ウイークファミリーの大ピンチ
トリガミヤワー海賊団の激闘を終え、大怪我を負ったカイトたちは時間をかけて怪我を治した。治療が終わった時、ウイークファミリーのサディから連絡が入った。セアンは携帯を手にし、連絡を始めた。
「もしもしサディ? 何かあったの?」
「大変! 大変なのよセアン! かなり大変なことになっちゃったの!」
電話の向こうのサディの声が聞こえた。かなり慌てている様子で、声色が高い。何かがあったとカイトたちは把握したが、セアンはサディにこう言った。
「とにかく落ち着いて。深呼吸しようよ」
「分かった……ふぅ……落ち着いた」
「それじゃあ何が起きたか話してくれる?」
「うん。うちのバカが捕まった」
この言葉を聞き、セアンは驚いた。ウイークは共に行動をしていたこともあり、彼の実力は把握している。そんな強いウイークが捕まったのだ。
「ウイークが捕まった? でも、シーポリスはウイークファミリーに賞金を出していないけど」
「捕まえたのはシーポリスじゃないのよ。ランドレディースって島の人たちに捕まったのよ」
「ランドレディース?」
「分からないか……あまり有名じゃないから……セアンたちはどこにいるの?」
「ジェクトのジョンキー。いろいろあったけど、そろそろ出港しようと考えてたの」
「そうなの。うーん……ねぇ、ジェクトから一日くらいかかるけど、アンボーって小さな島があるの。そこで落ち合うことができない?」
「アンボーね。分かった。そっちに行くよ」
「ありがとう。それじゃあまた後で」
話を終えた後、セアンはカイトたちにこう言った。
「すぐにアンボーに行くよ」
「ああ。だけど……ランドレディースってどういう島だ?」
「分からない。初めて聞く名前だよ」
セアンがカイトにこう言うと、シーポリスの戦士がこう言った。
「聞いたことがある。確か、女戦士が住んでいる島があるらしいが、確かそんな名前だったような気がする」
「女戦士の島か……」
話を聞いたライアは、どうしてウイークが捕まったのか把握した。
「仕方ないスケベ野郎だねぇ」
そう言って、ライアはため息を吐いた。その後、カイトたちはシーポリスの戦士たちに別れを告げた後、急いでヴィーナスハンドへ向かい、出港の支度をした。
アンボーへ向かう中、カイトとケアノスはランドレディースのことについて詳しいことを調べていた。
「それなりに情報があるな。シーポリスの人が言っていた通り、女戦士が住む島か」
「ウイークがどうしてそこに向かったか分かるわ。あのスケベ、女しかいない島へ向かってスケベなことでもしようとしたんでしょ」
「そうかもしれないな。並み以上のスケベがなかったらいい人なんだけどな」
「確かに」
カイトとケアノスはそんな会話をしながらランドレディースについて調べていた。しばらく調べていると、ケアノスはある項目を見つけた。
「これを見て」
「どれどれ、ランドレディースには古代の時代からある遺跡があり、そこに住む女戦士たちはこの遺跡を守っている。これがどういった遺跡なのかはまだ判明していない……か」
「なーんかお宝の匂いが匂うね~」
と、話を聞いていたセアンが顔を出した。ケアノスはセアンにパソコンの画面を見せた。
「ほら、来たんだったらちゃーんとランドレディースについて理解しなさい」
「ほいほーい。どれどれ……」
セアンはランドレディースについての項目を見て、知識を得て行った。
「女戦士の島か。もしかしたら、ウイークより強い奴がいるかもしれないね」
「可能性はあるわね。でも、ウイークがそんな簡単にやられるかしら? 女相手なら手加減してやられそうだけど」
ケアノスはウイークが油断して捕まったと思っていた。だが、セアンは首を振ってこう言った。
「流石のウイークも命の危機だと察したら、女が相手でも本気を出すよ」
「そうとは思わないけど……」
「俺もそう思う。ウイークと同じ立場だったら、俺も本気を出しそうだ」
と、カイトがこう言った。この言葉を聞き、セアンは声を漏らした。
「とにかく、この島の人たちがどれだけ強いかは分からないわ。この目で見て確かめないと」
「サディたちの誰かが島のことを知っていたらいいんだけど」
セアンは腕組をしながらこう言った。そんな中、コスタの声が聞こえた。
「アンボーが見えた。ウイークファミリーの船もある」
「よーし、サディたちに会いに行こう!」
話を終えた後、ヴィーナスハンドはアンボーの港へ向かった。
アンボーに着いた後、セアンはサディたちに連絡をした。サディたちは港町の宿屋にいると聞き、急いで宿屋へ向かった。宿屋へ着き、セアンはサディの知り合いだと告げると、宿屋の主人はサディたちの部屋へ案内した。扉を開けて部屋に入ると、サディたちがいた。
「セアン!」
「大変だったね。とりあえず、何が起きたか話して」
セアンがこう言った後、サディはカイトたちに座るように促した後、話を始めた。
「実はね、うちのバカが女戦士しかいない島、ランドレディースのことを聞いて興味を持ったの」
「確かに興味を持ちそうね。何となく予想はしてたけど」
ラージュは呆れながらそう言った。サディは頷いた後、話を続けた。
「ちゃんと調べればよかったのに、あのバカは何も調べずにランドレディースへ向かって、一人で島へ向かいやがったの。その結果、戦いになって捕まったの」
「呆れた」
「流石スケベ野郎……」
と、コスタとケアノスはため息を吐きながらこう言った。ライアは少し考えた後、サディたちにこう言った。
「で、私たちに助けを求めたのね」
「ええ。私たちには戦う力がない。この状態じゃああのバカを助けることができないの。お願い皆、あのバカを助けて」
サディたちが頭を下げてこう言った。セアンは胸を叩いて言葉を返した。
「もちろん! 私たちが必ずウイークを助けるよ!」
「ありがとう!」
と言いながら、サディはセアンに抱き着いた。
翌日、カイトたちはサディたちと共にアンボーから出航し、ランドレディースへ向かった。
「ここからランドレディースまでは二日かかる。それまでウイークに何もなければいいけど」
ケアノスは心配そうにこう言った。スピードを出してヴィーナスハンドを動かしているが、それでも到着までは時間がかかる。カイトはランドレディース到着まで、無事であるようにと祈っていた。
ランドレディースの地下牢。ウイークは上半身裸で身動きが取れないように、壁にある手枷に両手を拘束され、両足首には鎖でつながった鉄球がある。そのせいで、ウイークは動くことができなかった。
「あぁ……腹減った。のども乾いた。リンゴかみかんが食べたいなぁ……」
「おい男! 飯の時間だ! 今やるからちょっと待ってろ!」
そう言いながら、島の女戦士がウイークの元へ入ってきた。島の女戦士は荒い手つきで木皿の上の焼いた肉を手にし、無理矢理ウイークの口に入れた。
「ムガムッグ! 頼むよ、優しく口の中に入れてくれよ。それと、野菜はないの? 栄養バランスが大事だぜ? あと、水頂戴!」
「野郎相手にはこの飯で十分だ! それと、どうしてこんな状態になったのかは自分で考えろ、この下種が! 飯を与えるだけで幸せだと思え! 水は忘れたからない!」
と、女戦士は吐き捨てるようにこう言って地下牢から出て行った。再び一人になったウイークは、ため息を吐いた。
「誰か助けてくれよ……こんな所で死にたくない……せめて死ぬときは大量の美人に囲まれてキャッキャウフフしながら逝きたいぜ……」
ウイークはそう呟くと、サディたちが早く来ることを祈った。
今回から新しい話が始まります。久しぶりにウイークたちが出て来ていますが、スケベ野郎は最初から捕まっています。今回はこの女だらけの島、ランドレディースで戦いや冒険を繰り広げる予定です。では次回。高評価とブクマをお願いします!




