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セアンとのデート


 翌日、カイトは欠伸をしながら起き上がった。昨日の冒険後で感じていた体の疲れは癒されていた。


「ふぅ……少しはまともに動けるようになったか……」


 と、呟き、肩と腕を回した。骨が鳴る音がしたが、動きに異常はないと思い、カイトは寝室から出た。


「おはよー。遅起きだねー」


 リビングにいたセアンが声をかけた。カイトはセアンに挨拶を返すと、周囲を見回した。


「あれ? 皆は?」


「コスタはスナイパーライフルの手入れで、ケアノスは本屋、ライアとラージュは買い物。私は留守番」


「そうか。皆はいつくらいに戻って来るんだ?」


「分からない」


 セアンはそう言うと、カイトに近付いてこう言った。


「ねぇ、二人っきりだしデートしようよ」


「留守番はどうするんだよ?」


「鍵を閉めれば大丈夫だよ。それと、私たちは有名だから、物を盗んだら半殺しにされるって周知されているから。後、ウイークもいるし」


 セアンが指を指す方向には、縄で縛られて吊らされているウイークの姿があった。


「おーい……助けてくれー。一晩この状態だったんだよー」


 泣きながら懇願するウイークを見て、カイトはウイークを助けようとしたが、ウイークの上にいたサディがこう言った。


「助けなくていいわよー。セアン、船は私たちが見張っているから、カイト君とデートしてきなー」


「うん。ありがとー」


 セアンは笑顔でサディに手を振っていた。カイトはたまにはいいかと思いつつ、セアンと一緒に船を降りた。




 二人はアイスクリンの町を歩いていた。町ではギドランドが行方不明になったことを知った町の人たちが、次の町長を誰にするかで話をしていた。


「皆、あの町長が死んだことにして話をしてるよ……」


「まぁ、死んだと思うからね。戻って来ないし」


 セアンはそう言って、ある物を探しているのか、周りを見ていた。しばらくし、カイトの手を取って走り始めた。


「お……おい、どうしたセアン?」


「朝ごはんまだでしょ? 良さそうなお店見つけたの!」


 走る中、セアンはそう答えた。


 店に入った後、カイトとセアンは席に案内された。机の上にあるメニューを見て、何を食べようかとカイトは考えたが、あることが頭によぎった。


「なぁセアン、金はあるのか?」


「もちろん」


 セアンはウインクをし、膨らんだ財布をカイトに見せた。膨らみを見たカイトは驚いて声を出したが、セアンはこう言った。


「私、食欲と性欲はあるのに物欲がないから結構お金が溜まるの。今日はパーって使っちゃおうよ!」


「そ……そうか……いいのか?」


「いいのいいの、遠慮しないで!」


 と言って、セアンはメニューを見て注文したいものを次々と言い始めた。カイトは体の痛みと疲れが残っているせいであまり食欲がないので、パンケーキを頼んだ。


「パンケーキだけで足りる? 私みたいにがっつり行けばいいのに」


「まだ体の痛みと疲れが残ってるみたいでさ、あまり食欲がないんだよ……」


「そうなのね」


 注文を終えた後、カイトは水を飲んで少し休んだ。そして、セアンと二人でゆっくりするのが初めてかもしれないと思った。


「なんかさ、こうやって二人で過ごすのって初めてのような気がするな」


「そうだねー。いつも皆と一緒にいるし。逆に静かなのって落ち着かないね」


「そうだな。まぁ、たまにはゆっくりする日もあった方がいいな」


「体を休めることも大切だからね」


 二人が話をしていると、カイトはあることを思った。


「今思ったけど、サマリオさんから鍛えられたって言ってたよな?」


「うん。子供のころからの付き合いだから、ある意味サマリオが第二の育ての親みたいな存在だね」


 と、セアンは笑いながら話をした。サマリオの話を聞き、カイトはサマリオと別れたから大分経つことを思い出した。


「サマリオさんにも会ってないな。元気かなー?」


「多分元気だよ。怪我とかしないと思うよ」


「強いのか? サマリオさんって」


「私たちを鍛えた人だよ? そんな簡単にやられないって」


 セアンの言葉を聞き、カイトはピラータ姉妹の強さを作ったのがサマリオだと把握した。


「そうか。あの人が育てたから、セアンたちは強いのか」


「うん。サマリオが助けてくれなかったらどうなっていたことやら……」


 セアンがコップの中の氷をストローで回しながら話をしていると、注文の品を持った店員が現れた。


「お待たせしました。パンケーキとデザートシャークのステーキ、ハリブトサボテンと玉ねぎのサラダ、そして超ロングホットドックとアセロラジュースになります」


「うわーい! ありがとう!」


 セアンは嬉しそうな声を上げて頼んだ品物を受け取った。カイトはセアンが頼んだものを見て、目を丸くして驚いていた。デザートシャークのステーキはかなり分厚く、ハリブトサボテンと玉ねぎのサラダはかなり盛られていて皿から溢れている。超ロングホットドックは三メートルを超える長さで、アセロラジュースは一リットル入るかもしれないグラスに入っていた。


「それじゃあいただきまーす」


 と言って、セアンは食事を始めた。カイトはパンケーキにナイフを入れながら、セアンにこう聞いた。


「なぁ、ライアって朝飯作ったのか?」


「ライアが起きたのも遅かったから、各自解散ってことになったの」


「皆が出かけたのはそういうことか」


 カイトが納得すると、セアンはデザートシャークのステーキの一切れをカイトに向けていた。


「パンケーキだけじゃあすぐにお腹が減るよ。肉でも食べてスタミナ付けなよ!」


「あ……ああ。ありがとな」


 カイトはそう言うと、ステーキを食べた。セアンは笑顔でカイトが食べる様子を見ていた。


「たまにはさ、羽目を外すのも大事だよ。真面目もいいけど、いろいろ考えてると頭が回らなくなるよ」


「真面目か……そんなもんか?」


「そうだよ。休む時は休む。それが一番」


 少し戸惑っているカイトに向かって、セアンはそう言った。それから食事をし、会計のために立ち上がった。すると、感じた覚えのある魔力を感じた。


「この魔力は……」


 冷や汗をかきながら、セアンは周囲を見回した。店の入口には、カイトとセアンを睨むコスタの姿があった。


「カイトとデート……羨ましい……」


 コスタはそう言って、店の扉を強く握りしめていた。そのせいで、扉にはひびが入っていた。


「ヤベッ! デートがコスタにばれた! カイト、早く行こう!」


「え? ちょっ、待ってくれ!」


 カイトは待ってくれと言ったが、セアンは待たずにカイトの手を取り、店から出ようとした。だがその前に、セアンは店主にこう言った。


「お代は扉にひびを入れさせてるあの子が払います」


「分かりました。では良い旅を」


 店主の言葉を聞き、セアンはカイトを連れて猛ダッシュで店から離れた。コスタはしまったと思いながら二人の後を追おうとしたが、店主がコスタの肩を掴んでこう言った。


「では、二万ネカをよろしくおねがいします」


「に……にま……」


 金額を聞かれたコスタは絶句し、財布を見た。その後、急いで携帯を手にした。




 その後、出かけていたケアノスたちがコスタの元に集まった。


「セアンがカイトを連れてデート中なのは確かなの?」


 ケアノスがコスタにこう聞くと、コスタは涙声で答えた。


「そうなの……買い物を終えて歩いてたら……セアンがカイトとデートしてたの。問い詰めようとしたら逃げられて……セアンが食べた物の代金を払わされたの……」


「だからすぐに二万貸してくれって言ったのね。納得」


「後でちゃんとコスタに二万返すように言わないと」


 話を聞いていたラージュとライアは、呆れてため息を吐いた。その後、ケアノスは咳ばらいをしてこう言った。


「カイトを連れたセアンがこれから何をするかは皆分かってるわね?」


「うん。ホテルに連れ込んでにゃんにゃん」


「やるね。絶対やるね」


「未成年がそんなことをするなって言っても、海賊がそんなこと気にしないって言うね」


「そうなる前に。私たちで二人のデートを止めないと!」


 ケアノスがこう言うと、コスタたちは力強く返事をした。


 久しぶりにギャグ回を書いたような気がします。俺が作家みたいなことをやって物語を書きたいと考えたきっかけが、二十年以上連載しているでんぢゃらすじーさんシリーズを読んで、俺もじーさんみたいな面白い話を書きたいと思ったのが全ての始まりです。最初はじーさんみたいなギャグを考えていたのですが、ギャグを考えるのが難しく、逆にバトルとかシリアスの方がアイデアが浮かぶという結果になりました。


 前に書いていた『異世界から女勇者が現れた!』は、ジャンルの一つとなった異世界転生や転移を自分なりにディスったギャグの話ですが、そちらもギャグが浮かばず五十話ぐらいで終わらせました。ギャグマンガを書いている人は本当にすごいと思います。


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