ジョンキーに到着!
メリスはピラータ姉妹と風呂に入っていた。セアンたちは背伸びをし、湯船につかって癒されたような声を出しているが、彼女らの胸を見てメリスは羨ましいと思った。その視線に気付いたセアンがメリスに近付いた。
「何なのその目は~? 人のおっぱいを見て羨ましそうな目をしてるね~」
「べっ……別に羨ましくは……」
メリスはセアンから目を反らしたが、ライアがメリスに近付いて胸を揉んだ。
「ビッギャァァッ!」
「うーむ……普通だね」
ライアの言葉を聞き、メリスはイラッとした。
「普通ってどういうことですか! そもそも、そんなに胸が大きかったら戦う時に邪魔です! そんな胸で今までどうやって戦って来たのですか!」
「メリス、そこまで熱くならなくても……」
ケアノスがメリスに近付いたが、暴れるメリスの手がケアノスの胸に命中した。メリスの手から、ケアノスの大きな胸の弾力を感じた。
「うう……あなたもそんな胸を……」
「私たちはその……親からの遺伝……なのかしら?」
動揺するメリスに対し、ケアノスは励まそうとしたが、言葉が見つからなかった。そんな中、ラージュがメリスにこう言った。
「この世の中には、その胸でも好きだって言ってくれる人がいるわ」
「恋愛とかは今はどうでもいいです! 今、大事なのはどうやってブラッディークローを倒すことかです!」
「メリスの言う通りね」
と言って、コスタが立ち上がった。その際、コスタの胸が大きく揺れた。それを見たメリスは目を丸く開け、口を大きく開けた。
「が……あ……スナイパーなのに……なんつー大きさ……」
「胸の大きさはどうでもいいでしょ。それより、今からでもブラッディークローをどうやって倒すか考える時間はある。一緒に考えましょう」
コスタの言葉を聞き、メリスは冷静になった。その後、セアンたちは風呂から出て、カイトを交えてブラッディークローをどうやって倒すか話をした。しばらく話をしていると、サイレンが鳴り響いた。
「何? モンスターでも襲って来た?」
セアンがこう言ったが、メリスは慌てて戻る支度を始めた。
「もう消灯時間だ。そろそろ寝ないと」
「だったらさ、この私たちの部屋で眠りなよ。今から部屋に戻るのは暗くて迷いやすいよ。この船、結構広いし」
セアンの言葉を聞き、メリスは少し考えた。何度もシーポリスの大型船に乗り込んだが、どれも構造に違いがあるため、毎回覚える必要がある。今回乗っている船も、まだ完全に通路を把握したわけではないのだ。
「言葉に甘えていいかしら? 今日はこの部屋で眠るわ」
「オッケー。それじゃあ眠ろう。また明日、鍛錬したり話をしよう」
「そうだな。それじゃあ俺も寝るわ」
と言って、カイトは床の上で横になった。メリスはベッドで寝ればいいのにと言おうとしたが、ケアノスが近付いた。
「ベッドを譲ったのよ。カイト、優しいから」
「そう……でもいいの?」
「多分大丈夫よ。カイト、寝相が悪いって言ってたまに床で寝るから」
「どこでも寝れるのね、彼」
メリスはカイトのやさしさに甘え、ベッドで寝ることにした。
翌朝。カイトは重い物を感じ、苦しそうな声を上げながら目を覚ました。
「何だ……重い……」
最初は体調が悪いのかと思ったが、目を開けてすぐにセアンとメリスが抱き着いて寝ていることを察した。セアンは毎回似たようなことがあるため慣れたが、メリスが抱き着いて寝ているとは思ってもいなかった。カイトの驚く声を聞き、セアンも目を開けた。
「どったの~?」
「うん……」
セアンが起きてすぐ、メリスも目を開けた。メリスはすぐにこの状況を理解し、悲鳴を上げながら後ろに下がった。
「はぁ……またやっちゃった……私、寝相が悪いから……」
「悪いってレベルじゃないよ」
と、セアンは欠伸をしながらこう言った。
それからページェクトに到着するまで、カイトたちは鍛錬を行い、ブラッディークローをどうやって倒すかと話をしていた。そんなことをしているうちに、あっという間に船はページェクトへ到着した。
「ここがページェクトだ。私たちが向かうジョンキーはこの港の近くの町だ」
と、サマリオはカイトたちにこう言った。ジョンキーは古びた住宅街が多いが、人の数は
多く、賑わっていた。海賊や冒険家らしき人もいるが、そのほとんどが町の人たちだった。
「この中にブラッディークローと取引をしようとしている商人がいるんですね」
「そうだ。奴らの取引は夜遅くに行われる。それからは現地のシーポリスの事務所で話をしよう」
カイトとサマリオが話を終えた後、セアンたちが先にジョンキーへ向かった。メリスに早く行きますよと言われ、カイトとサマリオ、残りのシーポリスは急いで船から降りて行った。
現地のシーポリスの建物に向かったサマリオは、現地のシーポリスにカイトたちが協力すると話をした。話を聞いたシーポリスの人々は、歓喜の声を上げた。
「あのピラータ姉妹がいるなら安全だ!」
「危険で物騒な町が、少しでも平和になる!」
「よかったー。これで少しはまともな町になる」
シーポリスの話を聞き、ライアは小声でサマリオにこう聞いた。
「この町って治安が悪いの?」
「ああ。悪い方だ。質の悪い海賊や冒険家のせいもあるが……その大部分は町にいるチンピラやマフィアもどきの連中だ。そのせいで、裏取引が頻繁に行われている」
「酷い町だね。国の政治家連中は無視してるの?」
「治安回復のため、ありとあらゆることをしたが、奴らはその手をかいくぐって取引をし、罪を犯す」
「悪知恵だけは働く連中だね」
サマリオの話を聞いたライアは、呆れたようにこう言った。その時、聞いたことのある声が響いた。
「あー! やーっと来たの? もう待ちくたびれたよー!」
「ええ! ツリーさん!」
ケアノスは奥から現れたツリーの姿を見て、驚いた。いつもサマリオと一緒にいるが、今回は先に現地のシーポリスの所にいたからだ。サマリオは驚くケアノスに近付いた。
「ツリーには、先に現地へ行って情報収集を頼んだんだ」
「だけどさー、なーんにも情報は手に入らなかったのよー。やっぱりあいつら、私たちにばれないようにこそこそしてるよー」
と、ツリーは文句を言うようにこう言った。サマリオはツリーをなだめた後、事務所へ向かった。
「リーク通りなら、奴らの取引は今日の夜遅くに行われる。その時に私たちは奴らに襲撃を仕掛け、奴らを捕らえる」
「それからどうするの?」
コスタがこう聞くと、サマリオは少し考えてこう答えた。
「ブラッディークローの情報を得る。ズライリー海賊団から得た情報では、ブラッディークローの全貌を暴けない」
「でもさ、ディスターソースが襲ってくるかもしれないよ。あいつら、情報を守るためだったら、仲間でも殺すし」
ライアの言葉を聞き、メリスは確かにと思った。ブラッディークローは情報を漏らすことを防ぐため、捕まった仲間や関係者を始末するディスターソースと言うチームが存在する。カイトはゴイチ王国の城下町、ブルベリで戦ったディスターソースのミヤギのことを思い出した。
「そうだ。俺があの時戦った奴も、ディスターソースだったな」
「黒い霧で視界を黒くする奴だったよね。ああいう卑劣な奴が多いかもね」
セアンの言葉を聞き、カイトは頷いた。サマリオは咳ばらいをし、カイトたちにこう言った。
「今はこれから先起こす行動ではなく、目の前のことを考えてほしい。奴らの取引に邪魔をし、奴らを捕らえて情報を得る。今回は難しい任務になるかもしれない。各自、話が終わったらすぐに休むように」
「はい」
サマリオがこう言って、話は終わった。それから、カイトたちは用意された休憩室で深夜まで休むことになった。
ジョンキーに到着し、これから本格的に物語が動きます。基本、今回の章は人とのバトルを多く書くことを主にしており、結構ダメージ描写が多く書かれます。いろんな敵が出てきますので、どんなバトルが繰り広げられるか予想しながら次の話を待っていてください。
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