの様子を見た。


「おーおー……こりゃーすごい魔力だ」


 と言いながら、ライアは熱で流れた額の汗をぬぐった。




 一方、カイトも戦おうとしたのだが、相手は女性で、悪い人でない。それが理由でカイトは刀を振るうことができなかった。


「うう……どうすっかな、これじゃあ戦えない」


 カイトが苦戦する中、ウイークがカイトの肩を叩いた。


「戦うしかないさ。だけど、相手を殺さず傷つけずに戦う方法もある」


「どうするんだよ?」


「こうするんだよ」


 と言って、ウイークは魔力を解放した。火と雷が出ていないため、ただの衝撃波が放たれたが、カイトは少し空気が重くなるのを感じた。


「何だ、空気が変だ」


「威圧だ。魔力を鍛えると、魔力の圧で敵を大人しくすることができる。相手の魔力が弱ければ、これだけで大人しくなるはずだ」


 ウイークはそう言って前を見たが、女戦士たちは動揺することもなく武器を持ってウイークに迫っていた。


「嘘でしょ! 俺の魔力結構強いのに! どうしてぴんぴん動いてるの?」


 動揺するウイークだったが、あることに気付いたカイトはこう聞いた。


「なぁ、ちゃんと飯を食ってたのか?」


「いや。質素な飯を一日に二回ほど」


「それで魔力が弱くなったんじゃないのか?」


 カイトの言葉を聞き、ウイークは口を開けた。


「そうだ……あんな飯で力が出るわけがない! 逃げるぞ!」


 と言って、ウイークはカイトの手を取って逃げようとした。しかし、別の女戦士のグループが二人の前に現れた。


「先回りだ。観念しろ」


「クッ! 仕方ない!」


 カイトはウイークから教わった魔力の圧の話を思い出しながら、魔力を解放した。強い魔力を出せば、相手を倒すことはできなくても、動きを封じるかもしれないと考えたからだ。


「一人でも多く倒れてくれ!」


 そう言いながら、カイトは自分の魔力を信じた。その時、前にいた女戦士の一部が白目をむいて失神した。


「おい、どうした!」


「あの小僧、魔力が強いのか!」


「クッ、それで倒されたのか!」


 女戦士たちは仲間が倒れたことを察し、動揺し始めた。カイトとウイークを追いかけていた女戦士たちも仲間が倒れて動揺し、急いで手当てを行っていた。


「今のうちだ、行くぞウイーク!」


 カイトはウイークに声をかけたが、ウイークの返事はなかった。どうしたのだと思ったカイトはウイークを見ると、ウイークは白目をむいて気を失っていた。


「お前も気を失うのかよ!」


 やりすぎたと思いつつ、カイトは気を失ったウイークを背負って逃げ始めた。




 プルワンから放たれた火の柱を見ながら、ライアはどうやってプルワンを倒そうか考えていた。そんな中、プルワンは両腕を動かしながらライアに迫った。


「これでも喰らえ!」


 と言って、プルワンは火の柱をライアに向けて放った。


「あの程度なら、簡単に消すことができるな」


 そう呟いたライアは、二本のナイフに魔力を込めた。すると、ナイフの刃に風が発し、徐々に強くなった。そのナイフを見たプルワンは動揺したが、顔を振るってこう言った。


「そんなことをして何になる! もうこの風を止めることはできないわよ!」


「やってみないと分からないもんだよ」


 ライアはそう言うと、ナイフを同時に振り下ろして風の衝撃波を放った。勢いよく放たれた風の衝撃波は火の柱に向かって飛んで行き、衝突して跡形もなく吹き飛ばした。それを見たプルワンは目を開き、驚いていた。


「そんな……私の火の柱が……」


「経験不足。それが今の結果になったってことだよ」


 プルワンは耳元でライアの言葉が聞こえたと察し、急いで横を振り返った。そこにライアがいたのだ。ライアは一瞬の隙を突き、プルワンの近くに移動したのだ。


「なっ!」


「遅いよ」


 プルワンが身構える前に、ライアは魔力を解放しながらプルワンの腹を殴った。攻撃を受けたプルワンは小さな悲鳴を上げ、その場に倒れた。


「ふぅ……とりあえず何とかなったね」


 そう言いながら、ライアは気を失ったプルワンを見つめた。




 早いうちにラージュ、ライアの戦いが終わったことを察したケアノスは、ため息を吐きてスレタにこう言った。


「仲間が私の姉妹にやられているわ。大人しく降参して私たちを逃がして」


「嫌です! あなたたちの言うことなんて聞けません! それに、ハマンさんやプルワンさんがやられたんです、仲間の仇は絶対に取れ、フワウさんからそう教わったんです!」


 戦いを止めないスレタを見て、ケアノスは再びため息を吐いた。


「勝てない戦いをするもんじゃない。勝てないと思ったら逃げることも必要よ」


「逃げません! 私は絶対に……逃げません!」


 どうしても戦う意思を見せるスレタを見て、ケアノスはレイピアを構えた。


「何が何でも戦うのね。どんなことが起きても、後悔しないでね」


 と言って、ケアノスは魔力を解放した。


 女だらけの島と言うと、ワンピースのハンコックの話を思い出す方がいるかもしれません。まぁ、この作品もワンピに影響を受けて作ったんですがね。基本的にランドレディースにいる女戦士は奴隷のような扱いを受け、プルワンのように反撃して追われる立場となった人たちが流れ着いた島です。だからこの島の人たちは、罪を負った自分たちを受け入れてくれたランドレディースのために戦っているというわけです。裏話が聞きたいと思ったら連絡ください。高評価とブクマをお願いします!

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