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メリス&コスタVSゴマゴ その2


 ゴマゴから強烈な攻撃を受けたメリスは離れ小島に向かって飛ばされた。ダメージを回復するために動いたメリスだったが、とどめをさすためにゴマゴが現れた。この様子を察したコスタは急いで移動しようとした。そんな中、ツリーが現れた。


「ツリーさん! 今までどこにいたんですか!」


「怖いから隠れていたのよ! それより、メリスがやばいんでしょ? あそこに車があるからそれを使って早く向かって!」


 と言って、ツリーは急いで車を指差した。コスタはありがとうと言って、周囲にいるシーポリスの戦士にこう聞いた。


「誰か、車を運転できる?」


「自分ができます!」


 一人の戦士が勢いよく手を上げてこう言った。コスタはその戦士に運転を頼み、急いでメリスが吹き飛んだ離れ小島へ向かった。




 ゴマゴの強烈な攻撃はメリスに襲い掛かっていた。メリスは攻撃をかわすが、激痛を感じるため、体を上手く動かすことはできなかった。


「ぐ……このままじゃ……」


 逃げるたびに体力を消費し、いずれ動けなくなると察したメリスは、死を覚悟した。ゴマゴは笑いながらメリスに近付き、拳を振り上げた。


「さぁ、覚悟するがいい!」


「お前が覚悟しろよ、デカブツ」


 突如、カイトの声が聞こえた。メリスがどうしてと思った瞬間、カイトが放った巨大な氷がゴマゴに命中し、海へ着き飛ばした。


「人が休んでいる時に騒がしいデカブツだな……海に入って冷静になりやがれ……」


「カイトさん! どうしてここに?」


 カイトはメリスの方を向き、息を吐いてこう言った。


「メリスと同じ理由かもしれない。戦っている時にここまで吹き飛んだ。決着はついたけど、疲れたからここで休んでた」


「そう……なんですね……」


 メリスが返事をした後、カイトはその場に倒れた。


「ごめん、さっきの魔力で限界だ。もう少し休む……」


「そうはさせるか小僧!」


 突如、海の中からゴマゴが現れ、カイトを掴んだ。メリスはゴマゴの腕を斬ろうとしたが、ここで剣が壊れたことを思い出した。


「そうだ……あの時……」


「フハハハハ! 剣を持たぬ小娘はただの小娘! 俺の敵ではない! だがまずは、ヤーソンを倒した死にかけの小僧から始末する!」


 と言って、ゴマゴは強くカイトを握った。メリスは魔力を使って風を発し、ゴマゴに攻撃をしたのだが、効果はなかった。


「そんな……私の風が……」


「どうだ? 自分自身の無力さを感じただろう! 後でお前も殺してやる!」


 ゴマゴはメリスにそう言った。だが、攻撃を受けているカイトは笑みを作っていた。


「おいデカブツ。勝利を確信したみたいなことを言っているけど……そう簡単に悪党の思い通りにはならないんだぜ」


「何を言っている。死にかけは黙っていろ!」


 カイトの笑みを見て、苛立ったゴマゴはカイトにとどめを刺そうとした。しかし、上空から弾丸のような物が飛んで来て、ゴマゴに命中した。


「グウッ! 何だこれは……」


 弾丸のような物を受けたゴマゴは急いでそれを抜き取り、物を調べた。それは注射器のような物だった。ゴマゴはそれを地面に投げ捨てて、足で踏みつけて破壊した。上を見ると、そこにはスナイパーライフルを構えたコスタがいた。


「ふざけた真似を! あいつら……まだ生きていたのか!」


 ゴマゴはカイトを投げ捨て、コスタに狙いを定めて火の玉を放とうとした。しかし、突如体の力が抜けた。


「な……何でだ……体の力が……」


「デカブツ、一ついいことを教えてやる。コスタは普通のライフル弾とは別に、いろんな弾丸を持っている。煙が発する弾や、毒薬が入った弾もあるぜ」


 この言葉を聞き、ゴマゴは察した。あの弾丸には力が抜ける毒薬が入っていたのだと。


「クソ! こんな薬ごときに……」


 毒薬が体中に回りだしたのか、ゴマゴは苦しそうに息をし始めた。しばらくして、ゴマゴの体が緩みだした。そのことを察したメリスは、右手に魔力を発して風の刃を作り出し、苦しむゴマゴに接近した。


「これを受けなさい!」


 メリスは叫びながら風の刃を振るった。風の刃はゴマゴの体を切り裂き、無数の傷を与えた。


「ギャアアアアアア! 痛い……助けてくれェェェェェェェェェ!」


 傷を受けたゴマゴは、悲鳴を上げながら周囲を転げまわった。剣の刃さえ通らないほど硬かった皮膚が、今は柔らかくなっていた。そのことを察したメリスは、コスタが撃った毒薬入りの弾丸は、命中した相手の筋肉を柔らかくするものだと思った。


「運がなかったわね、あなた。筋肉を柔らかくする毒薬を打たれて、こうなるなんて思ってもいなかったでしょ?」


 メリスは風の刃を構えながらゴマゴに近付いた。ゴマゴは立ち上がり、メリスに殴りかかったが、力を失った拳に威力はなかった。


「そんな……ここまで力が落ちるなんて……」


「その立派な筋肉も、今は脂肪の塊ね。これでもう……あんたは戦えないわ!」


 メリスはそう言って、もう一度風の刃を振り回した。ゴマゴは悲鳴を上げながら助けてくれと叫んだが、メリスは攻撃の手を緩めることはしなかった。


「ギャアアアアアア! もう止めてくれ! 今までお前たちにしてきたことは謝るから!」


「頭を下げても、土下座をしてもあなたを許しません! 覚悟してください!」


 風の刃を振り回すメリスは、最後の一撃で魔力を込め、力を込めて風の刃を振り下ろした。風の刃はゴマゴを一閃し、地面に激突して激しい衝撃波を発した。


「グッギャァァァァァァァァァァァァァァァ!」


 衝撃波に飲まれたゴマゴは、全身の切り傷から血を流しながら宙を飛び、遠く離れた岩に激突した。その後、その岩は音を立てて崩れた。


 戦いが終わった。そう思ったメリスは安堵の息を吐き、その場に座り込んだ。


「やった……勝った……」


「メリス!」


 心配したコスタが、メリスの元へやって来た。その後に続くように、シーポリスの戦士たちもやって来た。


「大丈夫ですか、メリスさん!」


「怪我が酷い……一度手当の方をしましょう!」


「カイトさんも一緒に! さぁ、上へ飛びますよ!」


 シーポリスの戦士たちとコスタはカイトとメリスを担ぎ、ツリーがいる車の元へ飛び上がった。ツリーは傷だらけのカイトとメリスを見て、悲鳴を上げた。


「キャアアアアア! 傷まみれ! 急いで手当てをするからそこで座ってて!」


 ツリーはそう言って急いで救急箱を取りに行った。メリスは戦いが終わったことを感じ、もう一度安堵の息を吐いた。だが、使っていた剣が壊れたことを思い出し、まだまだ自分は弱いと察した。




 シーポリスの牢屋にいるタカイハは、目の前で繰り広げられる惨劇を見て震えていた。青年は見張りのシーポリスを惨殺した後、カイトたちが捕らえたワンシたちに斬りかかったのだ。


「頼む……止めてくれ……俺ちゃんが悪いから……」


 と、泣きながら命乞いをするティンパの声が聞こえた。だが、しばらくして剣を振り下ろす音と、ティンパの悲鳴が聞こえた。


「オイオイ……嘘だろ……どうして……あの人が……」


 タカイハがこう言った後、オロスはため息を吐いた。


「しくじった奴の運命なんだろ。これが……どうしてあのお方が動いたのかは知らないが」


 死を覚悟しているオロスに対し、タカイハはこう言った。


「俺はまだ死にたくねぇ! こうなったら、意地でもここから抜け出してやる!」


 と言って、タカイハは立ち上がって逃げようとした。その直後、青年が牢屋の扉を開け、中に入ってきた。


「逃がしませんよ。情報漏洩をした人は始末する。これが僕たちのルールです」


 青年の言葉を聞き、タカイハは大声でこう言った。


「俺は言いたくて喋ったわけじゃねぇ! 奴らの自白剤で……」


「理由はどうであれ、喋ったからには始末します。すみませんね」


 と言って、青年は剣を持ってタカイハに近付き、何度も剣を振るった。しばらくして、細切れになったタカイハの破片が地面に落ちた。オロスは青年の方を見て、小さく呟いた。


「死ぬ前に、どうしてあなたが……ガーティブ様が動いたのか教えてください」


 オロスの質問を聞き、青年、ガーティブは答えた。


「探し物を探しに別の所へ行ったんですが……無駄足でした。ここに来たのは、ついでです」


「ついで……ですか。俺とタカイハは、運がなかったってことですね」


「すみません、そういうことだと思います。では……」


 と言って、ガーティブはオロスに向かって剣を振り下ろした。


 今回の章で出てきた新キャラ、ガーティブは今現在でいろいろと謎が多い強者ですが、彼の正体は後々明らかにします。ネガティブなのに自分の剣の腕に自信を持っているといういろいろと矛盾している性格です。何気に気に入っています。


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