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ラブアとの激闘 その12


 巨大化したラブアを倒す手段が見つかった。カイト、セアン、ケアノス、メリスの魔力を一つにまとめ、ラブアに向けて放つという技だ。だが、この技を放つためには四人の魔力を一つにまとめることが必要であり、時間もかかる。確実に倒すため、サマリオが囮となってラブアに挑み、攻撃を放った。


「グウゥゥゥゥオォォォォォォ!」


 うなじから激痛を感じながら、ラブアはうなじにいるサマリオを振り下ろすために暴れ始めた。だが、サマリオはうなじに突き刺した剣を握って踏ん張っていた。


「グッ! このまま……落ちてたまるか!」


「イデェェェェェ! とっとと地面に落ちろクソ野郎がァァァァァァ!」


 ラブアの動きが激しくなった。そんな中、サマリオは落ちないように耐えていたのだが、うなじに刺さっている剣の刃がゆっくりと大きく動き、うなじから離れてしまった。


「しまった!」


 サマリオの声を聞き、ラブアはにやりと笑った。


「残念だったなぁ、大佐様!」


 宙にいるサマリオを見つけたラブアは、右手の拳でサマリオに殴りかかった。攻撃が来ると察したサマリオは剣を前に出し、魔力を発して巨大なバリアを作った。


「そんなバリア、一撃で砕いてやる!」


「一撃で砕く? やれるものならやってみな!」


 サマリオの言葉を聞き、ラブアは怒りを込めて巨大なバリアを殴った。拳とバリアがぶつかった直後、周囲に衝撃波が舞った。


「ぐ……ぐぐぐ……グアアアアアアア!」


 ラブアは右手を抑えながら悲鳴を上げ、後へ下がった。サマリオはバリアを消して近くの建物の上へ着地し、魔力を解放した。


「巨大な拳で私のバリアを砕くことはできなかったようだな! さぁ、今度は私のターンだ!」


 と言って、サマリオは火の塊を上空へ発し、破裂させた。何をするつもりだと思いながらラブアが見上げて見た物は、空から降る無数の火の矢であった。


「火の矢の雨か! この図体では何本かは当たるが、何本かは外れるなぁ」


「いーや、全部お前に当てるさ」


 サマリオは小さく笑ってこう言った。その後、火の矢はラブアに向かって飛んで行き、突き刺さって行った。


「グフゥッ!」


「でかい図体のお前にダメージを与えるため、多少魔力を練りこんだ。痛いはずだ」


「クソッたれが!」


 ラブアは魔力を解放しようとしたが、周囲に放たれたのは小さな衝撃波だった。それを見たサマリオは鼻で笑った。


「力を使いすぎたようだな。このまま大人しくした方がいいんじゃないか?」


「誰がお前の言うことを聞くか! クソッたれ、お前を殺してやる!」


 ラブアはサマリオに接近しようとしたが、ラブアの体に付着していた火が鎖に変形し、ラブアの体を締め付けた。


「何! しまった!」


 気付いた時には遅かった。ラブアは火の矢の攻撃はダメージを与えるため、そして体に火を付着させるために放ったと察した。


「グッ! こしゃくな!」


「今だ、皆!」


 サマリオはそう言って高く飛び上がった。彼の後ろには、魔力を解放しているカイトたちの姿があった。




 一方、戦闘不能のコスタは残った魔力で動けるレベルまで治療し、倒れているライアとラージュの元へ向かった。最初に向かったのは、ライアの方だった。


「ライア、無事?」


「ダメ……体中痛い……魔力も使えない……」


 と、苦しそうにライアはこう答えた。コスタは魔力を使おうとしたが、ライアはコスタを止めた。


「私より先に……ラージュを治して……ラージュなら……ちゃんとした治療ができると思うから……」


「それまで痛みに耐えられる?」


 心配そうな表情をするコスタを見て、ライアは親指を上に向けた。大丈夫だと思ったコスタはラージュの方へ向かい、治療をした。


「コスタ……あなたは……無事だったのね……」


「それなりにね。体中痛いけど、ライアやラージュよりは動けるから」


「そう……」


 ラージュはコスタの手を触り、魔力を送った。コスタはどうして魔力を送ったのか分からなかったが、ラージュはこう言った。


「私の残ってる魔力を使って……それだけの魔力があれば……動けるまでに回復すると思うから」


「分かった」


 その後、コスタはラージュから貰った魔力と自身の魔力を使ってラージュの治療を始めた。数分後、ラージュは立ち上がれるまでに回復した。


「ありがとうコスタ。助かったわ」


「助けて当然のことだけど……疲れた」


 慣れない魔力の変換で、コスタは精神的にも肉体的にも疲れていた。魔力で人を治療することはできるが、その時に放つ魔力を治療用に変換しなければならないのだ。この作業、かなり細かく魔力を調整するため、精神的にも辛いのだ。


「さて、今度は私がライアを治すわ。コスタ、少し休んでて」


「はーい……」


 コスタはそう答えた後、その場で横になった。ラージュはライアに近付き、治療を始めた。


「待っててねライア。すぐに治療するわ」


「優しくね……」


 治療を始めて数分後、ライアも立ち上がれるまで回復した。


「ふー。何とかなったけど……まだ体中痛いね」


「そりゃーそうよ。全身の骨が折れたりひびが入ったりしたから、体中痛いのよ」


 ラージュがこう言った直後、ジョンキーから強い魔力を感じた。


「ん? 誰の魔力だろう?」


「カイトとセアン……ケアノスの魔力を感じるわ。それと、メリスの魔力も」


「あいつ、ジョンキーの方へ向かったんだ。でも……もう少しで戦いは終わるね」


 ライアはそう言って、ジョンキーの方を見た。




 カイトたちは両手を前に突き出し、魔力を発していた。


「皆! ありったけの魔力を出して!」


「おう!」


 セアンの声を聞いたカイトは返事をし、魔力を高めた。ケアノスとメリスもカイトに合わせ、魔力を発した。ラブアは四人を見て、何かを仕掛けると考えた。しかし、火の鎖で縛られているため、体は自由に動けない。


「グッ……早く抜け出さないと!」


「逃がさんぞ!」


 上空からサマリオの声が響いた。サマリオは魔力を解放し、ラブアの身長と同じ高さの火の槍を放ち、ラブアの身動きを封じた。この攻撃のせいで、ラブアは完全に動けなくなった。


「皆、技を放つなら今のうちだ!」


「うん!」


 サマリオの言葉を聞き、セアンは返事をした。その後、セアンはカイトたちを見回して目で合図をした。セアンの目を見て、カイトたちは一斉に頷いた。


「それじゃあ私の合図に合わせて魔力を放って!」


「おう!」


「いつでもいいわ!」


「お願いします!」


 カイトたちの声を聞いた後、セアンはにやりと笑って声を出した。


「それじゃあ行くよ! せーの……ハッ!」


 セアンの声に合わせ、カイトたちは一斉に魔力を放った。カイトたちから放たれた四つの魔力は一つとなり、ラブアに向かって飛んで行った。身動きが取れないラブアはそのまま四つの魔力を受け、上空へ上がった。


「ウグアアアアアアアアアアアアアアア!」


 ラブアは悲鳴を上げながら魔力を受けた。だが、いくら上空へ飛び上がっても一つになった魔力は消えなかった。それどころか、威力を落とさず上へ上がって行った。


「クソ! このままだと……俺は……」


 しばらく魔力を受けていたラブアだったが、魔力はラブアを包み込み、激しい光を放った。


「嘘だ……俺が……こんな所で……」


 ラブアが悲鳴のような声を上げた後、魔力は花火のような音を発して破裂した。爆発の中心部にいたラブアに激しい熱と閃光が襲い掛かり、大きなダメージを与えた。


「ガ……ハァ……」


 攻撃を受けた後、ラブアは白目をむいて吐血した。そして、そのまま地面へ向かって落ちて行った。サマリオはラブアが落ちて行く光景を見て、安堵の息を吐いた。


「とりあえず……奴を倒すことはできたな……」


 そう言った後、疲れて倒れているカイトたちを見て呟いた。


「よくやったぞ、皆」


 ようやくラブアとの戦いが終わりました。12話。今までのラストバトルの話より結構長かったような気がします。でも、その分結構はらはらしたバトル展開が書けたかなーって自分で思っています。


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