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ミッドナイトタウンバトル ラージュVSティンパ


 ティンパはラージュに向けて指を指し、今の戦い方だと勝てないと告げた。その言葉を聞いたラージュはため息を吐きつつ、大剣を構えた。


「何偉そうに言ってんのよ。挑発のつもり?」


「弱いから特別に僕ちゃんからアドバイス。女の子がそんな重い剣を持って振り回したら意味ねーっての」


「女の子だから力弱いって言いたいの? おあいにく様。これでも、この剣を長年使って戦っていたのよ!」


「あっそう。でもねー、戦い方を変えないとそのうち、大きな壁に当たっちゃうよ。あ、今がその時か」


 と言って、ティンパは襲い来るラージュの攻撃をかわした。


「ほら。動きが鈍いから楽ちんに避けちゃうよー」


「グッ!」


 ラージュは攻撃を放った後、ティンパに向かって二撃目の攻撃を放った。だが、ティンパは左手の甲に魔力を込め、ラージュの攻撃を受け止めた。


「なっ! 私の攻撃が!」


「魔力を上手く使えば、左手の甲で重い一撃を受け止められる。僕ちゃんみたいに鍛えに鍛えると、そんなこともできるんだよね」


 ティンパは後ろに下がり、ラージュに向かって挑発する仕草で手を動かした。


「カモーンベイベー。勝てないから降参して僕ちゃんのペットになることをおススメするよー。でも、戦うなら半殺しにするつもりだから覚悟してね」


「半殺しになるのはあんたよ」


 ラージュは大剣を空に向かって投げ、ティンパに向かって走り出した。


「おいおい、格闘戦で僕ちゃんに敵うとでも?」


 と言って、ティンパは飛んでくるラージュの左手のパンチを受け止めた。ラージュはすぐに左手を引き戻し、右足の膝でティンパの腹を攻撃した。だが、ティンパはその攻撃をかわした。


「格闘技に慣れてないね。全然僕ちゃんに当たらないよ」


「さーて、それはどうかしら?」


 そう答えながら、ラージュは右足で回し蹴りを放った。ティンパはその攻撃をかわし、構えを取るラージュを見て笑い始めた。


「ウッヒャッヒャ! 僕ちゃんに勝てないからやけくそになっちゃったのー?」


「何とでも思いなさい」


 ラージュは魔力を開放し、小さな風の刃を放った。ティンパは飛んでくる風の刃をかわし、ラージュに接近して一発殴ろうかと考えた。しかし、後で何かが落ちてくる音がし、背中に激痛を感じた。ラージュが投げた大剣が落下した際、自分の背中を一閃したのだ。ラージュはこうなることを予想し、大剣を投げたのだとティンパは察した。


「があ……」


「ざーんねん。どうして大剣を上にぶん投げたか考えなかったの?」


 冷たい笑みを浮かべるラージュを見て、ティンパはため息を吐いた。


「今までの攻撃は剣が落ちてくるまでの時間稼ぎ。本命はこいつの一撃か」


「そう。あなたがバカで助かったわ。偉そうに戦い方に関してあーだこーだ語るより、あなたの頭を鍛えた方がよくて?」


 そう言って、ラージュは苦しそうに呼吸をするティンパに近付いた。攻撃されると思ったティンパは魔力を開放し、立ち上がりつつラージュに攻撃を仕掛けた。その時、ラージュはティンパから魔力を感じ、ティンパの拳から激しい風を感じた。


「あなたも風を使うのね」


「その通り。チャンネーと一緒だよ」


 立ち上がったティンパは呼吸をしつつ、ラージュを睨んだ。


「僕ちゃんを本気にさせちゃったね。これからどうなるか分かる?」


「あんたが半殺しにされるんでしょ?」


「不正解! 正解は、チャンネーが僕ちゃんにぶっ殺されるんだよ!」


 ティンパは飛び上がりつつラージュに襲い掛かり、左右の手を素早く動かし、目にも見えない連撃を放った。この攻撃を受けたラージュの頬には切り傷ができ、両腕に深い傷を与えた。


「早い……早すぎる」


 ラージュはそう呟くと、素早く傷を治した。傷の治癒速度が速いことを察したティンパは、心の中で驚いていた。


 治癒速度が速い。なら、一発で仕留めないと。


 そう思ったティンパは更に強い魔力を開放し、ラージュに襲い掛かった。


「チャンネー、意外と腕のいい医者だね! 手っ取り早くチャンネーをぶっ殺せばよかったよ!」


「私を殺す? そんなことが簡単にできると思わないで!」


 ラージュは迫りくるティンパから下がり、高く飛び上がった。ラージュの着地先は大剣がある場所。ラージュは大剣を拾い、ティンパに向けて構えた。


「おいおい、そんな剣を使って僕ちゃんと戦うつもり? さっきの攻撃はもう見切ったよ」


「二度も同じ手は使わないわよ。私はそんなにバカじゃないわ」


 ティンパに向かってそう言うと、ラージュは大剣を構えて走り出した。魔力を開放せずに走り出したラージュを見て、ティンパはにやりと笑って反撃の構えを取った。


「魔力を開放した方がいいんじゃないの? その状態で僕ちゃんに向かって突っ込んで来るなんて、バカとしか言いようがないよ!」


 と、笑いながらティンパはそう言ったが、ラージュは大剣をティンパに向かって投げた。飛んで来た大剣を見たティンパは少し驚いたが、右の裏拳を使って飛んで来た大剣を弾いた。しかし、弾かれた大剣は宙でティンパに向きを変え、再び動き出した。


「なっ!」


 再び動いた大剣を見たティンパは驚きのあまりその場で立ち尽くしてしまった。大剣はティンパの体を貫き、深い傷を与えた。


「ガハァッ!」


「心配しないで。急所は外したから死なないわよ」


 と言って、不気味な笑みを浮かべたラージュがティンパに近付き、大剣を引き抜いた。血を流すティンパは、苦しそうに呼吸をしながら立ち上がろうとした。しかし、体に激痛が走り、体を動かすことはできなかった。


「あらあら。痛みで体が自由に動けないみたいねぇ」


「クソ……僕ちゃんを……殺すつもりか?」


「殺さないわよ」


 ラージュの即答を聞き、ティンパは驚いた。その後、ラージュは注射器を取り出してティンパの腕に突き刺した。


「ツッ! 何をする!」


「後で分かるわ」


 そう答えると、ラージュはティンパに治療をした。突如治療を始めたラージュの行動に驚いたティンパだったが、すぐに我に戻ってラージュに攻撃しようと考えた。しかし、ティンパの体は動かなかった。


「か……体が……」


「注射器に入っていたのは軽い麻痺の成分が入った危険な薬。注入すると何時間か動けなくなるわ」


「そんな薬を……それを注入して……どうするつもりだ?」


「あなたをおもちゃにして遊ぶつもりよ。楽しみね、ウフフ。ウフフフフ」


 悪魔のような笑みを浮かべるラージュを見て、ティンパは恐怖を覚えた。




 ゼニマーネを見失ったメリスとツリーは、ため息を吐いて歩いていた。


「しくじった……あいつを見失った……」


「ごめんねー。くしゃみしちゃって。でもしょうがないよね、耐えられなかったし」


 と、反省の色があるのかないのか分からないツリーの言葉を聞き、メリスは深いため息を吐いた。すると、サマリオの部下たちが駆け付けた。


「皆さん」


「メリスさん、ツリーさん。お疲れ様です。ゼニマーネの奴は……」


「すみません。見失いました」


「でも、奴の車のナンバーは覚えてるよー」


 ツリーの言葉を聞き、メリスたちは驚いたが、一人の部下が呟いた。


「覚えていたとしても、ああいう奴って車を乗り換えると思いますが……」


 その呟きを聞いたメリスはため息を吐いた。


「私たちのミスです。本当にすみません」


「いつも行動がうまくいくとは限りません。サマリオさんもこの状況を理解していますし、何か打破するアイデアを持っていると思います。とりあえず今はピラータ姉妹の所に戻って、我々も援護に入りましょう」


「分かったわ」


 メリスは返事をし、後ろを振り返った。魔力の衝突はまだ感じるが、数分前より魔力は弱くなっていた。その魔力を感じ、少しずつ戦いが終わっているのだとメリスは確信した。


 敵味方混じりあう乱戦、多人数で戦うバトルロイヤルみたいなものがありますが、話数を稼ぐために一対一の戦いをよく書きます。バトルロイヤルも面白そうだけど、ごちゃごちゃして書いてる俺が混乱しそう。


 この作品が面白いと思ったら、是非是非高評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお願いします! なかなか来ないので寂しいです。皆の応援が俺の活力になるのでよろしく!

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