休暇の時
翡翠を手にして戻って来たカイトたちは、町の人々とギブアップして戻って来た海賊や冒険者から拍手喝采を浴びていた。そんな中、トッポが前に出ると、町の人たちは一斉にトッポに駆け寄った。
「トッポ! お前、生きてたのかよ!」
「俺は死んだと思ったけど、生きててよかったよ!」
「よかった! 本当によかった! マスター! 今日は飲むぞ!」
と言って、騒ぎ始めた。この騒ぎを見て、トッポがこの町でどの位有名なのかセアンたちは察した。騒ぐ町の人たちだったが、一部があることを気にしてカイトたちにこう聞いた。
「なぁ、あのデブ町長とおまけの二人はどうなった? 姿が見えないけど、死んだ?」
「うん。多分死んだ。お連れの二人は知らないけど、多分途中で死んだと思う」
セアンがこう答えると、町の人は更に歓声を上げた。
「人が死んだから縁起悪いけど、これはいい話だ! 強欲クソ町長が死んだってさ!」
「あんな奴、死んで当然だ!」
「めでたいことがもう一つ! 今日は飲みまくるぞ!」
そう言って、町の人たちは騒ぎ始めた。
「人が死んだのにこれだけ嬉しいって……」
「あの町長、どれだけ酷いことをしたのかな? 自業自得って奴……で、いいか」
カイトとライアは半ば呆れながらこう言った。すると、ウイークは欠伸をしながらこう言った。
「とりあえず俺は船に戻るぜ。明日はしばらく休むわ」
「そうだね。私たちも明日は休もう」
「セアンの案に賛成。今日はもう疲れたわ」
セアンとラージュがこう言って、背伸びをした。その後、祭りの用に騒ぐ人々の間を歩き、カイトたちはそれぞれの船に戻った。
ヴィーナスハンドに戻って来たカイトたちは、リビングに入ってすぐに横になった。
「あー疲れた……リティーヒの時よりも疲れた気がする」
「そうだねー。あの翡翠、ロガンのじーさんよりも強い魔力を持ってるよ」
カイトとセアンがこう言うと、芋虫のように動きながらコスタが近付いた。
「戦って思い出したよ。創造の力のことを」
コスタの言葉を聞き、ケアノスが声を上げた。
「確かにね。カーキョイも創造の力と似たような物なのかしら?」
「かもねー。今となっては、確認する時間がないけど」
「ライアの言う通り。あの道をまた歩くのは大変よ」
ライアとラージュがこう言うと、一斉に全員の腹の音が鳴り響いた。
「腹減ったな……何かあるか見てくる」
と言って、カイト立ち上がった。立ち上がったカイトを見て、ライアがこう言った。
「キッチンの棚の所にカップ麺があるはずだから、今日はそれでいいよねー?」
「腹が満たされるならそれでいいよー」
セアンの言葉の後、カイトは六つのカップ麺を用意し、お湯を入れた。三分後、カイトたちはカップ麺を食べ始めた。
「ふぃー、生きてカップ麺をすすることができるって……なんだか幸せ」
「ケアノスと同じことを思ったよ」
セアンはそう言うと、色目を使ってカイトに近付いた。
「ね~え? カップ麺食べたら一緒にお風呂に入らない? 体中砂まみれで気持ち悪いでしょ? 私が体の細かい所まで洗ってあげるよ?」
「大丈夫だ。自分の体は自分で洗える」
「遠慮しなくていいのに」
セアンは頬を膨らませてカップ麺を食べ始めた。ケアノスは呆れ、食事を続けた。そんな中、ウイークの船から声が響いた。
「向こうも賑やかだね」
「何をやらかしたのやら」
ライアとラージュは窓を開け、騒いでいるサディたちに向かってこう聞いた。
「何かあったのー?」
「帰って来たから褒めてくれってうるさいの」
「そしたら、スケベなことをしようとしたから、やり返してるの」
ウェンディがこう言うと、窓からボロボロになったウイークが顔を出した。
「助けて! このままだと殺される!」
と、ウイークは泣きながらライアとラージュにこう懇願したが、後ろにいたチューズがウイークの後頭部を掴んでこう言った。
「お仕置きは終わってないわよ。ウフフ。楽しい時間はこれからよ」
「助けて! これ、マジでやばいって!」
「あんたが私のおっぱいを触ろうとしなければ、こんなことにはならなかったのに」
「あ、自業自得か」
「なら仕方ないわね」
ライアとラージュはそう言って窓を閉めた。助けがないと察したウイークは、泣き始めた。
食事を終えた後、カイトは風呂に入っていた。
「いてっ!」
湯船に入る前に、お湯を浴びた瞬間、痛みが体中に走った。痛みをこらえながら体を洗いつつ、カイトは洞窟のことを思い出した。
「今回も傷がたくさんできたな……」
数々の戦いを思い出し、そこで多数の傷を受けた。そのせいで、また体に傷ができていた。
「仕方ないよ。傷ができない戦いなんてうまい人しかやれないから」
「そうだな」
カイトはため息を吐いてこう言ったが、後ろにいたセアンを見て驚いた。
「セアン! いつの間に!」
「フッフーン。魔力を上手く使えば、気配を消して歩くこともできるのだー」
と言って、セアンは泡まみれのスポンジを持ってカイトに近付いた。
「洗ってあげるよ」
「大丈夫なのに……」
「たまには私に甘えなさーい」
セアンは笑いながらカイトに近付いたが、カイトは逃げようとして立ち上がった。が、滑って後ろに転倒した。
「あだだだ……」
「うし! 隙ありィ!」
セアンはカイトに抱き着き、体を密着させながらカイトの体を洗い始めた。
「おわああああ! ちょっと、待ってくれ! ああっ! そこは!」
「遠慮しないの。このスポンジと胸にある大きなスポンジで隅々まで洗ってあげるよ~」
「そんなことをすると……」
「理性を外してもいいのよ~」
セアンは笑いながらカイトを洗い始めたが、ケアノスが風呂場に入ってきた。
「何やってるのよ! セアン、すぐに大人しくしなさい!」
「へーい」
ケアノスに一喝され、セアンは大人しくなった。その後、カイトは湯船に入っていたが、セアンとケアノスが一緒に湯船にいた。
「どうしてケアノスも一緒に入るのさー?」
「お湯の節約よ。少し恥ずかしいけど……」
「節約のために体を張るのか……すごい根性だ」
カイトはケアノスの方を振り返った。その時、ケアノスはカイトの体を見た。
「カイト……今日の戦いでまた傷ができたのね」
「ああ。お湯を浴びたら痛かったよ」
「最初に悲鳴を上げたのはそのせいだったのね」
と、セアンはカイトの体を触ってこう言った。
「私たち、カイトに無茶させすぎかな?」
「カイト、誰かしら何回も言っていると思うけど、もしきつかったら私たちに頼ってもいいのよ。私たち、海賊歴が長いから」
「いいのか? 俺は……男だから前に出て戦わないとってずっと思ってたけど……」
カイトがこう言うと、セアンが人差し指をカイトの口に当てた。
「海賊の世界では、男女平等! 誰もが戦わないと生き残れない世界。だから、私たちも強くなったの」
「私たち、一緒にいて戦って来たでしょ? もう、私たちの実力は知っているでしょ?」
セアンとケアノスの言葉を聞き、カイトは少し照れた。
「そうだな……いざとなったら、頼るかもしれない」
「頼って! 頼ることが信頼関係の一歩になるから!」
と言って、セアンはカイトに抱きしめた。セアンの体の感触を感じたカイトは照れたが、少しずつ冷静になった。
「セアン……少し恥ずかしいけど……」
「私は恥ずかしくないよ。このまま大人の関係になっても私は構わないけど」
「何言ってるのよセアン!」
セアンのとんでもない言葉を聞いたケアノスは立ち上がろうとしたが、途中で転倒した。その際、カイトとセアンに当たってしまった。そのせいで、二人を巻き込んで倒れてしまった。
「いたた……」
痛さのあまり、ケアノスは目をつぶっていた。しばらくして目を開けると、目の前にはとんでもないモノがあった。それを見たケアノスは、悲鳴を上げた。
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