ミッドナイトタウンバトル ライアVSシャム その2
ライアは苦しむシャムを見てにやりと笑っていた。ライアはシャムが飛び上がることを察し、落ちていた破片を風で操ってシャムに向けて飛ばしたのだ。そのおかげで、シャムに決定的なダメージを与えることができた。
「グッ……こんな……情けない理由で……追い込まれるとは」
足裏にダメージを受けたシャムは苦しそうに呟いた。その時、ライアがナイフを持ってシャムに接近した。
「よくも私に蹴りを入れまくったね。お返ししてやる!」
と言って、ライアは魔力を開放してナイフを振るった。シャムは両腕を盾にしてナイフの攻撃を防ごうとしたが、細すぎるシャムの腕ではライアの攻撃を防ぐことはできず、腕に大きな傷を負ってしまった。
「ギャアアアアア!」
痛さのあまり、シャムは防御を解いてしまった。ライアは今が攻撃をするチャンスだと察し、シャムの懐に接近してさらにナイフを振るった。
「これで終わりにしてやる!」
と言って、ライアは同時に二本のナイフを振り下ろした。そこから強烈な衝撃波が発し、シャムを吹き飛ばした。軽すぎるシャムの体は勢いよく飛んで行き、いくつもの建物や瓦礫を貫きながら頑丈な建物の壁に激突した。
「ガハァッ……」
壁にめり込んだシャムは吐血し、全身から血が流れていることを察した。
「ま……まずい……」
追い込まれたと考えたシャムは残った魔力で傷を治し、戦える力を取り戻した。しかし、足裏の傷は完全には治っておらず、足裏が地面に着くたびに痛みが走った。
「グッ……これで……戦えるか?」
そう思いながら、シャムは深呼吸した。その時、吹き飛んだシャムに追撃するためにライアが接近した。
「まだ動けるのか!」
「そう簡単に私はくたばらないぞ!」
右手のナイフを振り上げたライアは、勢いを付けてシャムに振り下ろした。シャムは左足を振り上げてライアのナイフに蹴りを放った。右手を蹴られたライアはバランスを崩してしまったが、転倒する間際に左手のナイフを素早く横に振るった。その動きをシャムは見切れなかった。
「なっ! しまった!」
油断していたシャムはこの一撃を受けてしまい、腹に傷を付けてしまった。
「へっ、油断大敵だよ!」
ライアは左手のナイフを振るった後で態勢を整え、地面に着地した。腹を斬られたシャムは痛みのあまりうずくまっていたが、ライアが接近したことを察して咄嗟にサマーソルトキックを放った。ライアはこの攻撃を受け、垂直に吹き飛んだ後、地面に激突した。
「グフッ! まだ派手に動く元気はあるのか!」
「まだあるさ。私は諦めが悪い男でな!」
シャムは体中の痛みをこらえ、ライアに接近して連続蹴りを放った。戦い始めた時のような鋭く、早い動きではなかったため、ライアはすぐに攻撃を見切ることができた。
「ダメージは受け続けたようだね。動きが鈍いよ!」
ライアは回りながらシャムの背後に移動し、背中を斬ろうとした。だが、シャムは連続蹴りを止めて素早く後ろを振り向き、ライアに左足で蹴りを放った。しかし、この行動は間違えだった。
「振り向いて攻撃するって思ったよ!」
ライアはシャムが反撃をすると思い、わざと攻撃するタイミングをずらしたのだ。ライアは飛んで来たシャムの左足をナイフで深く刺した。
「グッ……グアアアアアアアアア!」
激痛を感じたシャムはその場で倒れ、悲鳴を上げた。ライアは暴れるシャムの腹を足で強く踏み、左足のナイフを引っこ抜いた。その時、シャムの左足から大量の血が流れた。
「ガッ! ガアアアアア! クソ……こんなことが……」
「これで左足は使えないね。もういい加減諦めたら?」
ライアは血が付着したナイフの刃を拭いてこう言った。シャムは荒く呼吸しながら、ライアを睨んだ。その顔を見たライアはまだシャムが勝利を諦めていないことを察した。
「分かるでしょ? こんな傷を受けたら動いたらダメージを受ける。血も結構流れているから、失血死するよ」
「ブラッディークローとつながっている以上……敗北は死を意味する……こうなれば……お前を道連れにして死んでやる!」
シャムは自分に残った魔力を開放し、ライアに接近した。ライアはため息を吐き、ナイフを構えた。
「道連れにするのは勘弁。命を捨てて得た勝利に価値はないよ!」
と言って、ライアは突っ込んで来たシャムに向かってナイフを振るった。ライアの後ろに着地したシャムは、体を震わせ始めた。
「だ……ダメだったか……む……無念」
苦しそうにこう言った後、シャムは吐血してその場に倒れた。ライアは倒れたシャムに近付き、様子を調べた。
「気を失ったか……」
そう呟いた後、ライアはその場で座った。
「あー……何とか勝てた。めんどい相手だったなー」
疲れ果てたライアは深く深呼吸していた。しばらくして、サマリオが部下を連れてやって来た。
「ライア、無事か!」
「うん。何とか」
サマリオの部下はライアが着ているスーツがボロボロになっていることを察し、動揺した。
「あのスーツがボロボロになっている」
「攻撃に対してかなり防御力があったと思ったのに」
「それだけ敵も強いのか」
「ねー。あんまりじろじろ見ないで。あんたらのこと、これから変態野郎って言うよ?」
ライアの言葉を聞いたサマリオの部下は詫びの言葉を言った後、ライアの治療と気を失ったシャムの確保を始めた。そんな中で、サマリオはライアに話しかけた。
「セアンたちはどうなっているか分かるか?」
「分かんない。取引妨害に失敗した後、それぞれ散って戦い始めたし。でも、セアンとコスタとケアノスは無事だと思う。魔力を感じるから。まだ終わってないのがラージュとカイトだね」
「そうか……分かった。私はラージュかカイト君の様子を見てくる。お前たちはセアンたちを探して保護して、治療をしてくれ。恐らく、今回の戦いでセアンたちはかなりダメージを負った」
「分かりました」
会話後、サマリオと一部の部下はそれぞれの仕事をするために去って行った。その場に残った部下の一部は、ライアの治療を再開した。
ラージュは大剣を構え、ティンパの猛攻をかわしていた。
「チャンネーよぉ、避けてばっかりじゃあ戦いがつまらないじゃん。ちったー反撃して僕ちゃんに傷を付けなよ!」
ティンパは左手の裏拳を振り、ラージュに攻撃をしていた。ラージュはその攻撃を回避し、大剣を振り上げた。その攻撃はティンパに命中し、傷を付けた。
「お望み通り、傷を付けてやったわ」
「言ったことをすぐに実行するなんて。チャンネー行動派だねー」
攻撃を受けたティンパは後ろに下がり、切り傷から流れる血を手で拭った。
「少しはダメージを受けないと。傷を受けまくって追い込まれた方がバトルは面白くなる」
「ゲーム感覚で戦いをしない方がいいわよ」
「僕ちゃん、こう見えても海賊やって結構年月経ってるから、大体理解してるよーん。さて、ちーっと本気を出すか」
と言って、ティンパは少し魔力を開放して手足に魔力を発した。
「足の魔力はスピードを上げ、手の魔力は攻撃力を上げる! 基本的にして、最強の魔力の使い方!」
「応用技術は使わないの?」
「基本が完璧なら僕ちゃんは応用技術を使わない。ま、アドリブで使うかもね!」
ティンパは猛スピードでラージュに接近し、素早い動きでラージュに攻撃を仕掛けた。ラージュは回避してティンパに反撃をしようとするが、ティンパはその動きを察して素早い動きでラージュの反撃をかわした。
「当たらないわね……」
「そりゃー当然。チャンネーがどうやって戦うのは僕ちゃん理解してっから」
と言って、ティンパはにやりと笑った。そして、ラージュに指を指してこう続けた。
「チャンネーの戦い方だと、僕ちゃんには絶対に勝てねーよ」
とある漫画の影響で、バトルシーンで吹っ飛んだ際に建物を貫いたり、破壊したりしています。その影響はサカモトデイズと言う漫画を読んだからで、見ててとても派手なバトルだと思ったからです。
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