いざ、トリガミヤワー海賊団の元へ
ゼニマーネの取引相手で、ブラッディクローとの関りがある海賊、トリガミヤワーの居場所が分かった。セアンはすぐに動きたいと思ったが、戦いの怪我が完全に治っていないため、動くのは少し先になると思っていた。
「あーあ、こんな怪我がなければすぐに動くんだけどなー」
「だったらディスターソースとの戦いをシーポリスに任せて、じっとしてればよかったじゃない」
ケアノスはため息を吐きながら、セアンにこう言った。そんな中、カイトは少し起き上がって指を動かしていた。毒を受けた影響で体全体が重くなったような気分があり、体を動かすと関節部分に痛みが走っていた。だが、今は体に重さは感じず、関節部分に痛みはなかった。
「そろそろ治ったかな。毒が消えたのかな」
「マジで! よかったじゃんカイト! あの戦いの後、ずっと苦しそうな顔をしてたから心配してたよー!」
カイトの言葉を聞いたライアは、カイトに近付いてこう言った。ラージュは安堵の息を吐き、カイトに近付いた。
「解毒剤が効いたようね。でも、もう少し休んでね。まだ、完全に治ったってわけじゃないから」
「ああ。トリガミヤワーとの戦いまで治ればいいけど……」
ラージュにそう答えながら、カイトは自分の手を見ていた。
ジョンキーから外れた大きな岩場がある場所にて。岩場に隠れるような形でトリガミヤワーの船が停泊していた。船長のラブアは船長室でため息を吐いていた。
「で、結局ゼニマーネの取引は失敗と言うわけか」
部下から連絡を聞いたラブアはため息を吐き、部下に去るように告げた。ゼニマーネが捕まったことを聞いたため、シーポリスの取り調べでゼニマーネがここの居場所を吐いたと考えたラブアは、ここから逃げようと考えた。だが、別の部下が部屋に入ってきた。
「船長、お話があります」
「何だ? 一度この場から逃げるぞ。ゼニマーネが俺たちの居場所を吐いたと思われるから、すぐに逃げないとシーポリスがやって来るぞ」
「逃げる必要はないと思います。これを見てください」
部下はラブアに外に出るように告げた。ラブアは外に出てみると、そこにはゼニマーネの取引で入手しようとしていた改造ライフルや、他の武器が大量にあった。それを見たラブアは驚き、部下に尋ねた。
「これは一体? どこから入手した?」
「ゼニマーネの隠れ家です。取引が失敗した後、俺と別の奴らでゼニマーネの隠れ家を張っていたんですよ。シーポリスの連中がいたんですが、町で騒動があったため、そっちの方へ行った隙に奴の隠れ家の中に入って、取引で入手するつもりだった改造ライフルや、他の武器を拝借したってわけです。それと、奴がシーポリスに追われる中、奴の車を拝借してきました。車の中にも、武器がたくさんありました」
「盗んだというわけだが……今、奴はブタ箱の中。使うとしたら俺たちで使ってやろう。とにかくでかした! これさえ武器があればシーポリスが襲って来ても太刀打ちできる!」
大量の武器を見て、ラブアは笑い始めた。その後、武器が入った箱を見て、部下に武器を渡していた。そんな中、ラブアは宝石のような物を見つけた。
「何だこれ? ゼニマーネの奴、間違えて宝石をここに入れたのか?」
「あ! それも武器ですよ船長!」
部下の一人が声を上げてラブアの元に近付いた。ラブアはその部下を見て、あることを思い出した。
「そうか、お前はあの取引の時に運良く逃げられた奴だな。これが何なのか知っているのか?」
「こいつはアップボディと言う不思議な道具です。魔力を使えば何か起こるって言ってたような気が……まぁ、武器には変わりありません」
「そうか。まぁ、これは俺が持っておこう」
話を聞いたラブアはアップボディをポケットに入れた。
数日後、カイトたちの怪我は完全に治った。カイトはセアンとケアノスと共に町を歩いていた。
「怪我と毒が完全に治ってよかったわね」
「ああ。ラージュが作った解毒剤のおかげだよ」
そう話すカイトとケアノスだったが、セアンは不機嫌な顔をしていた。ケアノスはセアンの顔を見て、ため息を吐いた。
「そんな顔をしないの」
「だってカイトを連れて出かけようと思ったのに、ケアノスが付いてきたから……」
「当たり前でしょ。あんた、またカイトを連れて変なホテルに入ろうとしてたんでしょ?」
そう言いながら、ケアノスは赤い丸が付いた周辺の地図をセアンに見せた。赤い丸には、ホテルの名前が書かれていた。
「このホテル、全部エッチなホテルでしょ?」
「うぐっ!」
考えていたことがばれ、セアンは言葉が詰まった。カイトはケアノスがいてくれてよかったと心の中で呟きつつ、セアンとケアノスと一緒に散歩を続けた。その時、カイトの肩が誰かとぶつかった。
「あっ、すみません」
反射的にカイトは謝ったが、その青年は物凄い速さで土下座の姿勢になり、何度も頭を地面に下げ始めた。
「すみませんすみませんすみません。肩が当たってしまいました。怪我はありませんか? 骨にひびは入っていませんか? 骨は折れていませんか? 複雑骨折はしていませんか?」
何度もすみませんと言いながら猛スピードで頭を上げ下げする青年を見て、カイトは慌てながらこう言った。
「大丈夫です。たかが肩が当たっただけじゃないですか。そんなんで骨に異常は起きませんよ」
「低確率で折れる可能性があります」
青年の言葉を聞き、カイトはこの人、どれだけネガティブ思考だと思った。
「大丈夫です。そんなことを気にしていたらこの先生きていけませんよ。俺は大丈夫なので、気にしないでください」
「そうですか……すみませんでした……」
青年はそう言って去って行った。去っていく青年を見て、セアンとケアノスは呟いた。
その後、青年はジョンキーの中を歩いていた。すると、別の男性と肩が当たった。その男性は当たった肩を抑えてうずくまった。
「あー、痛いなー。これ、本当に痛いなー。こりゃー折れたかもなー」
と、演技と分かるような言葉でこう言ったが、青年はカイトと肩が当たった時のようにすぐに土下座をし、頭を下げた。
「すみませんすみませんすみません。肩が当たってしまいました。怪我はありませんか?」
男性の連れは青年を見て、冷や汗をかいたが、すぐに我に戻ってこう言った。
「お……おいコラぁ! 俺の連れの肩が怪我しちまったじゃねーか! とにかくここじゃあ人が多いから、裏に行くぞ。付いて来い!」
「まさかあなたたちは女よりも……」
「そんな趣味はねーよ! 脅しだよ脅し! 裏で取引するぞ!」
二人組の男性は青年を無理矢理路地裏に連れ込み、壁に押し当てた。
「おい兄ちゃん、出すもん出せ」
「何を出すんですか?」
「金だよ金! お前、自分の立場を考えろよ!」
二人組の男性は呆れながらも、青年の荷物を見たが、青年はバックを持っておらず、腰には立派な剣が携えてあるだけだった。二人組の男性はその剣に目が行き、手を伸ばした。
「いい剣持ってんじゃねーか……チーッとぼろいが、それなりに金になるだろう」
「それ、僕の剣です。返してください。それとあなた、怪我、してませんね」
青年の言葉を聞き、肩が当たったと言っていた男性は冷や汗をかいた。
「う……うるせー! とにかくこの剣は俺の物だ!」
「いいえ。すみませんが、これは僕の剣です。返してもらいます」
青年は男性が持っている剣を奪い取り、素早く剣を振るった。動かなくなった相棒を見た男性は、恐る恐る相棒に触れた。
「おい、どうして何もしないんだよ。今のあいつ、隙だらけだから殴ることが……」
触れた瞬間、相棒の上半身は斜めにずれ、それから体の所々がずれ落ちた。青年がやばい奴だと察した男性は逃げようとしたのだが、青年は剣を振るって逃げた男性を切り裂いた。二人組の男性のバラバラ死体を見ながら、青年は小さく呟いた。
「すみません。こんな残極な手で殺してしまって。でも、先に手を出したあなたたちも悪いんですよ」
そう言った後、青年の携帯端末が鳴り響いた。青年は携帯画面を見て、ため息を吐いた。
「はぁ、またあの人からか」
そう呟くと、青年はこう言った。
「どうも、ブラッディクローのガーティブです」
そろそろトリガミヤワー海賊団との戦いの話が終わりますが、まだラストバトルまでのストック溜めはできていません。まだそこまで書いてない。早く書けるように頑張ります。
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