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洞窟を守る者


 アジットスライムに捕らえられたカイトとコスタを救うため、セアンは左手の銃をアジットスライムに向けた。アジットスライムの中にいるカイトは、まさかセアンが核を狙って撃つのかと考えた。


ピラータ姉妹の海賊船に世話になって数日が経過しているが、その中でカイトはコスタの射撃能力がプロのスナイパー並みであると察知している。セアンも他の海賊船と戦う時に、右手にカトラス、左手にハンドガンというスタイルで戦っているが、実際のところ、セアンの射撃能力は分からなかった。セアンは接近戦でハンドガンを使うため、遠距離での狙撃がどれだけの腕前か分からない。


だが、今頼りになるのはセアンだけなのだ。カイトは頼むセアンと思いながら、ハンドガンを構えるセアンを見た。


「ちょっと待ってね。今すぐに助けるから!」


 セアンはカイトを捕らえているアジットスライムの核に向けて、一片の迷いなしにハンドガンの引き金を引いた。セアンが放った弾丸は、アジットスライムの核を撃ち抜いた。核を撃ち抜かれた直後、アジットスライムは破裂し、中にいたカイトが解放された。


「ブハァッ! た……助かった。ありがとう、セアン」


「いいってことよ! さ、次はコスタを助けるよ!」


 アジットスライムから解放されたカイトは、大きく深呼吸を始めた。セアンはカイトを助けた時と同じようにコスタを飲み込んでいるアジットスライムの核に向けて銃を放った。アジットスライムの破裂音が響き、コスタの声が聞こえた。


「助かったよセアン。それよりも……うへぇ……災難続きだぁ……ベトベトする。気持ち悪い」


「二人とも、無事でよかった。さ、早くケアノスたちと合流しよう」


「そうだな、ケアノスたちも心配しているだろうし、急ごう」


 カイトの言葉の後、セアンは階段の方へ向かったが、腐った水に濡らされたせいで臭うカイトとコスタを見て、こう言った。


「その前に水浴びして汚れを取って来なよ。あそこに川があるから。この状態でケアノスたちに近付いたら、悶絶するよ」


「ああ。そうだな、そうする」


「一緒に行こう、カイト」


 そう言って、コスタはカイトを連れて川に行こうとした。それを見たセアンはコスタがカイトとイチャイチャするつもりだと察し、急いで階段から降りた。


「それじゃあ私も川に入るよ! 服を脱ぐからちょっと待っててー!」


 と、言いながらセアンは服を脱ぎ始めた。カイトは顔を赤くしながらセアンの着替えを見ないようにし、小さく呟いた。


「結局三人で水浴びか……セアンは汚れてもいないのに」


「いいじゃない、いいじゃない。こんな美少女と水浴びできるなんて幸運と思いなよ」


 と言いながら、服を脱いだセアンは川へ向かった。コスタは恥ずかしがり屋のカイトに気を使ってセアンの服と同じ場所に服を脱ぎ、カイトも離れた所で服を脱いで川に入った。




 ケアノスたちは周囲を取り囲んだフィッシュスライスマンを倒した後、周囲を見回した。ケアノスはフィッシュスライスマンが襲ってこないことと、現れないことを察してレイピアを鞘に納めてこう言った。


「流石にもういないわね。これで全滅したと思うけど」


「もう来なくていいわ。奴らの汚い血で汚れちゃったわ。あーあ、どこかで水浴びしたいわねー」


 ラージュは体中に付いたフィッシュスライスマンの返り血を手で拭きながらこう言った。それを見て、ケアノスは先ほどのラージュの戦いを思い出していた。ラージュは笑いながら大剣を振り回し、周囲のフィッシュスライスマンを見るも無残な形へ変えていたのだ。


「あれだけ暴れれば返り血も付くでしょうに……」


「何か言った、ケアノス?」


 ラージュはケアノスの方を振り返り、フィッシュスライスマンの返り血が飛び散った顔で笑顔を作り、こう聞いた。その表情を見たケアノスは真っ青な顔で特に何もないですと言った。ライアは持っていたタオルを近くの川で濡らし、ラージュに渡した。


「ほらタオル。返り血を拭きなよ。手で拭うよりこっちのほうがいいって。それじゃあカイトたちと合流した時ドン引きされるよ」


「そうね。ありがと、ライア」


 ラージュは返り血を拭いた後、タオルをしまった。その後、三人はカイトたちとの合流に向けて歩き始めた。戦いの最中、下から銃声が聞こえたので、ケアノスたちはカイトたちがまだ生きていることを察知したのだ。歩く中、ケアノスは二人にこう話していた。


「もし、落ちた先に通路か何かあれば、きっと合流できる」


「そうね。どこかで道が繋がると思うし、さっきの落とし穴以上に複雑な罠はないと思うわ」


「早く行こう。三人が無事かどうか不安だよ」


 その言葉を聞き、二人はケアノスの言葉を信じ、カイトたちとの早い合流を望んだ。だが、ケアノスたちの気持ちを裏切るかのように、分かれ道は現れなかった。


「大分奥に進んだみたいだけど……まだ合流しないわね」


「それどころか、分かれ道が現れないわねぇ」


「まだ道は続いているから、きっと奥の方にあるわよ」


「だといいけど……」


「不安なことを言わないの、ラージュ。きっと大丈夫よ」


「そうだね。ケアノスの言う通りだよ……ん?」


 歩く中、ライアが突如足を止めた。不審な感じを察し、二人も少し歩いてすぐに止まった。


「何かいるわね。敵かもしれないわ」


「ええ。さっきのフィッシュスライスマンの仲間かしら?」


「奴らはもういないはずだけど……気を付けて」


 三人は武器を構え、背中合わせとなった。しばらくすると、周囲に落ちている骨が突如宙に浮かび、徐々に人の形を作り上げた。


「あらまぁ。骨が宙に浮かぶなんて」


「きっと何かの魔力を骨に残したのよ」


「考えるのは後。来るわよ!」


 ケアノスの言葉の後、骨はケアノスたちに襲い掛かった。ライアは攻撃をかわす中、ナイフを使って骨の一部を弾き飛ばし、ラージュは大剣を振って頭蓋骨を割った。


「頭さえ破壊すれば、もう動かないでしょう」


「その考えは甘いようね……」


 ケアノスは再び動き出す骨を見てこう言った。ラージュはあらまと呟きながら、襲ってくる人骨に再び反撃した。


「これはどうかしら! ぶっ壊れなさい!」


 横に振られた大剣の刃は骨を上半身と下半身に分離させた。だが、これは攻撃が当たる寸前に行われた行動であり、ラージュは攻撃が避けられたと察知した。


「ラージュ、危ない!」


 ケアノスはラージュに向かって襲い掛かる上半身をレイピアの連続突きで攻撃し、吹き飛ばした。そして、残った下半身はライアが蹴り飛ばした。


「危なかった……ありがとう、ケアノス、ライア」


「まだ終わってないわ。油断しないで!」


 ケアノスは再び人の形となる骨を見て叫んだ。その時、ライアが不安そうな声で二人にこう告げた。


「まずいよ……似たような奴らが囲んでいる! 逃げられない!」


 ライアの声を聞き、二人は周囲を見回した。そこには骨の仲間なのか、似たような骨が宙に浮かんでは人の形を作っていた。それを見たケアノスは、ぽつりと小さく呟いた。


「これは確かに立ち入り禁止になるわね」


 その声を聞いたラージュは、小さく笑ってこう言った。


「確かにそうね。でも、楽しくなってきたじゃない? 動くガイコツと戦うことなんて思ってもいなかったわ!」


 笑いながらこう言ったラージュを見て、ライアは呆れた声を出した。


「笑いながら狂戦士みたいなことを言わないでよ。私はこんな奴と頻繁に戦いたくないよ」


「そうかもしれないわね。でも、向こうはやるつもりよ!」


 ライアはラージュにこう言われた後、ナイフを構えた。


 スライムってドラクエじゃあ弱いモンスターだけど、ウィザードリィじゃあ強いって聞いたことがある。そもそも、スライムって相手を溶かす液体を持ってるから、本気出したらやばいんじゃねーの? そんなことを考えた結果、アジットスライムと言うモンスターが生まれました。


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