冒険のその後
カイトたちはトッポを救い、無事にアディとトッポを再開させることと、翡翠を手にすることに成功した。翡翠を手にしたセアンは茫然としていたが、すぐに翡翠の重さを感じた。
「うわっ! これ、結構重いよ!」
「どれどれ?」
ウイークが近付いて翡翠を手にすると、驚いた声を上げた。
「うおっ! かなり重い!」
「本当に重いのー?」
それから、コスタたちが翡翠を手にして翡翠の重さを感じていた。そんな中、ギドランドが近付いてこう言った。
「それを渡せ! 大人しく渡せば約束の金をやるぞ!」
ギドランドの話を聞いたカイトたちは、嫌そうな顔をした。その顔を見たギドランドは苛立った。
「そんな顔をするな! それを求めていたのは私だ! こいつを売れば、価値を知っている奴からどれだけの金を貰えるか知っているのか?」
「知るかよ。とりあえず黙ってろよオッサン。戦ったのは俺たち。あんたは邪魔だっただけ」
ウイークはそう言って、再びセアンたちと話をした。ギドランドは歯ぎしりしながら、カーキョイの方を見てこう言った。
「おい! 私にも翡翠をよこせ!」
「なら、騎士と戦って勝て。勝てば翡翠を渡すぞ」
「そうか! おい! お前ら、もう一度騎士と戦え! 勝てば金をやるぞ!」
身勝手なカーキョイの言葉をし、呆れたカイトは近くに落ちていた棒を拾い、ギドランドに渡した。
「あんたが戦え。俺たちは疲れた」
「なぁ! 金だぞ、金をやるんだぞ! お前ら海賊は金のために動くんだろ?」
「うるさいわね。今、私たちはそんな気分じゃないの」
と、大剣を持ったラージュがギドランドを睨んだ。ラージュの迫力に負けたギドランドは後ずさりし、その場で座った。
「分かった……分かったから……」
「なら結構。で、外に戻るにはどうすればいいの? 帰り道とかある?」
ラージュがカーキョイにこう聞くと、少し考えたカーキョイは答えた。
「翡翠に魔力を込めると、光を発します。その光を、あそこの宝石に当ててください」
返事を聞いたカイトたちはカーキョイが話をした宝石を探した。しばらくして、一つだけ大きな宝石が壁に埋め込まれていた。
「あれかな?」
翡翠を手にしていたセアンが魔力を込めると、光が発した。セアンは翡翠を動かして光を操り、宝石を照らした。すると、大きな音を立てて壁の一部が下へ動いた。奥を見たアディが指を指してこう言った。
「奥に階段がある!」
「多分、階段を昇れば出口に繋がるだろう」
「そうだね。帰ろう、皆」
セアンはカイトたちにそう言って、階段の方へ向かった。ギドランドはすぐに立ち上がってカイトたちの後を追いかけようとしたが、その前に出口が閉まってしまった。
「なあッ! まだ私が残っているぞ!」
「私が上に戻るのを許可したのはあの少年と少女たちだけです。あなたは、あの子たちの仲間ではありませんね」
「私は……私は上の町の町長、ギドランドだ! あいつらをここへ捜索してくれと頼んだのは私だ!」
「町長? 権力であれこれする人の言うことなんて私は聞きませんよ。翡翠が欲しいのでしょ?」
「それもそうだが……今は私を帰らせろ!」
「一人で後戻りしますか?」
カーキョイの言葉を聞き、ギドランドはいろいろなモンスターが生息し、落とし穴が至る所にある道を思い出した。
「止めてくれ! あんな道を生きて戻ることなんて不可能だ! 安全に戻りたい!」
「ですが、翡翠を求めにここに来た以上、選択肢は翡翠を得て戻るか、死ぬかの二つしかありません」
「知るかそんなこと! 私には力がない、ここまで来ることができたのは奇跡だ! 早く私を帰らせろ!」
「あなたの状況なんて、私は知ったことではありません。さぁ、どうしますか?」
カーキョイはギドランドに問い詰めた。しばらく考えた後、ギドランドはこう叫んだ。
「分かった! 生きて戻してくれるなら文句はない!」
「なら、私の騎士と戦いなさい」
その直後、ギドランドの背後から翡翠の騎士が現れた。翡翠の騎士の存在に気付いたギドランドはヘンテコな構えをしたが、翡翠の騎士は猛スピードでギドランドに近付き、手にしていた剣でギドランドの腹を貫いた。
「い……嫌だ……死にたくない……」
苦しそうにギドランドがこう言ったが、壁に埋め込まれた翡翠がギドランドに向かって飛んで行き、ギドランドに張り付いた。
「あなたは死なせません。死ぬまで、私の騎士として働きなさい」
ギドランドはカーキョイの言葉を聞き、助けてくれと言おうとした。だが、その前に翡翠はギドランドの口を塞いだ。
砂漠の上ではドローンが飛んでいた。ドローンを操っていたのはレンタルカーショップの店長だった。
「あーあ、やっぱり誰も戻らなかったなー」
「そうっすねー。店長、車は見つかりましたかー?」
「まだだ。やっぱり、あの洞窟の入り口前にあるんだろうなー」
「そうっすねー。あそこまで行くのに時間がかかるんすよねー。モンスターも強いし」
店長と店員が話をしていると、モニターを見ている店長が声を上げた。
「おっ! 人影発見! 洞窟付近だ!」
「マジっすか! あーでも、入り口前でドローンが不時着したってオチはないっすよね?」
「違うぞ、ちゃんと見て見ろ」
店長は店員にモニターを見せ、入り口前ではないことを証明した。店員は目を細くして人影を見て、一体誰なのか確認した。
「店長、ズームってできませんか?」
「これで限界だ。もう少し近付いてみるか?」
「お願いします」
店長がドローンを操ると、モニターの影が鮮明に映った。そこにいたのは、カイトたちとウイーク、そしてアディとトッポだった。
「ピラータ海賊団とウイークファミリーのウイークだ! それとアディと……トッポさんです! 長年行方が分からなくなってたトッポさんがいます!」
「何だと! トッポの奴が戻って来たのか! 今すぐアイスクリンの誰かに伝えろ、トッポが帰って来たって!」
「アイアイサー!」
店員が急いで電話の方へ走り、店長はドローンをカイトたちに近付けた。
洞窟から脱出したセアンは、汗をかきながら手で顔を仰いでいた。
「あーつーいー。砂漠に出たら熱がぶわって来たー」
「こりゃたまらん……」
コスタは日陰に移動し、座っていた。カイトとケアノスは周囲を見回して車を探し、ライアとラージュとウイークは水を飲んでいた。だが、トッポは砂漠を見て涙を流していた。
「ああ……これまでずっと洞窟の中だったから……太陽の暑い日差しが懐かしい……」
「ずっと鎧の中にいたから」
セアンがこう言うと、あることを思い出した。
「そうだ。あの町長はどうしたのかな?」
「そういえば戻って来ないな。迷ったか、まだカーキョイの所にいるのかな?」
「翡翠をねだってるんでしょ。で、何かあって閉じ込められた。そんな気がするわ。もしかしたら、死んだかもね」
ラージュの言葉を聞き、カイトたちは確かにと呟いた。水を飲み終えた後、ウイークは端末を使ってサディたちに連絡を始めた。
「おーい。俺だ、ウイークだ」
「どうかしましたかー?」
「翡翠を取って洞窟から脱出した。セアンちゃんたちもカイトも無事だ。連れの男の子……アディとそのお父さんも一緒だ」
「無事に戻って来たのね。了解。で、どうやって戻るの?」
「レンタルカーを使って戻る。町に着いたら連絡するわ。それじゃ、また後で」
「はいはーい。モンスターに食べられないでねー」
と言って、サディは連絡を終えた。その後、カイトたちはレンタルカーの元へ移動したが、そこにレンタルカーショップの店長と店員が車に乗ってやって来た。トッポの姿を見た店長はすぐに車から降り、トッポに近付いた。
「トッポ! お前、生きてたのか!」
「ああ。何とかな」
「この野郎! 何年も連絡しないで! とにかく、お前が生きてたってことはこのドローンを通じて知ったから、もう町の皆には連絡したからな!」
「おいおい、大げさな……」
「大げさも何もあるか! きっと町の連中はお前の帰りを待っているはずだ! 早く車に乗れ!」
「分かった分かった。アディ。行こう」
アディはトッポの手を取り、店長が乗る車に乗った。
「それじゃあ、僕たちは先に戻るよ」
「うん。また後で会おう」
と、セアンがこう言った。その後、アディとトッポを乗せた車は猛スピードで走り出した。
明日からお盆休みです。お盆休みからこの作品の修正作業を行う予定です。それまで修正作業がどれだけかかるか予想しているけど、まず一話目がかなり変わると思っています。多分、半分ぐらい書き直すかもしれない。更新速度が落ちると思いますが、修正作業があると思って大目に見てください。
この作品に対しての高評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお待ちしています。お盆期間中でもこの先でもずっと待っています。よろしくね。




