ミッドナイトタウンバトル コスタVSローロー
メリスとツリーは車に乗り込み、逃げたゼニマーネを追いかけていた。
「早く走りますよ、ツリーさん!」
魔力を開放しながら走るメリスは、ツリーの方を振り向いた。だが、そこにはツリーの姿はなかった。
「はぁ……仕方ない。後で合流しよう」
メリスはツリーを放置し、ゼニマーネを追いかけることを選択した。後ろを走るツリーは、息を切らせながら走っていた。
「ま……ま……待って~」
と、苦しそうな声でこう言った。
コスタの挑発を受け、ローローは怒り狂っていた。ローローは魔力を開放し、棒の両端に炎を発した。
「さぁ、ここから火祭りの始まりだよ! あんたをぶっ殺すから覚悟しな!」
「私を殺す前に、あなたが力尽きて死にそうだけど」
「ふざけたことを言うなよ、小娘ェ!」
ローローは棒を振り回しながらコスタに接近した。コスタはショートソードで襲い来る棒から攻撃を防ぎ、左手でスナイパーライフルを構えた。それを見たローローは鼻で笑ってこう言った。
「はん! 片手でそんな長いライフルを使えるわけがない!」
「鍛えれば使えるわよ」
コスタはそう言うと、スナイパーライフルを発砲した。狙いがぶれず、弾丸はローローに向かって飛んで行った。
「んなっ!」
予想外の出来事が起こったため、ローローは動揺した。だが、すぐに我に戻って横に飛んで弾丸をかわした。だが、今戦っている場所を、ローローは忘れていた。
「歳をとると物忘れが激しいわね。ここがどこだか分かってるの?」
コスタの言葉を聞いた直後、ローローは足元が何もないことを察した。
「あっ……私たちは高台で……」
我に戻ったローローは落ちないために、床を掴もうとした。だが、すでに遅かった。ローローはそのまま下に落ちて行った。落ちた先は木で作られた荷車。荷車に積められていたわらの山のおかげで落下時のダメージを抑えることはできたが、上にいるコスタはローローに向かって発砲した。
「チィッ! 容赦のないガキだねぇ!」
ローローはわらの山から飛び出し、弾丸をかわした。その後、魔力を開放してコスタの近くに移動した。
「おばあさんのくせに、すごい体力ね」
「お前に褒められても嬉しくないねぇ!」
叫びながらローローは棒を横に振るった。コスタはショートソードで攻撃を防御しようとしたが、棒はショートソードの刃に当たる寸前にコスタの顔に向かって軌道を変えた。棒はコスタの顔に命中した。
「フグゥッ!」
コスタは鼻を抑えながら後ろに下がったが、ローローはコスタに接近して攻撃を仕掛けた。
「そーれそれそれそれ! この連続突きでくたばっちまいなぁ!」
連続攻撃を受け続けたコスタの体には、多数の傷ができた。連続攻撃を行ったローローは、最後の一撃で棒全体に炎を発し、コスタに向かって振り下ろした。
「死ねぇ!」
振り下ろされた棒はコスタに命中し、遠くの壁に向かって吹き飛んだ。壁にめり込んだコスタは体の激痛に我慢しながら動こうとしたが、体の付着した火が広がった。
「キャアアアアアアアアアア!」
突如火が広がったため、コスタは悲鳴を上げた。何とかして火を消そうとしても、火は消えることはなかった。
「グッ! な……何で……」
「ヒエーヘッヘッヘッヘ! 私の火はそう簡単に消えないよぉ! お前が焼け死ぬまで、私の火は熱く燃える!」
苦しむコスタに近付いたローローは、そう言って魔力を開放した。
「そろそろあの世へ逝く時間だよ。確かあんたには、幼いころにくたばった両親がいたんだってねぇ」
と、ローローはわらいながらこう言った。この言葉を聞き、コスタの動きが止まった。
「ケッケッケ! ブラッディークローに歯向かうからくたばるんだよ! 大人しく創造の力って奴を渡せば死ななくてよかったのに! 本当に、バカな奴だよ! ケーケッケッケッケ! ケーケッケッケッケ!」
殺された両親をバカにされ、コスタの怒りが爆発した。この時のコスタの魔力を感じ、ローローは激しく動揺した。
「な……何だいその魔力は! あんた……こんな魔力を持ってたのかい!」
「あんたと同じように、私も経験を積んだのよ」
と言って、コスタはスナイパーライフルをしまってショートソードを構えた。その動きを見たローローは再び動揺した。
「あんたは狙撃手のはずじゃあ! どうして大事なライフルをしまう!」
「私は狙撃手って情報が広がっているけど……私は剣も使えるのよ」
と言って、コスタは猛スピードでローローに接近し、ショートソードを振り上げた。ローローは素早く棒を使って攻撃を防御したが、防御された瞬間にコスタはローローから離れ、高く飛び上がった。
「高く飛び上がってね。空中じゃあ動きは取れないはず!」
ローローは素早く棒を構え、宙にいるコスタに向かって火でできた衝撃波を放った。だが、コスタは足元に風を発生させ、宙を自由に動いていた。
「きいいいいいいい! そんな方法ってありかい!」
「格闘ゲームじゃあないんだから。何回宙を動いても問題ないでしょ」
コスタはそう言って、ローローの背後に回った。コスタの着地音を聞いてすぐにローローは棒を持って後ろを振り返った。コスタは攻撃をかわし、ローローに向かってショートソードを振るった。ショートソードの刃はローローの腹付近をかすった。
「あと一歩だったのに」
「あんた……こんな年寄り相手に本気を出して殺すつもりかい?」
冷や汗をかきながらローローはこう言ったが、コスタはため息を吐いた。
「殺さないよ。でも、動けないように痛めつける」
「優しいのか非情なのか分からないが……殺さないならまぁいい。倒す相手を生かす優しさが仇になると、あの世で後悔しな!」
と言って、ローローは再び魔力を開放した。ローローの周囲には力強い炎が発し、離れた場所にいるコスタにもその熱が伝わっていた。
「これがあなたの本気……」
「ケッケッケ! そうだよ! 今までこんなに本気を出したことはない。私をこんなに本気にさせたのはあんたが初めてだよ!」
「一応誉め言葉として受け取っておくよ」
コスタは額から垂れる汗をぬぐい、返事をした。ローローはコスタに向かって棒を投げて攻撃を仕掛けた。コスタはショートソードを振るって飛んで来た棒を斬り飛ばしたが、飛ばされたはずの棒は向きを変え、再びコスタに向かって飛んで行った。
「なっ!」
コスタは棒から逃げた。だが、いくら逃げても棒は追いかけてきた。
「ケッケッケ! 今の私の棒は魔力を使えば自由自在に動かせる! さぁ、観念しな!」
と、ローローの叫び声が聞こえた。コスタは思った。この言葉が本当であれば、どこまで逃げてもローローの棒は追いかけて来ると。
「さて、どうしよう……」
コスタは後ろを見て、棒が追いかけて来るのを確認した。しばらく走り、コスタは高台を見つけ、窓枠や壁の出っ張りなどを使い、急いで高台へ登った。
「ん? 高台の上に逃げたようだね。だけど、そこに逃げても棒は追いかけて来るよ!」
ローローは勝ち誇ったかのように笑い始め、棒を操った。
高台の頂上に到着したコスタは、素早くスナイパーライフルを構え、ローローの魔力を探知した。少し離れてしまったが、ローローは強い魔力を発しているため、簡単に居場所を探知することができた。
「見つけた」
コスタは小さく呟くと、ローローに銃口を合わせて引き金を引いた。発砲音と共に、弾丸が回りながらローローの方へ向かって飛んで行った。
「あん? 何だい、今の音?」
小さな発砲音を聞いたローローは、コスタがいる高台の方を向いた。その時、コスタが放った弾丸がローローに接近していた。
隠密行動とかのシーンを書くと、メタルギアソリッドのことを思い出します。よくやってたからねー。2は途中で放置してるけど、3は何度もやった。本当に面白かった。10月にコレクション版が出るから楽しみ!
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