サマリオVSノンス
ラージュは戦いを終え、カイトたちがいる所へ移動した。ラージュを見たカイトたちはラージュに駆け寄った。
「大丈夫ラージュ? 酷い怪我……」
「ええ。何とか……」
心配するセアンにラージュはこう答えた。それからラージュもシーポリスから手当てを受けることになった。そんな中、コスタは船の方を見て声を出した。
「見て、あと少しで船が沈みそう」
この声を聞き、カイトたちは一斉に船を見た。船は衝撃を受けた時よりも、大きく沈んでいた。この光景を見たシーポリスの一部は、小さく呟いた。
「確かあそこにはまだサマリオさんが戦っているのでは」
「そうだ! まだサマリオがいるんだ!」
セアンは急いで望遠鏡を使って戦いの様子を見た。
サマリオとノンスは武器を下ろし、周囲を見回していた。慌てていた船員たちは逃げたり、鮫に食われたりして船にはいなかった。
「ここに残っているのは私たちだけのようだな」
「そのようだな」
サマリオとノンスは武器を構え、互いを睨んだ。しばらく間を置いた後、二人は同時に走り出した。
「うおおおおおお!」
サマリオは両手で剣を振り下ろしたが、ノンスは盾を使って防御し、右手で持つ剣でサマリオの腹を狙って突いた。だが、サマリオは腹を動かして攻撃をかわし、左手に魔力を溜め、火の玉を作ってノンスに向けて放った。
「むぅ!」
飛んで来る火の玉を見て、ノンスは盾に魔力を込め、バリアを発した。その結果、サマリオが放った火の玉はバリアに当たって破裂した。
「あの盾、バリアを発するのか」
「そうだ。これと魔力があれば魔力を使った攻撃を防ぐことができる」
「説明してくれてありがとう」
と言って、サマリオは盾に向かって蹴りを放った。だが、攻撃するだろうと察していたノンスは後ろに下がり、攻撃をかわした。
「やはり盾を狙ったか」
「防御を崩すのがダメージを与えるコツなのでな」
サマリオはノンスから盾をはがすために攻撃を続けたが、ノンスは後ろに下がって盾を構えた。何かをすると考えたサマリオが剣を構えた直後、ノンスは盾を投げた。
「なっ!」
「盾は防御するための物ではない!」
盾を投げることを考えていなかったサマリオは驚いたが、剣を使って盾を弾いた。しかし、魔力で作った紐が盾をつないでおり、ノンスはそれを使って盾を手元に戻した。
「かなりやり手だな」
「そうでないと、服船長の座には付けないさ」
ノンスはそう言って、剣を構えてサマリオに斬りかかった。サマリオは剣を構え、斬りかかってきたノンスに挑んだ。
「うおおおお!」
ノンスは剣を振り下ろして攻撃を仕掛けた。サマリオは剣を使って攻撃を防御し、剣を動かしてノンスの体勢を崩した。その隙にサマリオは魔力を解放して剣を振り下ろし、ノンスにダメージを与えた。
「グハァ!」
「ふぅ……まずは一発」
床に倒れたノンスを見て、サマリオは呟いた。だが、ノンスはすぐに立ち上がった。
「傷を受けたが……まだ倒れないぞ」
「確かにな」
ノンスは近くにあった木片を手にし、サマリオに向けて放った。サマリオは剣を振るって木片を弾き、ノンスに接近しようとした。だが、そう来るだろうと考えていたノンスはにやりと笑った。
「あの木片に触ったな」
「それがどうした」
サマリオがこう言うと、木片から魔力を感じた。その時、サマリオは察した。ノンスはただ木片を投げただけではなく、溶けたチーズのように伸びる魔力を作り、サマリオにくっつけるように仕掛けたのだ。
「何をするつもりだ!」
「こうするのだ!」
ノンスはサマリオにくっついていた魔力を縮めた。サマリオは剣を使って木片を斬ろうとしたが、その前に木片が凍った。
「何!」
「切り裂かれろ!」
ノンスの叫び声の直後、刃のように鋭い氷になった木片がサマリオを襲った。
「グアアアッ!」
攻撃を受けたサマリオは後ろに倒れてしまった。すぐに立ち上がろうとしたが、木片が命中したのは右足の太もも。動かそうとしたが、激痛が走った。
「まずい……深く斬られたか」
サマリオはすぐに治療しようとしたが、ノンスが武器を持って迫ってきた。
「治療などさせるか!」
と言って、サマリオに向けて剣を突き刺した。サマリオは体を回転させて攻撃をかわしたが、ノンスが剣を床に突き刺した瞬間、氷の刃が上から現れ、サマリオの全身を切り裂いた。
「グファァッ!」
「私の魔力は水。凍らせて鋭い刃になることはお前も知っているが……それと同時に、いろんな物を凍らせることができ、それを利用できる。お前は運がない、下が海だったから……地の利は私にあるな」
得意げにノンスはこう言った。傷だらけのサマリオは立ち上がり、剣を構えた。
「ほう。傷だらけになってもまだ戦うか。流石、シーポリスの大佐」
「この攻撃を受けて倒れるわけにはいかない。それと……私はまだ本気を出していない」
「何?」
にやりと笑うサマリオを見て、ノンスは少し動揺した。
戦いの様子を見ていたカイトは、傷だらけのサマリオを見て不安に思っていた。
「サマリオさん、大丈夫か? かなり傷まみれになってるぞ」
「私もあのサマリオを見て不安だよ。初めてだよ、あんだけ傷だらけになったサマリオ」
セアンも不安を口にした。だが、メリスはこう言った。
「大丈夫です。サマリオさんは本気を出していません。今から、本気を出すつもりですよ」
この言葉を聞き、カイトはメリスの方を向いた。
「あれ? 本気を出していないのか?」
「はい。この先また大きな戦いがあると考えて魔力を抑えていたのだと思います」
「納得。だからいつもと動きが違うのか」
と、セアンが呟いた。その言葉を聞いたカイトは、思わずセアンにこう聞いた。
「なぁ、サマリオさんの本気ってどれだけ強いんだ?」
「えー? 忘れたの? サマリオは私たちを鍛えてくれたんだよ」
「そうだ……サマリオはセアンたちの師匠的な存在だったな」
カイトはこのことを思い出し、少し安心していた。
サマリオの魔力を感じ、ノンスは冷や汗をかいていた。
「さぁ、行くぞ!」
サマリオは剣を持ってノンスに接近した。この時の動きがかなり早く、ノンスの目でも追うことはできなかった。
「なっ……早い!」
「うおおおおおお!」
叫び声を上げながら、サマリオは素早く剣を二回振るった。ノンスはこの攻撃を受け、後へ吹き飛んだ。
「ガフゥッ!」
空中で態勢を整え、着地したノンスだったが、着地した際に傷が広がり、血を吐いてしまった。
「まずい……この傷は……」
ノンスは早く傷を治癒しようとしたが、その前にサマリオは指を鳴らした。その瞬間、切り口から火が発した。
「うおおおおおお! 追い打ちを仕掛けるつもりか!」
「悪には容赦しない。このまま焼けてしまえ」
悲鳴を上げるノンスを見て、サマリオは冷静にこう言った。ノンスは手を振り回して火を消そうとするが、火は消えなかった。その後、ノンスは一か八かと思いながら、海へ飛び込んだ。
「なっ! おい、止めろ!」
鮫がいる海に飛び込んだノンスを見て、サマリオは思わず叫んだ。だが、鮫の尾ひれが現れ、ノンスが飛び込んだ場所へ近付いた。鮫に食われて死んだかと思ったサマリオだったが、海の中から魔力を感じた。
「まだ生きていたか!」
サマリオがこう言った直後、海の中からノンスが現れた。海の中に入ったため、傷口から発していた火は消えていた。
「さぁ……戦いを続けようか」
「まだやるつもりか」
「ああ。どちらかが死ぬまで戦いは続く。これが海の上での戦いだ!」
ノンスはそう言って、近くに落ちていた自分の剣と盾を拾い、サマリオに向かって走って行った。
この作品も連載開始して半年ぐらいが経ちました。今だに感想とかないので、ちょーっと焦っています。だけどま、地味にゆっくりとコツコツやって行けばきっといいことがあると思っています。ま、気長にやります。
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