ラブアとの激闘 その6
ジョンキー内へ逃げたラブアだったが、運悪くセアンと遭遇し、カイトたちの元へ吹き飛ばされてしまった。
「ナイスだ、セアン!」
カイトはこう言いながら、飛んで来たラブアに刀による一撃を放った。振り下ろされた斬撃はラブアに命中し、地面へ激突させた。ラブアは悲鳴と同時に血を吐いた。
「グ……俺の作戦が……ジョンキー内なら、俺が有利だったのに……」
「他の人を巻き込んでたまるか!」
ライアはそう言って、ナイフを振るってラブアに攻撃を放った。攻撃を受けたラブアは宙へ浮き上がり、シーポリスの戦士はそれに合わせて銃を放った。
「ウグッ! グググググ!」
銃声を聞き、ラブアは身を守るように構えたが、弾丸はラブアの体を撃ち抜き、更に傷を与えた。
「クソッたれがぁ!」
ラブアは叫びながら魔力を解放し、体にめり込んだ弾丸を弾き飛ばし、それを攻撃の手段として使おうと考えた。しかし、ケアノスとラージュがラブアの近くまで飛び上がっていて、武器を構えていた。
「もう一度地面とキスしなさい」
「ありったけの力を込めてぶっ飛ばしてあげるわ!」
そう言って、二人は同時にラブアに攻撃を仕掛け、地面に向けて吹き飛ばした。地面にめり込んだラブアは苦しそうな声を上げながらも、地面から抜け出そうとした。だが、コスタが放った弾丸がラブアを撃ち抜き、カイトとセアンが武器から衝撃波を発し、ラブアに追い打ちを仕掛けた。
「グアアアアアアアアア!」
カイトとセアンが発した衝撃波はラブアに命中し、更に奥深くめり込ませた。ラブアがめり込んだ地面の近くにいるセアンはラブアの魔力を探知し、大きなダメージを与えたと察した。
「結構ダメージを与えたね。あいつももう動けないでしょ」
「ああ。数的にも不利だし、俺たちの勝利で間違いないな」
「そうだね。やっとこの戦いも終わるね」
上にいるカイトとセアンの会話を聞きながら、ラブアはこの状況をどう打破するか考えた。動こうにも、この戦いで多数の傷を受け、それが原因で体を動かすのが苦痛になっている。その上、魔力も何度も使ってしまったため、残り少ない。
もうダメだ。ラブアはそう思った。しかし、懐から小さな光が発した。それを見たラブアは、にやりと笑った。まだ彼にこの状況を打破する可能性がある武器はあったからだ。
「まだ戦いは終わりじゃないぞ! これでお前たちを殺してやる!」
と言って、ラブアは魔力を解放した。まだ魔力があるのかと思いながらカイトとセアンはラブアがいる地面を見つめた。その時、ラブアの状況がおかしいと察した二人は、すぐに身構えた。
「何かしたみたい! 何をやったんだろう?」
「とにかく構えるんだ! あいつが何をやってもいいように!」
カイトの言葉を聞き、セアンやコスタたちも武器を構えた。しばらくして、周囲に地響きが発生した。
「おわわわわ! 何だ!」
「えー! 地震が起きた!」
カイトとセアンは慌てながらこう言ったが、ラブアがいる穴を見ていたケアノスは冷や汗をかきながらこう言った。
「地震じゃないわ。あいつ……あいつが何か使ったのよ!」
ケアノスがこう言った直後、ラブアがめり込んだ穴が急に広がった。それからしばらくして地響きは止んだが、穴から巨大なラブアの顔が現れた。
「うわあああああああ! 巨大なブサイク顔!」
「誰が巨大なブサイク顔だ! 見るがいい、アップボディの力を!」
驚いたカイトに向かってラブアはそう言うと、穴から這い上がった。その時のラブアの体のサイズは倍以上に増していた。
「さぁ、戦いを続けようか!」
ラブアの大きな声を聞き、カイトたちは驚きの表情をしていた。
一方、ラブア捜索をさぼっているガーティブは町の高台で周囲を見ていた。すると、巨大になったラブアの姿を見つけた。
「あ、みーつけた……けど、あんなに大きかったっけ?」
小さく呟くラブアだったが、大きくなったラブアの姿を見た人たちは、大きな声で悲鳴を発しながらその場から逃げて行った。ガーティブは周囲を見回し、ため息を吐いた。
「はぁ……もう少し休みたかったのにな」
そう呟いた後、剣を持って歩きながらその場から離れた。
カイトたちはでかくなったラブアを見て、驚きのあまり体が固まっていた。
「な……何だあいつ? 急にでかくなったぞ!」
「バケモンだ! 怖い……怖いよ!」
「ヒェェェェ! 逃げろ!」
戦意を失ったシーポリスの戦士は逃げようとしたが、まだ勝機を失っていない一部の戦士は銃を構え、発砲した。しかし、弾丸がラブアの体に命中しても、ダメージはなかった。ラブアは銃が当たった場所をかき、笑いながらこう言った。
「何なんだ今のは? 蚊に刺された方が痛かったぞ」
この言葉を聞き、戦士たちは銃のリロードを行い、もう一度射撃で攻撃しようとした。
「もう一度銃で攻撃するつもりか? そんな物は通用せんぞ!」
と言って、ラブアはリロードを行う戦士に向かって右手を振り下ろした。戦士たちは攻撃が来ることを察して逃げようとしたが遅く、ラブアの巨大な右手によって潰されてしまった。
「貴様! よくも仲間を!」
サマリオは魔力を解放し、ラブアに攻撃をしようとした。だが、ラブアは小さな魔力を発し、ジョンキーに向けて放った。
「しまった!」
サマリオは急いでラブアが発した魔力の塊を追いかけ、下の地面に向けて撃ち返した。だが、ラブアは笑いながら次々と魔力を発し、ジョンキーへ向けて放った。
「ほーらほらほら。どうにかしないとジョンキーが壊れちゃうぞ、大佐様?」
「グッ……この外道が!」
サマリオは苦しそうな顔でラブアが放つ魔力を撃ち返していた。そんな中、カイトやピラータ姉妹、メリスがラブアに攻撃を仕掛けた。
「サマリオ! こいつは私たちがどうにかするから、ジョンキーへ行って避難するように伝えて!」
セアンの言葉を聞き、サマリオは頷いた。
「分かった。皆、奴は強い。気を付けてくれ!」
「うん。あとで合流しよう!」
セアンの言葉を聞き、サマリオはジョンキーへ向かった。ラブアはサマリオに向けて攻撃を放とうとしたが、カイトがラブアの腕に向かって高く飛び上がり、刀を振り上げた。
「はぁぁぁ!」
力を込めてカイトは刀を振り上げたが、刀の刃はラブアの腕に傷つけることはできなかった。刃はラブアの腕に刺さったが、巨大化したため大したダメージはなかったのだ。
「ん~? そんなもんで攻撃しても意味がないぞ!」
ラブアはカイトを掴み、地面に向けて投げた。カイトは地面に激突する前に着地し、ラブアを睨んだ。
「クソ! あの野郎、でかくなったからダメージが通らない!」
「なら魔力を込めてぶっ叩くのみ!」
ラージュは大剣に魔力を込めて、ラブアの右足を突き刺した。そして、大剣を振り上げながら衝撃波を放った。だが、衝撃波を放った攻撃もラブアにダメージはなかった。
「ハッハッハ! その程度か!」
ラブアは足元にいるラージュを蹴り飛ばそうとしたが、カイトは急いでラージュを連れて遠くへ逃げた。
「まずい! どんな攻撃も奴に通じない!」
「結構やばい敵になっちゃったわね。早く倒さないと、ジョンキーで暴れる可能性があるわ」
カイトとラージュが話をしていると、発砲音が聞こえた。セアンやコスタがラブアに向けて発砲していると二人は察したが、弾丸を受けてもラブアは怯んでいないため、弾丸の攻撃も無意味だと把握した。
「セアンとコスタが踏ん張ってる。ケアノスとライアも攻撃しているみたいだ。俺たちも行こう」
「ええ。こんな所で止まっていたらダメ!」
その後、カイトとラージュは急いでラブアに攻撃をするため、接近した。
俺は三人称の物語を書くのが好きです。理由は主人公サイド以外の動きでいろいろと書きたいからです。敵の動きとか、敵が何を考えているのか。他の味方は何をやっているのかなど、いろいろな視点で書きたいんだけど、結構一人称の小説が多いので、そっちの方が受けがいいのかと考えてしまう。
いろいろと悩む作者が書くこの小説が面白い、気に入ってくれたら高評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお願いします!




