ラブアとの激闘 その11
ラージュが傷付きながらも手当てをしてくれたおかげで、カイト、セアン、ケアノスは復活した。メリスを含めた四人はジョンキーへ向かったラブアを追い、サマリオと変わってラブアと戦いを始めた。
「グガッ! グアアアアアア! 離れろ!」
ラブアは悲鳴を上げながらうなじ部分にいるカイトとセアンに攻撃を放った。だが、二人は攻撃が来る前にうなじ部分から離れ、ラブアはうなじ部分に攻撃を当ててしまった。
「グファッ!」
再び自分に攻撃を当ててしまったラブアは、苦しそうな声を上げ、うなじ部分に手を当てた。
「グ……クソッたれが!」
地面に着地したカイトとセアンに向け、ラブアは手を放とうとした。その時、再びうなじ部分から激痛が走った。
「な……何故だ……」
ラブアは悲鳴を上げながら呟いた。うなじ部分にいるのはケアノスとメリス。ケアノスは魔力を解放してレイピアの刃に纏わせ、メリスは風の刃で攻撃をしていたのだ。
「あら、気付いたようね。逃げるわよ!」
「はい!」
ケアノスの声を聞き、メリスはケアノスと共に高く飛び上がった。ラブアは飛び上がった二人に向かって魔力を放とうとしたが、突如背中に冷たいものが当たる感覚を覚えた。
「何だ?」
「くーらーえェェェェェェェェェ!」
後ろからセアンの声が響いた。この声を聞き、ラブアは察した。カイトがラブアのうなじに向けて氷の道を作り、セアンがその道を走っていると。セアンはカトラスに魔力を込め、ラブアのうなじにカトラスを突き刺した。
「ガハァッ!」
魔力を込めたおかげで、カトラスの刃は魔力の周囲に発していて、通常の刃より長くなっていた。そのせいで、深い傷が付いた。
「グウッ……この野郎が!」
攻撃を受け続けたラブアは無理矢理動き、カイトが作った氷の道を破壊した。セアンは慌てながら落下したが、下にいたカイトがセアンを受け止めた。
「大丈夫か、セアン?」
「うん。ありがとね、カイト」
セアンはカイトに礼を言った後、地面に降りて荒く呼吸をするラブアを睨んだ。
「あの野郎、まだ動くの? そろそろ倒れてもいいと思うけど」
「そうだな。口から血を出しているし、かなりダメージを与えたと思うんだけどな……」
二人が話をしていると、ケアノスとメリスがやって来た。
「もう少しって感じかな?」
「だといいんだけど」
セアンがそう言った後、ラブアは魔力を解放し、巨大な氷の塊を放った。
「虫けら共が! これで潰してやるぞ!」
「そんな塊、飛ばしたって無駄だよ! ねぇ、皆!」
セアンの声を聞き、カイトたちは一斉に魔力を解放し、武器を構えた。そして、飛んでくる巨大な氷の塊に向けて魔力の刃を放った。四つの刃は一つに交わりあい、巨大な氷の塊を粉砕した。
「フン! この程度の塊、いくつでも作ることができる!」
と言って、ラブアは無数の氷の塊を放った。
「あぎゃー。これは面倒。避けるよ!」
その後、カイトたちは飛んでくる氷の塊を避け続けた。
ラブアの攻撃をかわす中、カイトは氷の塊を粉砕した時の攻撃を思い出していた。そして、それが巨大化したラブアを倒すきっかけになるだろうと考えた。カイトは氷の塊を飛び渡りながら、セアンに接近した。
「セアン。さっきの技、覚えているか?」
「うん。四つの魔力が一つになればすごい技になるね。あれさえうまく使えれば、アイツを倒せるかもしれない」
「俺もそう思う。奴の攻撃が終わり次第、すぐにケアノスとメリスの所に行こう」
二人は会話を終えた後、ラブアの攻撃を避けることに集中した。だが、なかなかラブアの攻撃は終わらなかった。
「もー。あいつの魔力どんだけあるの?」
「まさか、巨大化して魔力も増えたのか?」
「その可能性もあるわね」
と、ケアノスが会話に乱入した。その後ろには、メリスがいた。
「二人とも、無事だったんだね」
「ええ。話したいことがあったから、すぐにでも合流したかったわ」
「放したいこと? もしかして、さっきの合体魔力について?」
セアンがこう言うと、ケアノスは驚いた表情をしたがすぐに頷いた。
「そうよ。その様子だと、カイトとセアンもさっきの技の威力を把握しているみたいね」
「うん。二人も同じことを考えていて都合がいいや」
会話が終わった後、四人は後ろへ下がった。会話の途中で、ラブアの攻撃が止まったからだ。カイトが様子を見ると、ラブアは額から脂汗を流しながら、苦しそうに呼吸していた。
「どうやら、攻撃を出しすぎてガス欠のようだな」
「狙うなら今がチャンスかな?」
そう言いながら、セアンはにやりと笑った。だが、ケアノスがこう言った。
「まだ奴から魔力を感じるわ。多分だけど、奴は私たちが近付いた時か、攻撃を仕掛けた瞬間に何かするかもしれないわ」
「そのために、魔力を保存しているんですね」
メリスの言葉を聞き、ケアノスは頷いた。
「ええ。もし、あの時のように協力して魔力を放つためには、奴を隙だらけにしないといけないわね」
ケアノスの話を聞き、カイトは難しそうだと思った。たとえ大きなダメージを受けているラブアだが、巨大化したため攻撃力は高く、下手したら死んでしまう恐れがある。そんな状況でラブアに長時間の隙を作る策を思いつかないのだ。
「どうやって奴に隙だらけにしようか……」
カイトが呟いた瞬間、サマリオが現れた。
「避難は終わった。他のシーポリスも退去させた」
「サマリオ」
セアンはサマリオに近付き、合体技でラブアを倒すこと、そのためにラブアに長時間の隙をさらけ出すことが必要だと話した。
「そうか……奴を倒すためにはその技を当てなければいけないな。外してしまったら、時間と魔力と体力の無駄だ」
「そうなの。絶対に当てないといけないの」
「そうか……セアン、皆と一緒に魔力を解放して技の準備をしてくれ」
サマリオの言葉を聞き、メリスはサマリオが何を考えているのか把握した。
「まさか、囮となって……」
「そうだ。私が出れば奴も私に注目するだろう。心配するな、私はあんな奴に倒される器ではない。では、頼んだ」
と言って、サマリオはラブアの元へ向かった。
ラブアの攻撃によって崩壊した建物を見ながら、ガーティブは呟いていた。
「あーあ、それなりに綺麗な町だったのに。やりすぎだよ」
そう呟きながら、ガーティブは手にしているクレープを食べていた。しばらくして、クレープを食べ終えたガーティブは巨大化したラブアを見た。
「やっと見つけたけど、今は出て行く時間じゃないな……ファ~ア」
ガーティブは大きな欠伸をし、その場で横になった。彼はラブアが落ち着くまで、昼寝をしようと考えたのだ。
ラブアは苦しそうな声を上げ、カイトたちを探していた。
「どこだ……どこに行ったあのガキ共は!」
見つからないせいで苛立ちが溜まり、ラブアは叫んだ。そんな中、サマリオがラブアの前に現れた。
「大佐様か。今度はお前が俺の相手か!」
「その通りだ」
ラブアは左手を大きく後ろに下げ、サマリオに向けて放った。サマリオは飛び上がって攻撃をかわし、剣の刃に火を纏ってラブアの左腕に斬りつけた。
「グウッ!」
ラブアの悲鳴を聞き、サマリオはにやりと笑った。
「どうやら、防御力が下がったようだな」
「黙れ! うなじの傷が痛むだけだ!」
「そうか、コスタが放った弾丸のせいで傷が広がったか。ナイスだ、コスタ」
サマリオはこう呟くと、建物を飛び渡りながらラブアへ接近し、うなじ部分へ回った。
「クソッ! またうなじを狙うか!」
「敵を倒すためには、傷を負った場所に攻撃を仕掛ける。これが戦いの基本だ!」
と言って、サマリオは火を纏った剣の刃をラブアのうなじの傷付いた部分に突き刺した。
この前見たとある番組で、サブタイトルの長文について話をしていました。長ければ長いほど物語が伝わりやすいと言っていました。小説以外にもタイトルを付けるのはかなり重要だと聞いているので、いずれこの作品のサブタイを変えるかもしれません。
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