表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/430

ゼニマーネを追いかけろ!


 裏市場入り口でゼニマーネを見つけたラージュとサマリオは、逃げ出したゼニマーネを追いかけた。ゼニマーネは自転車を奪い取って逃げていたのだが、魔力も体力も倍以上のラージュとサマリオはあっという間にゼニマーネに追いついた。


「つっかまーえた!」


 ラージュはゼニマーネの後頭部を掴もうとしたが、何かが取れる感覚がした。ラージュは尻もちをついて転倒した。


「いたた……一体何なのよもう」


「あいつ……カツラだったのか」


 サマリオはラージュが手にしている物を見て、目を丸くして驚いていた。サマリオの言葉を聞いたラージュは、自分が何を手にしているか確認した。


「あらまぁ。ちょっと悪いことをしたかしら」


「気にしないでおこう。だが、この騒ぎで奴を逃がしてしまった。ラージュ、二手に分かれて探そう。あとで、メリスと部下にもゼニマーネを探すよう指示する」


「分かったわ。お願い」


 話を終えた後、ラージュは先にゼニマーネを追いかけた。サマリオは端末で連絡をした後、別の方向へ向かってゼニマーネを探した。




 ゼニマーネは慣れない自転車をこぎ、裏市場から離れた所へ逃げきった。


「クッソ! あいつらのせいで秘密がばれてしまった!」


 そう言いながら、ゼニマーネは頭をさすった。その時、通りすがりの子供がゼニマーネを見て面白そうにはしゃいだ。


「あー! ハゲだ!」


「ギャハハハハハ! ハゲだ、ハゲだ!」


「つるつるだー!」


「うるせェェェェェェェェェ! 黙れクソガキ共がァァァァァァ!」


 罵倒されて、怒りが爆発したゼニマーネは隠し持っていた小型拳銃を手にし、子供たちに向けて発砲した。弾丸は子供に当たらず地面に命中したため、罵倒した子供たちに被害はなかったが、発砲音を聞いた周囲の人が悲鳴を上げた。


「あっ、ヤベッ!」


「みーつけた!」


 と、上空から大剣を構えたラージュが現れた。ゼニマーネは悲鳴を上げながらラージュの大剣から逃げ、そのまま走り出した。


「待ちなさい!」


 ラージュは猛スピードでゼニマーネを追いかけ、飛び蹴りを放って転倒させ、その時に捕まえようと考えた。しかし、その前にゼニマーネは人混みの中に入った。


「クッ、これじゃあ攻撃できない!」


 悔しそうにラージュはそう言うと、ゼニマーネを追いかけるため、人混みの中に入った。しばらく移動すると、苦労しながら移動しているゼニマーネの姿を確認した。


「見つけた」


 ラージュは小さく呟いたが、その時誰かがラージュの尻を触る感触を感じた。


「キャア!」


 いやらしい手つき尻を触れたため、思わずラージュは悲鳴を上げた。その声を聞いた周りの人はラージュの方を注目したが、後ろにいた男は悲鳴を聞いて後ろに逃げた。


「この痴漢野郎!」


 ラージュは後ろに逃げた男を睨み、飛び上がって飛び蹴りを放った。その後、ラージュは痴漢した男に上乗りし、殴り続けた。


「どう? これなら尻の感触を腹で感じることができるわよ! でもその前に四分の三ほどぶっ殺してやるわ!」


「ヒェェェェェェェ! 勘弁してくだちゃい!」


 痴漢男は悲鳴を上げながら懇願したが、ラージュはその言葉を聞かず、怒りの鉄拳を浴び続けた。数分後、ラージュによって殴られ続けた痴漢男の顔面は崩壊していた。我に戻ったラージュは周囲を見渡し、ため息を吐いた。


「しまった……やりすぎた」


 ゼニマーネを見失った後、ラージュは高い建物の上に移動し、上からゼニマーネを探した。




 サマリオはメリスたちに連絡をした後、ラージュとは別の場所でゼニマーネを探していた。


「あれから時間が経った。裏市場から離れているな」


 そう推理したサマリオは、高い建物に乗り移り、上からゼニマーネを探した。すると、光が反射しているのか、小さな点が明るく光っていた。


「あれは……」


 それを見たサマリオは、ゼニマーネがハゲだったことを思い出し、急いでそこへ向かった。


 その一方、何も知らないゼニマーネは息を切らせながら走っていた。


「はぁ……はぁ……運がよかった。ピラータ姉妹のラージュに捕まったら生きたまま解剖されるって話だからな……」


 ラージュの噂話を思い出し、ラージュに捕まったら悲惨な目に合うと考えたゼニマーネの全身に、鳥肌ができた。そんな中、上空からサマリオが現れ、ゼニマーネを抑えつけた。


「誰がそんな噂を流したかは知らないが、ラージュはそんなことはしないと思うぞ。多分」


「グアッ! き……貴様!」


 上に乗るサマリオを睨んだゼニマーネは、何が何でもサマリオから逃げようとした。しかし、サマリオはゼニマーネの背中を強く踏みつけた。


「ギャア!」


「これで動けないだろう。早くラージュか誰かと合流できたらいいが……」


 周囲を見ながらサマリオは呟いた。その時、少し離れた所で女性の悲鳴が聞こえた。


「キャー! ひったくりよー!」


「何!」


 声を聞いたサマリオは、ゼニマーネの両腕と両足を魔力の紐で縛って動けなくさせ、ひったくり犯を追いかけた。ゼニマーネは無理矢理立ち上がり、跳ねながら逃げ始めた。ひったくり犯を捕らえたサマリオは跳ねて逃げるゼニマーネを見て、追いかけた。


「待て! ゼニマーネ!」


 声を出してサマリオはゼニマーネを追いかけていると、ボロボロの服を着たホームレスの集団が現れた。それを見たゼニマーネは大声でこう言った。


「ホームレス共! あのシーポリスの兄ちゃんが金をやるってよ!」


 その声を聞いたホームレスの集団は、サマリオの方を見て一斉に近付いた。


「旦那ぁ、お恵みくだせぇ」


「わっしらを助けてください」


「何でもいい、食えるだけの金をください」


「チッ、こんな時に! 私は今仕事中だ。すまないが道を開けてくれ! それと、アイツは犯罪者だ! あんな奴の言うことを聞くな!」


 サマリオはホームレスの集団を追い払おうとしたが、その集団はしつこくサマリオを追いかけた。




 跳ねながら逃げるゼニマーネだったが、突如手足を拘束していた魔力の紐が消えた。


「ラッキー! これで逃げることができる!」


 声を上げて喜んだゼニマーネは、走り出した。何とか隠れる場所を探そうとしたのだが、サマリオの部下がゼニマーネの姿を見て叫んだ。


「見つけたぞ! ゼニマーネだ!」


「運の悪い野郎だな! ここで捕まえてやる!」


 叫んだ後、サマリオの部下はゼニマーネに向かって走り出した。今まではラージュとサマリオ、一人が相手の追いかけっこだが、サマリオの部下は大量にいた。


「うわあああああ! 数が多すぎる!」


 ゼニマーネは悲鳴を上げながら逃げ始めた。走る途中、空の樽がたくさんあったので、ゼニマーネはそれをサマリオの部下に向かって蹴って転がした。サマリオの部下は転がって来る空の樽をジャンプしたり、移動してかわしたが、次々と転がって来る樽は部下たちの行く手を阻んだ。


「ザマーミロ! テメーらはここで樽と遊んでな!」


「ここにいたぞ!」


 と、目の前から別のサマリオの部下が現れた。ゼニマーネは別の方へ逃げようとしたが、そこにもサマリオの部下がいた。逃げ場がないとゼニマーネは思った。後ろは道がなく、二階建ての建物の屋根がいくつかあるだけ。その時、ゼニマーネは前に暇つぶしで読んでいたマンガを思い出した。怪盗の主人公が、建物の屋根を飛び移りながら逃げるシーンがあったのだ。


「一か八か!」


 ゼニマーネは足に力を込め、走り出した。部下の一人が、ゼニマーネが逃げるために飛び降りると考え、声を出した。


「あいつ、飛び降りるつもりだ!」


 その声を聞いた部下たちは、ゼニマーネを止めようと思い、急いでゼニマーネを追いかけた。だが、その前にゼニマーネは柵を飛び越えて大きくジャンプした。その光景を見た部下たちは目を丸くして驚き、この光景を見ていた女性は悲鳴を上げていた。誰もがゼニマーネがどうなるか見届けていると、ゼニマーネは近くの屋根の上に着地した。


「ハッハッハー! どうだ! 昔見た怪盗のマンガが逃げるヒントを与えてくれたぞ! さらばだー!」


 ゼニマーネは勝ち誇ったかのようにこう叫び、別の屋根の上に飛び移ろうとした、しかし、屋根の上を移動した瞬間、ゼニマーネの重みに耐えられなかった屋根は崩れ落ちた。騒ぎの中、部下はゼニマーネが落下した建物の中に入り、気を失っているゼニマーネを捕らえた。


 海の警察組織、シーポリスに所属し、ピラータ姉妹の知り合いであるサマリオ、ツリー、メリスの名前の由来なんですが、由来はありません。口にした時の語感の良さ、味方っぽい名前を考えた結果です。今の敵の一人、ゼニマーネは銭とマネーの文字を合わせてできました。金にまつわる単語は敵キャラの名前を付けるのに使いやすいかもね。


 この作品が面白いと思ったら、高評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお願いします。周りの友達やXのフォロワーに面白い作品があるって言って紹介してもいいからねー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ