ミッドナイトタウンバトル カイトVSガーネ
激しい衝突音の後、カイトは後ろを振り向き、ガーネを見た。ガーネは身動きせずにその場で立っていた。しばらくして、ガーネは腹を抑えてくるしそうにカイトの方を振り返った。
「この……ガキィ……」
ガーネは吐血しながらカイトを睨んだ。この表情を見たカイトは、ガーネに決定的なダメージを与えたと思った。
「もう許さないよ! 私の毒手で……必ずお前をぶっ殺してやる!」
魔力を開放したガーネは、カイトに向かって飛びかかった。カイトは飛んで来たガーネの攻撃をかわし、隙を見て刀を振るおうとした。しかし、毒手もとい素手で戦うガーネの動きはかなり早く、隙を見つけることはできなかった。
「グッ……バーさんのくせに動きが早い!」
「ケケケケケケケ! お前より経験を積んでるんだよ私は! 隙を見つけて攻撃するだなんて、絶対にできないよぉ!」
と、ガーネは得意げに攻撃を放っていた。カイトは後ろに下がって様子を見ようとしたが、カイトの動きに合わせてガーネは高くジャンプした。
「逃がさないよ!」
宙にいるガーネは魔力を開放し、回転しながらカイトに向かって飛んで行った。
「どこの格ゲーのキャラだよ!」
カイトはそう言いながら居合の構えをし、反撃しようと考えた。
「ケッケッケ! 反撃するつもりかい? やれるもんならやってみな!」
カイトの動きを見たガーネは、笑いながらこう言った。その後、ガーネはカイトに迫ったが、動きに合わせてカイトは刀を抜いた。勢いを付けた強烈な一閃はガーネの両手に命中した。
「命中!」
手ごたえを感じたカイトはガーネを見た。両手から血を流すガーネは、カイトを睨んでこう言った。
「よくもやったね、クソガキ……」
「戦いの経験は積んでるみたいだけど、それ以上に歳を重ねたようだな。バーさん、あんたの歳いくつだ?」
「レディーに歳を聞くもんじゃないよ!」
カイトの言葉を聞いたガーネは、怒りながら魔力を開放した。ため息を吐いたカイトは、小さな言葉で呟いた。
「レディーって見た目じゃねーだろ」
「私はこう見えても耳はいいんだ! 女はねぇ、七十超えてもレディーなんだよ!」
「あんた、七十超えてんのか……」
高齢でよくここまで動けるものだとカイトは思いながら、刀を構えた。魔力を開放したガーネは両手の傷を治し、カイトに迫った。再び素早い動きがカイトを襲うが、カイトは違和感を覚えていた。
「やっぱり歳じゃないのか? さっきと比べて動きが鈍いぞ」
「黙りなクソ坊主!」
ガーネは右手の毒手をアッパーのような動きでカイトに攻撃したが、カイトは毒手をかわして刀をガーネの体に向けて振り下ろした。この一閃は命中し、ガーネは悲鳴を上げて後ろに下がった。
「グッ……やるじゃないか……」
「もう止めてくれねーか? 年老いたバーさん相手だと、加減しても殺してしまいそうだ」
カイトの言葉を聞き、ガーネは傷を治しながらこう言った。
「ケッ、ケツの青いガキが私を倒せると思ってんじゃないわよ。それと、その言葉は私に対して見下すような言葉だねぇ。ムカつくねぇ!」
「見下す? 俺はそんなこと思ってないけどな。それより、もう止めようぜ、大人しくしてくれよ」
「大人しくしろ? だったら力づくで何とかしてみな!」
ガーネは再びカイトに襲い掛かったが、素早くこの戦いを終わらせようと考えたカイトは、魔力を開放してガーネに向かって刀を振るった。ガーネは刀をかわし、カイトに向かって毒手を放とうとした。しかし、カイトは後ろに下がって攻撃をかわした。
「んなっ!」
カイトが攻撃をかわすと思っていなかったガーネは驚き、体勢を崩してしまった。その隙にカイトはガーネに接近して刀を振り上げた。
「これで終わりだ!」
カイトの攻撃はガーネに命中した。攻撃を受けたガーネは悲鳴を上げながら後ろに吹き飛び、そのまま樽の中に入った。樽の中に入ったガーネが動かないことを知り、カイトは魔力を抑え、刀を鞘に納めた。
「これで終わればいいけど……」
と、呼吸をしながらこう言った。すると、樽の中から強い魔力を感じた。その直後、樽が破裂し、中から怒りの形相のガーネが姿を現した。
「ここまで私をこけにしたクソガキは初めてだよ! お前を殺すまで、徹底的に付きまとってやる!」
「ストーカーみたいなバーさんだな。勘弁してくれよ!」
カイトがこう言った直後、ガーネは猛スピードでカイトに接近し、毒手を放った。カイトは毒手をかわしたが、頬をかすってしまった。
「ヤベッ!」
「ケケケケケケケ! 毒が命中したね!」
攻撃がかすったことを察したガーネは、笑いながらこう言った。どういうことだと思ったカイトだったが、突如目の前の光景がうねりだした。
「な……目が……」
気分が悪くなったカイトは、片膝をついて咳き込んだ。その後、カイトは吐き気を感じて何度も嗚咽した。
「毒が体の中に入ったようだね。たとえ少しでもかすっても、私の毒は相手を苦しめるんだよ。ケケケケケケケ」
ガーネはそう言ってカイトに近付いた。このままだと殺されると思ったカイトは魔力を開放し、無理矢理立ち上がった。その動きを見たガーネは驚きの声を上げつつ、手を叩いた。
「おほほほほ。魔力を使って無理矢理立ったみたいだけど、このままで私に歯向かうつもりかい?」
「その……つもりだ……」
と、カイトは苦しそうにこう言った。苦しそうに呼吸するカイトを見たガーネは、この勝負は私の勝ちだと考えていた。
「やる気ならとことん遊んであげるよ。さーて……あんたが魔力を使うんなら、私も使わないとねぇ!」
ガーネはカイトを睨みながら、魔力を開放した。カイトは攻撃が来ると思って身構えたが、再び吐き気がカイトを襲い、身構えることができなかった。その時、ガーネはカイトに向かって走っていた。
戦いを終えたセアンとコスタは、眠っているケアノスを連れて安心な所で休んでいた。
「皆、無事かな?」
「多分大丈夫だと思うけど……最悪なことを考えて。誰か一人が……」
「そうならないように祈っててコスタ。最悪なことを考えるのも必要だと思うけど、苦しいことを考えるより楽しいことを考えようよ」
「そう……ね。私の悪いくせね、いつも最悪な状況のことを考えるって……」
コスタはため息を吐いてこう言った。しばらくして、戦いを終えたライアとラージュ、サマリオの部下がやって来た。
「ライア! ラージュ!」
「皆、無事でよかったわ。かなりセクシーな姿になってるようだけど」
ラージュは下着姿のセアンたちを見て、戦いが激しかったのだと察した。サマリオの部下はセアンたちの姿を見ないように、マントをセアンたちに渡した。
「これで体を隠してください」
「ありがとう。紳士だね。流石サマリオの部下」
セアンがこう言った直後、何かを感じ取ったのか、周囲を見回した。そして、急いでどこかへ行ってしまった。
「セアン! ちょっと、どうしたの……」
コスタがセアンに声をかけたが、セアンがどうして動いたか察し、急いで後を追おうとしたが、その前にライアとラージュにこう言った。
「ケアノスをお願い。セアンは私がどうにかするから」
「うん。気を付けてね」
ラージュの言葉を聞いた後、コスタは急いでセアンの後を追いかけた。
ガーネは目の前のカイトを見て、勝利を確信した笑みを浮かべていた。
「ケケケケケケケ! これでどっちが勝ったか判明したね。ケケケケケケケ!」
ガーネの両手の手刀は、カイトの腹を貫いていた。攻撃を受けたカイトは口から血を流し、死んだような目をしていた。
今回の話を更新するにあたって、あることを思い出しました。それは、いろんな物がカイトの腹を貫いていることです。今現在ストック溜めで書いている話も、カイトの腹が何かに貫かれます。それでも大丈夫なのは魔力があるからです。
滅茶苦茶な設定ながらも、この作品が面白い、気に入ってくれたなら是非高評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお願いします!




