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トリガミヤワー海賊団との決戦に向けて


 サマリオは密偵能力が高い二人の部下に、トリガミヤワーの隠れ家を見張らせていた。サマリオの考えとして、トリガミヤワーは騒動があったから、取引を諦めて逃げるだろうと予測していた。しかし、現実はその逆だった。


「サマリオ大佐の予想が外れたな……」


「ああ。あいつら、逃げるつもりじゃないのか?」


 二人の部下は望遠鏡でトリガミヤワーの海賊船を見て、小さな声で話をしていた。部下は携帯を取り出し、サマリオに連絡を始めた。


「大佐。あいつらは逃げる気配がありません」


「そうか……私の予想が外れたな。一度戻れ。もう一度作戦を練り直す」


「分かりました。では、すぐに戻ります」


 会話を終え、二人の部下は急いでサマリオの元へ戻った。




 数時間後、サマリオはカイトたちを会議室に集合させ、作戦会議をしていた。


「あいつらが逃げないということは、恐らく私とセアンがディスターソースと戦っている時に、ゼニマーネの隠れ家や車から武器を奪った可能性が高い」


「戦力があるから、逃げないってことね」


 セアンがそう言うと、サマリオは頷いた。


「そうだ。逃げることも可能だが、追われ続けることが嫌なら、ここで叩けばいいと奴らは考えているのだろう」


 サマリオの言葉の後、ツリーがこう言った。


「それじゃあこちらから何もしなかったら相手は動かないんじゃない?」


「ダメだ。奴らから襲ってくる可能性がある。町中での戦いは避けたい。また無関係の人が巻き込まれる」


 オロスとの戦いを思い出していたのか、サマリオは強い口調でツリーに言葉を返した。ツリーはすみませんでしたと小さく呟き、席に座った。カイトは立ち上がり、サマリオにこう聞いた。


「それじゃあ戦いはこちらから仕掛けるって考えでいいんですか?」


「カイト君の言う通り、こちらから攻める。だが、今の奴らはゼニマーネから受け取るはずだった武器を持っている。真正面から突っ込めば大きな痛手を負う可能性がある」


「確か、改造ライフルがあるって言ってたわね」


 ラージュは夜の取引のことを思い出した。カイトはその言葉を聞き、少し考えてこう言った。


「それじゃあ奇襲した方がいいかな?」


「そうだな。私もカイト君と同じ考えだ。とりあえず、これを見てくれ」


 と言って、サマリオは机の上に地図を広げた。そこにはトリガミヤワーが隠れている岩場の地図が描かれていた。


「これって奴らがいると思われる場所の地図?」


「そうだセアン。それと、写真も見てくれ」


 サマリオは地図の周囲に写真を置き、説明を続けた。


「この写真は周辺を写したものだ。スナイパーや魔力による遠距離攻撃を使える者は、そこにいて援護をすると考えてほしい。そして、これを見てくれ」


 そう言って、サマリオは新しい写真を机の上に置いた。その写真にはトリガミヤワーの海賊船が写っていた。


「これが奴らの海賊船? 派手な色合いだけどセンスがないわね」


 海賊船を見たコスタは、ため息を吐いて呟いた。ケアノスもその言葉に同調し、頷いていた。


「奴らの海賊船の上には岩場がある。魔力を持ち、接近戦が得意な者は上から奇襲を仕掛けることができる」


「そうね。そこから襲えば奴らも驚くかも!」


 と、ライアが笑顔でこう言った。だが、サマリオは首を振っていた。


「奇襲がうまくいくかどうかは分からない。奴らも夜の取引との戦いで、それなりの戦力が削られたが、奴らは強い。セアンたちはその辺を理解しているはずだ」


 サマリオの言葉を聞き、セアンたちは頷いた。カイトも毒手使いから攻撃を受け、大きな痛手を負った。


「うん。次は苦戦しないように頑張る」


「頼んだぞ皆。それと、次の戦いは私も行く。総力戦で戦うから、きつくなったら私たちを頼れ」


 サマリオがこう言った後、周りのシーポリスやメリスが、カイトたちに温かい視線を送った。セアンはメリスたちを見回し、こう言った。


「ありがとう。私たちも頑張るけど、もしきつくなったらよろしくね」


「なーに言ってんだ!」


「頑張るのはセアンたちだけじゃない! 俺たちシーポリスもいるぜ!」


「俺たちより強いけど、任せっぱなしじゃあダメだからな、俺たちもいるから安心しろい!」


 などと、シーポリスの戦士たちが言葉を送った。メリスはセアンに近付き、こう言った。


「私も戦うわ。だから、頼って」


「うん。分かった」


 と言って、セアンはメリスの手を握った。そんな中、ツリーは恐る恐るサマリオにこう聞いた。


「ねぇ。もしかして私も戦わないといけないって感じ?」


「そうだ。今回の作戦は総力戦だ。お前も行くんだよ」


 サマリオの答えを聞き、ツリーは目と口を開けて驚いた。


「ええええええ! 私も行くの? どう見たって私は派手な戦いに向いていないけど!」


「お前は人より魔力が使えるだろ。援護ならできるはずだ」


「でもでもー、私はどっちかって言ったら、裏方で皆を励ますマスコットキャラやアイドル的な存在だよ?」


「お前はそんなキャラじゃない」


 サマリオは無理矢理ツリーとの会話を終わらせ、大声でこう言った。


「作戦開始は明日だ! 今から準備をしてくれ!」


 その後、カイトたちは急いで明日の準備を始めた。




 その日の夜、支度を終えたカイトはベッドの上にいた。また激しい戦いが始まる。だが、この戦いに勝利すれば今回の騒動が終わると思った。


「さて……気合入れ直さないとな……」


 小さくそう言ってあくびをしたカイトだったが、横に人の気配がした。カイトはため息を吐き、振り向きながら口を開いた。


「またかセアン。ヴィーナスハンドの寝室じゃないんだから、あまり人のベッドの上に入るなよ」


「ごめん、私」


 何と、カイトのベッドに入って来たのはセアンではなくコスタだった。驚いたカイトだったが、コスタは話を続けた。


「カイト……少し、話を聞いてほしいの」


「話? 何の話だ?」


「明日のことが不安なの」


 コスタの返事を聞き、カイトはコスタの目を見た。


「不安か……確かにそうだな。どんな戦いになるか、生きて帰れるか俺も不安だよ」


「そっちの方も不安だけど……私は、誰かが死なないか不安なの」


 この言葉を聞き、カイトはケアノスから聞いていた話を思い出した。夜の取引の時、コスタと戦っていた敵が体力の使い過ぎで力尽き、死んでしまったと。


「あの時……私は敵のおばあさんに本気を出させすぎた。そのせいで、その人は死んだ……セアンが励ましてくれたけど……やっぱり……そのことが忘れられないの」


「コスタ……」


 涙目になっているコスタをカイトは抱きしめた。いきなりカイトから抱きしめられたため、コスタは動揺した。だが、抱きしめただけでカイトは何も言わなかった。


「カイト?」


「ごめん……なんて励ますか言葉が見つからない。でも、気が済むまで俺がそばにいてやる」


「ありがと……何も言わなくても、それだけで十分だよ……」


 コスタはカイトの背中に手を回し、強く抱きしめた。それから、二人は抱き合い流れ眠った。それをこっそり見ていたセアンは小さく呟いた。


「コスタ、まだあのことを重く受け取っていたのね。あれで気が済めばいいけど……羨ましい」


「バカなことを言ってる暇があるなら、さっさと寝なさい」


 セアンの言葉を聞き、呆れたケアノスはセアンにこう言った。セアンは小さく返事をし、目をつぶってすぐに眠った。




 同時刻、ガーティブは安い宿屋の中で、携帯を使って誰かと連絡をしていた。


「分かりました。では、明日は僕の独断で動きます。町中で騒動がなければいいんですが……もし騒動に巻き込まれても、僕の考えで解決させます。ですが、やることはやるので安心してください。ボス」


 ガーティブはそう言って電話を切り、あくびをした。


 トリガミヤワー海賊団とのバトルは久しぶりに海の上での戦いです。海賊がメインの話なのに、海上戦がなかったね。反省してまーす。


 このネタを知っている人は無言を貫いでください。広がるとなんかやばいので。


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