ラブアとの激闘 その10
カイトたちを全滅させたと思ったラブアは、ジョンキーへ向かった。理由は避難誘導しているサマリオを殺すためである。
「どこだ~? 出て来いよ大佐様!」
ラブアは建物を破壊しながらサマリオを探していた。そんな中、建物の裏にいたシーポリスの戦士たちが現れ、ラブアに向けて銃を構えた。
「今だ! 撃て!」
声に合わせ、戦士たちは一斉に銃を放った。弾丸はラブアに命中したが、ダメージはなかった。
「こんなの、蚊に食われた方が痛いわ!」
と言って、ラブアは戦士たちを足で踏み潰した。
「アッハッハ! シーポリスの戦士共が虫けらのように死んでいく! こんな愉快なことはない!」
無残な姿になった戦士たちの死体を見て、ラブアは笑いながらこう言った。すると、魔力を解放した戦士たちが現れ、火の玉や氷の塊、雷の刃や風の刃を発して攻撃を始めた。
「ふん。チンケな魔力で俺にダメージを与えられると思っているのかバカ共が」
ラブアは飛んでくる魔力の攻撃を見て、胸を張った。魔力の攻撃はラブアに命中したが、これもダメージはなかった。
「クソ! ダメージが通らない!」
「一旦退却だ!」
魔力を使う戦士たちは地面に降りた後、退却し始めた。そんな戦士たちを見て、ラブアはにやりと笑った。
「逃がすかよ」
そう言って、近くにあった教会の屋根を掴み取り、逃げる戦士たちに向けて投げた。教会の屋根が落ちてくることを察した戦士たちは、慌て始めた。
「うわあああああああああ! 屋根が落ちてくる!」
「どこか逃げる場所はあるか?」
「とにかく安全な所へ隠れろ! あんなのに潰されたら死んでしまうぞ!」
戦士たちは建物の裏や、屋根の破片が飛び散らないような場所へ避難した。屋根は地面に激突し、木片を周囲に待ち切らした。だが、この攻撃で怪我をした戦士たちはいなかった。
「攻撃は終わったようだな」
「一度、サマリオ大佐と合流して奴を倒すための対策を練るぞ!」
戦士たちがこう言ったが、そこに巨大なラブアの顔が現れた。
「逃げれると思ったか? 虫けら共よ」
「うわぁぁぁ! 巨大なブサイク顔が現れたァァァァァァ!」
「あのブサイクはラブアだ! クソ! 逃げるぞ!」
戦士たちはその場から逃げようとしたが、ラブアは手を伸ばして逃げようとした戦士たちを掴んだ。
「うわああああ!」
「助けてくれ、ブサイクと言ったのは謝るから!」
「死にたくない! 死にたくなァァァァァァい!」
戦士たちは泣き叫んだが、ラブアにはその言葉は届かなかった。ラブアは力を込めて手の中の戦士たちを握りつぶした。
「ふぅ。これで静かになった」
ラブアはそう言って、握り拳から垂れる血肉を見て笑い始めた。
シーポリスの戦士たちが命を落とす中、避難誘導を終えたサマリオが現れた。
「あいつ……何か特殊な道具を使ったな……」
サマリオはこう呟くと、近くにいた部下がこう言った。
「ジョンキーにいた戦士たちの四分の三が命を落としました。セアンさんたちの行方は分かりません」
「あいつに倒された可能性があるな。巨大化した相手だ。流石のセアンたちも苦戦するだろう。無事だといいが」
サマリオがこう言った後、ラブアがサマリオの方を見た。この時のラブアの表情を見て、サマリオは自分の存在をラブアが察したと思った。
「下がれ。奴の狙いは私だ」
「大佐! 私も戦います!」
部下はこう言ったが、サマリオは首を振ってこう言った。
「今の君の実力では確実に死ぬ。逃げるんだ」
「でも……」
「逃げるんだ。あとは私がどうにかする。私が簡単に死ぬと思っているのか?」
部下はサマリオの言葉を聞き、頷いて去って行った。サマリオは剣を持ち、魔力を解放した。
「行くぞ、デカブツ!」
サマリオは建物に飛び移りながらラブアの元へ向かった。サマリオが来ることを察したラブアは笑い始めた。
「来いよ大佐様! お前の仲間の虫けら共と同じように潰してくれるわ!」
サマリオは剣から火の刃を発し、ラブアに攻撃を仕掛けた。ラブアは飛んで来る火の玉を体で受けながら、サマリオの元へ向かった。
「やはりあの程度の魔力ではダメージがないか」
サマリオは高く飛び上がり、高い所にある建物に飛び移った。その後、サマリオは望遠鏡でラブアの様子を見た。ラブアの体には痣があり、うなじ部分には小さな弾丸がめり込んでいた。
「あれは……」
その弾丸を見たサマリオは、コスタが放った弾丸が途中で止まったと察した。そして、それがラブアに決定的なダメージを与えるカギになると考えた。
「コスタ……君の弾丸は無駄にはしない!」
サマリオは望遠鏡をしまい、ラブアに向かって飛び始めた。
「来るか、大佐様!」
飛んでくるサマリオを見て、ラブアは構えをとった。サマリオは足に火の魔力を発し、飛ぶ方向を変えながら飛び回った。
「ちょこまかと動きやがって、ハエか!」
ラブアは飛び回る蚊を潰すようにサマリオに向かって手を叩いたが、サマリオの動きが早く、なかなか潰すことができなかった。
「グッ! いい加減くたばれ!」
「くたばるのはお前の方だ」
飛び回るサマリオは、ラブアのうなじに着地した。その後、剣先に魔力を込めてめり込んでいるアイアンブレイクを突いた。爆発音の後、めり込んだアイアンブレイクは勢いよくラブアの喉から口を貫いた。
「ガハァッ!」
この攻撃により、ラブアは首に激痛を感じた。攻撃を終え、サマリオは地面に着地した。
「やったか?」
サマリオはこの一撃でラブアを倒したと思った。ラブアはしばらく立ち止まっていたが、咳き込み始めた。
「ゲホッ! ゲホォッ! 今のは痛かったぞ……」
ラブアはうなじ部分を手でさすった後、地面にいるサマリオを睨んだ。
「さぁ、終わりの時間だ!」
と言って、ラブアはサマリオに向かって右手を振り下ろそうとした。だがその時、風の刃が上から降ってきて、ラブアのうなじに命中した。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
悲鳴を上げながらラブアはその場にしゃがんだ。サマリオは周りを見て、高台にカイト、セアン、ケアノス、メリスがいることを確認した。
セアンは魔力を解放して攻撃をした後、カイトたちにこう言った。
「あのブサイクがうずくまっている隙に、攻撃をして!」
「オッケー!」
カイトは刀を構えて高台から飛び降りた。ラブアは落下してくるカイトを見たが、その前にカイトはうなじに部分に移動し、刀で突き刺した。
「グウッ!」
何度も攻撃を受けたラブアだったが、この攻撃だけは痛く感じた。
「な……何故だ……」
「何故かって? 自分で考えろ!」
カイトはそう言って、もう一度刀でラブアのうなじを突き刺した。ラブアはカイトを払いどかそうとしたが、上から魔力を解放したケアノスとメリスが現れた。
「体に攻撃をしても無駄だから、奴の目や口、鼻の中を攻撃して!」
「中からダメージを与えるんですね。分かりました!」
ケアノスとメリスは武器に魔力を溜め、振り下ろして衝撃波を放った。二人が放った衝撃波はラブアの目に命中した。
「グファァッ! また目を……」
攻撃を受けたラブアは目を抑え、その場で立ち尽くしてしまった。その隙にセアンがカイトの所へ着地し、カトラスとハンドガンに魔力を込めた。
「このまま奴を倒してやる! カイト、一緒に攻撃して!」
「おう!」
カイトの返事を聞いた後、セアンはハンドガンでうなじの傷に向けて発砲し、傷を広げた。カイトは刀を再び突き刺して攻撃し、その横にセアンはカトラスを突き刺した。
「ガァッ! グアアアアアアアアアアアアアア!」
「このまま……」
「ぶっ倒れろ!」
悲鳴を上げるラブアに向け、セアンとカイトは叫んだ。
カイトたちの方もかなりの痛手を負いながらの戦いになっています。その位でかくなったラブアは強いのです。で、巨大化したラブアとの戦いを見て、これ進撃の巨人のパクリじゃねーのと思っている方がいると思いますが、俺は進撃の巨人を読んでいません。この話を更新するときにこれって……と思ったので。今気付いたんです。本当です。
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