表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/430

サマリオVSオロス


 魔力を開放したオロスは、サマリオに向かって走り出した。サマリオは剣を持ち、刃に炎を発した。それを見たオロスは驚きつつも、笑いながらこう言った。


「これは驚いた! シーポリスの大佐様も俺と同じ火の魔力を使うのか!」


「火の魔力が私の適正魔力でな」


 オロスの言葉に対し、サマリオはそう答えてオロスに斬りかかった。オロスは槍を振り回してサマリオの剣を弾こうとしたのだが、直感で槍での防御は無駄だと感じ、高くジャンプして後ろに下がった。サマリオの斬撃は外してしまったが、剣が振り下ろされた際に周囲に熱風が舞った。


「ウオッ! ま……まずかったな……あれを喰らったら……」


 オロスは熱風を浴び、その熱を感じていた。少し離れた所でも熱を感じるため、今のサマリオの剣から発している炎の熱はかなり高く、その状態で斬られたら熱で体に深い切り傷ができてしまうと考えた。


「私の一撃がどれだけか、察したようだな」


「これだけ熱い風を受けたからな。こりゃーまずい」


 このまま正攻法で戦ったら確実に負ける。そう思ったオロスは猛スピードで逃げ始めた。


「逃げるつもり……ではないな」


 オロスは何か策がある。そう考えたサマリオはオロスの後を追いかけた。オロスが逃げた先は、人がたくさんいる広場だった。突如槍を持ったオロスが現れたため、町の人々は一斉にオロスに注目した。


「何だ、あいつ? 槍を持ってこんな所に来やがった」


「オイオイ。まさかここで暴れるつもりか?」


「誰か、シーポリスを呼んでくれ! 強そうな戦士でもいいぞ!」


 騒ぎ始めた人々を見て、オロスはにやりと笑った。オロスは近くにいた女性に腕を伸ばし、自分の前に立たせた。女性は悲鳴を上げたのだが、オロスは悲鳴を聞いても怯まず、サマリオに向かってこう言った。


「大佐様よぉ! この状態で俺を攻撃できるかな? やれるもんならやってみろ!」


 盾にされた女性を見て、サマリオはうろたえた。オロスは女性を盾にしたままサマリオに接近し、サマリオに向かって蹴り飛ばした。


「おっと! 大丈夫ですか!」


 サマリオはすぐに女性にこう言ったが、次にオロスがどんな行動をするか把握し、すぐに女性をどかした。オロスはサマリオの隙を奪い、槍を突いて攻撃しようと考えていたのだ。その結果、オロスの槍はサマリオの腹に命中していた。


「フフフ……これで終わりだな、大佐様!」


 槍がサマリオの腹に刺さったことを確認したオロスは、更に奥深く槍を突き刺そうと力を込めた。だが、槍は動かなかった。


「な……あ……どうして槍が……」


「刺さった瞬間に腹に魔力を開放させた。そのおかげで、槍の矛先に小さなバリアができ、これ以上刺さらないようになったのだ……」


「グッ! じゃあこれでどうだ!」


 オロスは槍の矛先に魔力を発し、破裂させてサマリオを爆殺しようとした。だが、その前にサマリオは後ろに下がった。サマリオが槍の矛先から抜けたことを知り、オロスは魔力を抑えた。


「しぶといな。まだやるつもりかよ」


「お前を倒すまでやるつもりだ」


「へへへ。それならいいや。だったらお前を殺してこの戦いを終わらせてやる!」


 二人は話を終えた後、魔力を開放して同時に飛び上がった。サマリオは建物の屋根の上に移動し、オロスは追いかけるように屋根の上に移動した。


「逃がすかよ!」


 オロスは屋根の上に着地したと同時に槍を振り回し、サマリオに攻撃した。サマリオは剣を使って槍の攻撃を防ぎ、隙を見てオロスの腹に蹴りを放った。オロスは両手で槍を使っていたため、この蹴りを防御することができず、後ろに吹き飛んだ。


「グッ! クソ野郎が!」


 吹き飛んだオロスはすぐに立ち上がり、追撃を放とうとしたサマリオに向かって槍を振り下ろした。サマリオは剣を右手に持ち替えて槍の攻撃を防ぎ、左手を前に突き出して魔力を発し、そこから火の玉を発した。


「まずい!」


 オロスは横にジャンプしてサマリオが発した火の玉をかわしたが、そのせいで屋根の上から落ちてしまった。しかし、上手く着地したオロスは別の屋根の上に上がり、槍を振り回した。


「遠距離戦で行くつもりかよ。ならこっちもその気で行くぞ!」


 オロスがそう言うと、周囲に火で作られた竜巻が発した。オロスは火の竜巻をサマリオに向けて放った。


「ハーッハッハ! こいつを対処できるもんならやってみろ!」


 オロスの高笑いを聞きつつ、サマリオは迫る火の竜巻をどう対処するか考えた。


 今のサマリオには火の竜巻を対処できる体力と魔力がある。だが、近くには広場があり、火の竜巻を斬っても分裂して、広場にいる人々に被害が及ぶ可能性がある。


「まずいな……仕方がない」


 サマリオは安全に火の竜巻の処理をするため、自ら火の竜巻に突っ込んだ。それを見たオロスは笑い出した。


「マジかよ! シーポリスの大佐様も案外間抜けだなぁ! 自分から竜巻に突っ込むとは思ってもいなかったぜ!」


 火の竜巻に飲み込まれたサマリオはその高笑いを聞きながら、竜巻の中で魔力を開放した。強い魔力で放たれた衝撃波は、火の竜巻をかき消した。それを見たオロスは驚いたが、息を上げるサマリオを見てにやりと笑った。


「竜巻の中に入って、魔力の衝撃波でかき消すのは驚いたが、そのおかげで魔力が減ったようだなぁ」


「それなりにな」


 サマリオは深く呼吸し、剣を持った。オロスは戦う気がまだあるサマリオを見て、あることを思った。


「真面目に戦うつもりだが……俺にはそんな気はない」


 と言って、オロスは猛スピードで広場に向かって走り出した。サマリオは再び広場で暴れ、無関係の人々を襲うつもりだと考えた。


「腐れ外道が!」


 オロスの考えた選択、そしてその行動を察したサマリオは怒りを見せつつ、オロスの後を追いかけた。


 オロスはこの戦いに無関係な人を巻き込めば、サマリオはその人を助けるために動く。その時、人命救助に意識が行っているため、大きな隙ができると思ったのだ。


「シーポリス様も大変だな。無関係な奴を巻き込めば、大変なことになるからなー」


 そう呟いた後、オロスは再び広場に到着した。オロスの姿を見た人々は再び驚いたが、オロスは魔力を開放し、無数の火の手を作って人々を捕まえた。サマリオが広場に到着した時は、すでに多数の人がオロスの火の手によって捕らえられていた。


「よー、シーポリスの大佐様。俺の準備はできたから、第二ラウンドを始めようぜ」


 怒りの形相を見せるサマリオに対し、オロスは笑いながらこう言った。




 サマリオとオロスの戦いが激化する中、タカイハとの戦いを終えたセアンは救援に来たシーポリスの手当てを受けていた。


「怪我はありませんか?」


「大丈夫だよ。多少ダメージは負ったけど、奴は自爆したから」


「自爆?」


「奴は爆発する水滴を使って攻撃をしていた。私は奴の攻撃に合わせて風を発しただけ」


「あー。それで水滴が跳ね返って爆発したんですね」


「そうだよ……」


 シーポリスとの会話中、セアンは深いため息を吐いた。タカイハの攻撃に巻き込まれた人たちのことを心配していたのだ。しばらくすると、メリスとラージュがやって来た。


「メリス。ラージュも来てくれたんだ」


「当たり前でしょ。セアンが飛び出すから……それで、町が悲惨な状況に……」


 ラージュがこう言った後、セアンはタカイハとの戦いを語った。話を聞いたラージュは返事をして、壁を殴った。メリスはラージュも自分と同じく、タカイハに対して怒りを感じているのだと理解した。すると、担架に乗せられたタカイハの姿が目に映った。


「タカイハってあいつ?」


「そうだよ。ムカつくなら、一発殴ってもいいと思うよ」


「それじゃあ遠慮なく」


「私も行きます」


 ラージュとメリスは気を失っているタカイハに近付き、強烈な一撃をお見舞いした。それを見たシーポリスは、小さな声で呟いた。


「もう少し加減してくれよ。死んじゃうぞ」


 連載始めて二百話近いですが、ここでようやくサマリオのバトルシーンを書きました。一応サマリオが使う武器や魔力の設定は最初から作ってありました。ただ、サマリオのバトル回を書くタイミングがなかったので……。


 この作品が面白いと思ったら、高評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお願いします。キャラに対しての質問でもいいのでコメントお願いしまーす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ