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ガーティブの正体


 サマリオが持って来たディスクはトリガミヤワー海賊団の団員の取り調べの映像だった。団員は目が虚ろで、目の前にいるシーポリスの戦士の方を向いていなかった。その様子を見たラージュはサマリオに尋ねた。


「事件の時の映像は見たから知っているけど、取り調べの映像を見るのは私初めて。この様子だと、自白剤を使ったのね」


「ああ。こうでもしないと情報を得ることができないからな……」


 二人が話をしている中、映像は進んでいた。


「では、お前が知っているブラッディークローに関することを話せ」


「あい……自分が知っている情報だけど……ブラッディークローは全知の剣と言う剣を狙っている。それが何なのか、自分でも分かりません。それと……ブラッディークローのボスに近い人物が三人いると言われています」


「どんな奴らか教えてくれ」


「自分は名前と使う武器しか分かりません。一人は斧を使う女の戦士、リラゴ。二人目は槍を使う男の戦士、ロス。三人目は剣を使う男の剣士、ガーティブと言われています」


「写真はないのか?」


「実は……ガーティブの写真だけあります。ジョンキーの近くにいると言われたので。それと、ガーティブはディスターソースのリーダー的存在だと言われています」


 シーポリスの戦士は団員から写真を受け取り、画面に映した。その写真を見て、カイトとセアンは目を丸くして驚いた。


「こいつは俺とセアンを斬った男だ!」


「まさか……こいつがガーティブだったなんて!」


 二人の驚く声を聞き、コスタたちに動揺が走った。


「カイトとセアンを倒すだなんて、結構強いのね」


「でも、ラブアと戦い終わった後だから、疲れていたのよ。そんな状態で戦って勝っても、勝利とは言えないわ」


「疲れた後を狙うだなんて結構卑怯だなー」


「何だかパッとしない顔ねー」


 コスタたちがこう話をしていると、場面が切り替わった。


「取り調べの映像は終わった。これは、トリガミヤワー海賊団の連中が殺される時の映像だ。よく見てくれ」


 サマリオにこう言われ、カイトたちは画面を直視した。しばらくすると、画面にガーティブが映った。


「あいつがやったんだな!」


「ディスターソースのリーダー的存在だから、自分が処理に来たのね」


 カイトとセアンがこう言った後、画面が消えた。


「映像はここまでだ。恐らく、奴が隠しカメラの存在に気付いて破壊したのだろう」


「にしても、ブラッディークローの重役がどうしてここにいたのかしら?」


 ラージュがこう言うと、サマリオはすぐに答えた。


「これはあくまでも私の考えだが、奴らが狙っている全知の剣と言う剣の情報を得たのだろう。それが嘘か誠か分からないが……」


 サマリオがこう言った後、セアンが呟いた。


「奴らの目的、ボスに近い奴らのことは分かったけど……まだ詳しい情報が必要だねぇ」




 ジョンキーがある国、ジェクトから一隻の小さな船が港から出航した。その小さな船にはガーティブが乗っていた。ガーティブは横になり、欠伸をしながら海風を浴びていたが、しばらくして大きな船が現れた。そこには、ブラッディークローの紋章が描かれていた。ガーティブが乗る船はブラッディークローの船に近付き、収容された。


「ガーティブ様、お疲れ様です」


「お出迎えありがとうございます。すみません」


 迎えに来た部下に礼を言うと、笑いながら一人の女性が現れた。


「相変わらずすみませんが口癖だな、お前は」


「すみません、リラゴさん」


 ガーティブは大柄な女性、リラゴに向けて頭を下げた。リラゴはため息を吐き、ガーティブの頭を撫でた。


「私はお前を攻めたわけじゃねーんだよ。まー、とにかく得た情報を教えてくれ」


「嘘っぱちでしたよ、あの情報。ジェクトの近くの島、スーテキダネイに全知の剣の情報はなかった。無駄足でした」


「そうかい。ま、そう簡単に手に入るもんじゃないから、地道に行こうぜ。とにかく、久しぶりに幹部三人が集まったんだ。話し合いでもするぞ」


 リラゴはそう言って、ガーティブを連れて会議室へ向かった。リラゴが会議室の扉を開こうとした瞬間、中から女性の悲鳴が聞こえた。


「中で何をやってんだか」


 呆れてため息を吐いたリラゴが扉を開くと、中には一人の男がいて、モニターを使ってエッチな映像を見ていた。


「おい。扉はノックをしてから開くものだろうが」


「うるせーよロス。会議室の中でエロビデオ見るなって何回言えば理解するんだ?」


 リラゴはそう言いながら、映写機を殴って破壊した。ロスは悲鳴を上げながらへこんだ映写機から、ディスクを取り出そうとしていた。


「クソッ、なかなか取れない。あれまだ一回しか見てないのに!」


「自室で見ろ」


「仕方ないだろうが、レコーダーが壊れたんだから」


「だからって会議室の映写機を使うなスケベ野郎! まーったく。今から会議するからとっととぶっ壊れた映写機を片付けろ!」


 と言って、リラゴは机の上に乗っていた映写機を殴り飛ばした。ロスは悲鳴を上げたが、文句を言いながら席に座った。


「さて、久しぶりの幹部の会議だ。今回はガーティブがメインだ」


 リラゴの言葉を聞き、ガーティブは机の上で土下座を始めた。


「すみません、すみません。僕みたいな奴が主役で会議を始めてしまって……」


「机の上で土下座をするな! そんでもって謝るな! お前は悪いことをしていないだろうが!」


「ガーティブは相変わらずだなぁ」


 ガーティブを机の上から降ろすリラゴを横目に、ロスはエッチな雑誌を読み始めた。リラゴはロスからエッチな雑誌を奪い取り、窓を開けて海へ捨てた。


「ああああああああああああああああああああああああ! あれ買ったばかりなのに! なんてことをしやがるゴリラ女!」


「うるさい! 会議中にエロ本を読むお前が私を叱る資格はないわ!」


 そう言いながら、リラゴはロスにラリアットを浴びせ、四の字固めで追い打ちをかけた。その後、リラゴはガーティブに話をするように促した。


「では始めます。リラゴさんには伝えたんですが、全知の剣の情報はありませんでした」


「そうか……まぁ、あまりあてにならない情報だったから仕方がないな」


 と、ボロボロになったロスがこう言った。ガーティブはロスとリラゴを見回しながら、話を続けた。


「情報がないことを知った後、ジェクトのジョンキーへ向かいました」


「ジョンキー? ああ、確かトリガミヤワーって下っ端の海賊団に裏の武器商人の取引を任せてたな」


「その様子が気になって見に行ったんです。ですが、情報をリークされたらしく、シーポリスがたくさんいました」


「取引相手の名前は分かるか?」


「ゼニマーネです」


 ガーティブの答えを聞き、ロスはため息を吐いた。


「ゼニマーネか。かなり嫌われている商人だ。奴を嫌う同業者から情報を漏らされたな。運が悪い」


「運が悪いのは続きます。僕たちを狙うピラータ姉妹もいました」


「へー。で、ピラータ姉妹とはやったのか?」


 リラゴの言葉を聞き、ガーティブはうつむきながらこう言った。


「殺してはいません。僕がラブアを始末する時に遭遇したのは、セアンと新入りのカイトだけだったので」


「殺していないのか。可能性として、お前の顔を知られている可能性はあるぞ」


 ロスの言葉を聞き、あることを思い出したガーティブは机の上に乗って土下座を始めた。


「すみません、すみません、すみません。もしかしたら僕の顔がばれた可能性があります。奴らに倒されたトリガミヤワーの連中と近くに潜ませていたディスターソース、ゼニマーネを殺すためにシーポリスへ襲撃して全滅させたんですが……もしかしたら、生き残りがいたかもしれません」


 ガーティブの言葉を聞き、リラゴはため息を吐いた。


「ちょっと詰めが甘かったね。でもま、ピラータ姉妹やシーポリスが情報を手にして襲い掛かっても、やり返すだけだ。あんな雑魚共、私たちの敵じゃないよ」


 と、リラゴは笑いながらこう言った。ロスは腕組をしながら、小さく呟いた。


「あの姉妹とヤりあうのも一興だな。生かして捕まえてムフフフフ」


「バカなことを考えるな!」


 リラゴはそう言って、いやらしい笑みを浮かべているロスの首を掴み、窓を開けて海へ投げ捨てた。


 今回はちょーっとだけブラッディークローの方で新キャラを出しました。今現在で、新キャラである三人は滅茶苦茶強いです。これから全知の剣についての話が始まります。どんな展開になるのかお楽しみに! 最後に、高評価とブクマをお願いします!

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