ミッドナイトタウンバトル ケアノスVSオンサル その2
セアンとコスタは急いでケアノスとオンサルが戦っている場所へ向かっていた。
「まずいよ。ケアノスが怒ったら、加減しないから」
「下手したら、敵を殺しちゃう」
二人は走りながらこう話をしていた。しばらく走り、ケアノスの元へ到着した。その時、ケアノスはレイピアに巨大な魔力の刃を纏わせ、オンサルに向かって振り下ろしていた。
「うわああああ!」
ケアノスが魔力の刃を振り下ろした時、周囲に強風が待った。セアンとコスタは悲鳴を上げて倒れないように体を支え、目にゴミが入らないように両腕で覆った。
「う……うわぁ……」
「やりすぎだよ……」
攻撃が終わった後の光景を見た二人は、唖然としていた。ケアノスの一撃により、前にあった少し大きな建物が崩壊していた。しばらくして、瓦礫の中からオンサルが現れた。
これはまずい。非常にまずい。
心の中でオンサルはこう思った。瓦礫から這い上がった後、オンサルはケアノスから距離を取った。ウインドアーマーは消滅してしまったが、まだオンサルには魔力と魔力をかき消す剣がある。戦いを諦めるのはまだ早いと考え、オンサルは少し離れているケアノスの魔力を探知し、かなり消耗したと察した。
「あの一撃でばてたな」
今なら殺すことができると思ったオンサルは、剣を持って素早くケアノスの元へ接近した。
「隙ありだ! お前を生かしていたら大変なことになる! だから、ここで死ねぇ!」
「くたばるのはお前だ豚野郎!」
ケアノスは怒声と共に、強烈なアッパーをオンサルのあごに向けて放った。アッパーを受けたオンサルは小さな悲鳴を上げながら、後ろに下がった。
「私がばてたと思ったか? まだ魔力は残ってんだよこの野郎!」
倒れまいとバランスを保っているオンサルに近付いたケアノスは、オンサルの腹に蹴りを放ってオンサルを地面に倒した。
「ぐう……これ以上は……」
「これ以上は何だ? もう攻撃しないでくだちゃいって言うつもりか豚野郎? 豚野郎のぶりっ子言葉は聞く価値はねーんだよ!」
と言って、ケアノスはオンサルの上に乗り、オンサルの顔を殴り始めた。周囲にはケアノスがオンサルの顔を殴る音が響き、時折オンサルの悲鳴が聞こえていた。
「ブベェッ! ゴフェッ!」
「おいおい、豚ならブヒーって泣き叫べよ。人の言葉で悲鳴を上げるな」
「だ……誰が……豚だ……」
この言葉を聞いたオンサルはイラッとしたのだが、何度も攻撃を受けたせいで体を動かすことはできなかった。ケアノスはレイピアを手にし、自分に向かって伸びていたオンサルの右手を突き刺した。
「ウッゲェェェェェェェ!」
「ほーう。まだこの私に歯向かう元気はあるようだねぇ。豚野郎にしてはいい根性だ」
「クソ……クソ!」
オンサルは魔力を発して衝撃波を発し、ケアノスを吹き飛ばした。その隙にオンサルは立ち上がって逃げ出した。
「これ以上奴と戦ってたら殺される!」
「おーい、そこの兄さん」
と、セアンがオンサルに声をかけた。オンサルは走りながらセアンの方を振り返った。
「逃げても無駄だよ。すぐにケアノスが来るよ」
「はぁ?」
この言葉を聞いた直後、オンサルの前にケアノスが現れた。オンサルは驚いて後ずさりしようとしたが、その前にケアノスはオンサルの頭を掴んだ。
「雑魚が強者から逃げられると思ったか? あっという間に追いついちゃうんだよねー!」
と言って、ケアノスはオンサルの頭を壁に押し当てた。何度もオンサルの頭を壁に押し当てた後、ケアノスは魔力を発して風の塊を作り、オンサルに命中させた。
「ブッビャァァァァァァァァ!」
風の塊に命中したオンサルは、悲鳴を上げながら吹き飛んだ。しばらくしてオンサルは分厚い壁に激突してめり込んだ。
「ぐ……ぐひゅう……」
怒りの攻撃を何度も受けたためか、オンサルは戦う気力も体力も失っていた。勝負を捨てて負けを認めようと思ったオンサルは、その場に倒れようとした。しかし、それをケアノスは許さなかった。
「簡単にくたばるなよ豚野郎。見た目と違って弱っちいな」
「もう……勘弁してください……」
この言葉を聞いたケアノスは、意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「勘弁してください? するわけねーだろ。テメーみたいな悪党の豚野郎はもう少し傷つけないとこっちの気が済まないんでね」
「ヒッ……ヒィィ!」
ケアノスの攻撃は終わらないことを知り、オンサルは恐怖で悲鳴を上げた。それからケアノスは強烈な攻撃を何度もオンサルに浴びせ続けた。
「ギャッス! ブゲェェッ! も……もう……勘弁してください! 命だけは助けて!」
「それはお前の運と相談しな! こっちはまだ攻撃したりねーんだからなぁ!」
ケアノスは高笑いしながら攻撃を続けていたが、セアンとコスタが近付いてケアノスを止めた。
「はいケアノス。ここで終わり」
「これ以上攻撃すると、殺人犯になっちゃうよ」
「うっせぇうっせぇ! うっせーわ! 部外者は黙ってろ! あと万発殴らせろ!」
止めようとしたセアンとコスタに向かい、ケアノスは叫んだ。コスタはため息を吐きつつ、暴れるケアノスをセアンに任せた後、弾丸を取り出して分解した。
「仕方ない。睡眠作用のある煙を吸わせよう」
そう言って、コスタは紙包みを取り出し、持っていたライターで火を付けた。すると、包んだ紙包みから緑色の煙が発した。
「セアン。鼻を抑えて」
「うん」
セアンは手を放して鼻を抑えた。コスタは片手で鼻を抑えながら、緑色の煙を発する紙包みをケアノスに近付けた。煙を嗅いだケアノスは目が虚ろとなり、力が抜けたようにその場に倒れた。
「眠ったみたい。怒らせたケアノスを止めるにはこれしかないみたいだね」
「そうだね。はぁ、真面目なケアノスがブチ切れると本当に大変だ」
と、二人は呆れたようにため息を吐いた。セアンはケアノスの怒りの攻撃を受けたオンサルを見て、生きているが失神していることを把握した。
素早い蹴りを使う男、シャムと戦うライアは傷だらけになっていた。シャムは素早く目で追うことはできず、蹴りがどこから来るか把握できないのだ。
「やはりあなたみたいな実力者でも、私の蹴りは見抜けないようですね」
「クッ! 余裕ぶって!」
ライアは声が聞こえた方向にナイフを振るったが、そこにシャムはいなかった。
「チッ!」
「甘いですよ」
ライアの背後からシャムの声が聞こえた。ライアは急いで後ろを振り返ったが、シャムは両手を後ろで組んで立っていた。
「少し私の方が強いみたいですね。ハンデです。数秒間だけこうして立っています。ま、攻撃を受けないように動きはしますが」
「このヒョロヒョロ野郎!」
ライアはナイフを何度も振るって攻撃を仕掛けたが、シャムは体を動かしてライアの斬撃をかわした。
「クソッ! どうして当たらない!」
「簡単なことです。私は相手の動きをすぐに見切ることができるからです」
と言って、シャムは左足を蹴り上げた。刃のような切れ味を持つ左足はライアの右肩付近に命中し、深い傷を与えた。
「グアアアアッ!」
ライアは悲鳴を上げながら後ろへ下がった。魔力を使って傷を受けた右肩付近を治療したが、シャムは歩いてライアに近付いた。
「ハンデの時間はおしまいです。攻撃を始めます」
と言って、シャムはライアを蹴り飛ばした。上へ蹴り飛ばされたライアは態勢を整えることができず、高台にあった時計に激突した。その際、時計を作る時に使われたガラスやばね、ネジや時計の針などが周囲に散乱した。
「ぐ……クソ……」
壊れた時計にめり込んだライアは、傷ついた体を動かそうとした。しかし、その前にはシャムが立っていた。
「大人しくしてください。この壊れた時計台をあなたの墓標にしてあげましょう」
と言って、シャムは魔力を開放した。
ストック分はそれなりに溜めています。十話以上は溜まっていますので、いざという時はそこから更新しています。土日で新しいストック分の話を作っていますが、一話三千字以上なので、三十分はかかります。大変だけど頑張っています。
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